はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

アナフィラキシー?それとも…

WWDC21で新しいAirpodsの発表がなかったので、SONYのWF-1000XM4に浮気しそうな朝です。
地獄耳なあなたも、耳年増なあなたも。
おはようございます。あなたの職場の拡声器、1号です。


さて、いよいよ ワクチン接種が本格化していますね。
医療従事者の1号母は既に2回接種済みで、いよいよ父にも接種券が届いたそうですよ。


これほど大人数に一気に打ち進めるワクチン接種では、一番心配なのが、やはり 迷走神経反射。
突然顔色が悪くなって、フーッと倒れてしまう、あれです。
昔、朝礼や集会で見た!とか、なったことある!という方も 多いかもしれません。


アナフィラキシーなんかの副反応と間違えやすいですし、何より 急に倒れますので、びっくりしますよね。
あれは、簡単にいうと、自律神経のバランスが崩れて血圧が急降下し、脳へ血がいかなくなって 気絶してしまう・・というのが病気の流れ。
自律神経のバランスが崩れるきっかけは さまざまありますが、ひどくショックを受けた時や、強い痛みなどがきっかけで発症することも よくあります。
1号も ねこさんに思い切り噛まれたときなど 何度か発症しそうになった経験があります。
咄嗟に頭を低く下げ、倒れてもいいように壁にもたれてしゃがみ込むことで 気絶にまでは至りませんでしたが、看護師さんを怯えさせてしまいました。
ヒトだけではありません。
どうぶつでは ワクチン接種で遭遇することは稀ですが、手術中や 交通事故などの大怪我、強い痛みのある 胃捻転などでは 時々遭遇するのですよ。


そんな 迷走神経反射。
予防に効果的なのが、横になるということ。
要は 脳への血流が減って倒れてしまうわけですから、最初から横たわっておけば 倒れて怪我をする心配はありませんし、
そもそも脳への血流が減らなければ 発症もしないで済みますからね。
そう、これがどうぶつでは起こりにくい理由でもあります。
どうぶつは基本的に四つん這いですから、直立する人間よりも そもそもの姿勢として 迷走神経反射が起こりにくいのですね。


ちなみに、迷走神経反射は、その名の通り 反射です。
つまり、注射や痛みに強いとか弱いとか 男性か女性かとか 大人か子どもかとか、そういうことではないのですね。
注射が苦手とか、怖いという方だけではなく、別にそういったことがなくても 体調や姿勢によっては起きてしまうのが 迷走神経反射なのです。
1号は経験がありませんが、どうぶつに注射を打ったら飼い主さんが倒れた!という経験のある獣医さんは多いもの。
自分自身が注射をされなくても、起きてしまうことすらあるのが 迷走神経反射なのです。


ちなみに、手術中にどうぶつの迷走神経反射が起こらないよう、当院では 点滴をします。
(もちろん、迷走神経反射の予防だけが 点滴の目的ではありませんよ)
これで血圧を維持しつつ、万一のことが起きたら 点滴からすぐに薬を入れられる体制を作っておきます。
当院では、麻酔医と執刀医がそれぞれ別におり、どちらも必ず獣医師が務めますので、麻酔中の事故は 今までに起きたことはありません。


何もなくとも脳への血流が下がりがちな 妊娠中。
大事を取るね、と横になったその瞬間、ウッカリ一瞬で寝てしまい、採血に来られた産婦人科の看護師さんをすごく心配させたこと ここで懺悔します。
ちょうど上の子が夜中何度も起きてしまう時期で眠かったんです・・・


わんちゃんやねこさんの爪切りやワクチンで 迷走神経反射が起きてしまう!という飼い主様のために、お預かりして 処置を終わらせることもできます。
当院は、三密だけでなく、迷走神経反射にも配慮して 診療を行なっていますよ。
迷走神経反射を経験したあなたも、まだのあなたも。
あなたのご来院、お待ちしております。