はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

おうちケアのコツ。爪切りのポイント、お伝えします!

3回目の 緊急事態宣言です。
今回が三度目の正直!にするために、ステイホーム 続けていきましょう。
換気が大切だから、外なら安全だろうと、屋外で飲んで 騒いでいる方を見かけますが、その方が、室内でよっぽど危険です。
とにかく ステイホーム、
とにかく 人と対面しない。
これを徹底していきましょう。
当ブログも、ステイホームでできる ケアの話をしようと思います。


おうちでできるケアといえば、爪切りと歯磨き、それに 肛門腺絞りですが、
歯磨きは、まあまあ嫌がられて大変なわりに ケアの効果が目に見えにくく、
肛門腺絞りも コツを掴むまでにそこそこかかる上、失敗すると 臭い液体が飛び散るので ちょっとハードルが高いです。
そんなわけで、ここではまず 爪切りの話をいたします。


とはいえ、いきなり爪切りを手に取ってはいけません。
まずは道具を揃えましょう。

1. キッチンペーパー
ティッシュよりも給水力が高いので、キッチンペーパーがおすすめ。
コストコとかで売っている大きいものだとさらによいです。
ごわごわでも大丈夫ですよ。

2. 片栗粉
お寿司のときにお醤油をつけるような小皿に、ちょっと山になるくらい出しておいてください。

3. 爪切り
ペット専用のものを!
人とは爪の形が違うので、人用の爪切りだと、爪を押しつぶして切ることになってしまいます。
すごく痛いし違和感がありますから、たとえ人用ので切れるサイズのお爪でも、
絶対にペット専用の爪切りを買ってきてくださいね。

4. 相棒
獣医の業界用語で、「保定9割」という言葉があります。
処置をするとき、押さえてくれる人の大切さを説いたもので、
実際に、この人が押さえてくれるのならここまでできるな…とか、
逆に ちょっと危険だからここまででやめておくか…といった判断をすることも しょっちゅうあります。
中には 処置の間 飼い主様に押さえていただく病院さんもありますよね。
そういう病院さんに罹ってみえる方は、押さえ方の記事も 見てみてください。


道具が揃ったでしょうか。
準備ができたら、相棒に抱っこしてもらってください。
人間の骨盤と動物の背骨が平行になるように 抱っこしてもらってくださいね。

抱っこができたら、相棒の体に触れていない側の 後ろ足から触ります。
爪切りはまだ持たず、脛から足の甲にかけてを手のひらで握り込み、膝を曲げて持ち上げ、「シェー」の足になるようにします。
そして、中指から小指で 足首を押さえたら、親指と人差し指で 動物の指を持ちましょう。
親指で肉球を優しく押し下げるようにし、爪がニュッと出るように持ったら、
人差し指で爪の根本を押さえ 少し持ち上げるようにします。

その後、爪切りを当てるわけですが、この時 絶対に 動物の死角から見えないように当てましょう。
爪切りを見せてしまうと、怖くなってしまいますからね。
そして、切る時は、自分の親指の爪をガイドにします。
自分の親指が邪魔で切れない角度で切ると、深爪すぎになってしまうので、必ず無理のない角度で切るようにします。
切るときにためらいがあると、時間がかかったり ブレて却って痛くなってしまいますから、ここ!と決めたら もう一切ためらってはいけません。
迷いなく、ズバッ!と切ってください。


犬の爪は、切ると ほぼ間違いなく 血が出ます。
そういうものだからです。
詳しくいうと、犬の爪というのは 血管がとても伸びやすくて、少し伸びたままになっていると すぐに爪の白い部分にまで血管が伸びてしまうんですね。
なので、血を出さないように切るとすると、もうしょっちゅう切らなくてはなりません。
とはいえ、そんなにしょっちゅう切ってばかりもいられないと思いますので、もう血が出ることはある程度覚悟の上で切りましょう。


血が出たら、まずは 自分の親指と人差し指で 指を持っているはずですから、ギュッと力を入れて握りましょう。
そして、出てくる血を キッチンペーパーをギュッと押しつけて直接圧迫し、止血します。
ある程度抑えると、出てくる量が減りますので、そうしたら片栗粉を指先にとって押しつけ、さらに止血します。
いわゆる止血パウダーは もう手に入りませんので、粒子の細かい片栗粉がおすすめ。
ボタボタと血が垂れなくなったら、同じようにしてまた次の指を切りましょう。


ちなみに、一度血が出たから トラウマになっちゃって、もううちの子絶対切らせないんです・・とおっしゃる方がおられます。
確かに、血が出ると  というか、爪を切るたびに叫ぶ子は多いのですが、「痛ーい!!」という叫びではなく、
爪を切るときの衝撃・・パチン!に反応して 声が出てしまっているだけ というケースも多いんですよ。
それと、血が出たことで 人間の方がパニックになってしまい、切れなくなってしまうことも多いんです。
もちろん、あまり長く伸びてしまうと、神経も伸びますので、痛ーい!!ということもありますが・・ね。


そうそう、切り忘れがちなのが、手の親指です。
狼爪はよく見えるので忘れにくいのですが、親指は少し上の方についていて、影になってしまいますから、見落としてしまうことも。
切り忘れると、巻いてしまって 肉球に突き刺さり、痛い思いをすることもありますから、忘れずに切ってあげてくださいね。


とはいえ 怖くて・・
そうは言っても、押さえるのが難しい・・
そんなあなたは、ぜひ 当院へ。
熟練の爪切り お見せしますよ。


当院は、ソーシャルディスタンスに気をつけ、三密を避けながら 今日も元気に診察していますよ。
あなたのご来院、お待ちしています。