はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

ペットのダニ対策を考える


やっと本格的に桜が咲きましたね。
先日、ようやく お花見をしましたよ。
ミスド片手に見上げた桜、みなさまにも お裾分けします。

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寒い冬が過ぎ、暖かくなる季節。
わんちゃんやねこさんたちにとって快適なものであるべきですが、ダニの活動が活発化するこの時期には、特別な注意が必要です。
特に、重大な健康リスクを引き起こす可能性のあるSFTS重症熱性血小板減少症候群)。
先月、日本国内でも、人から人へ感染する事例が報告されました。
どうぶつと暮らすわたしたちは、そうでない人よりも リスクが高いので、予防策をしっかりとお話ししたいと思います。


### ダニによるリスクとは?

ダニは小さいながらも、ペットや人間に様々な病気を運ぶ可能性があります。
これらの病気の中でも 特に恐ろしいのがSFTSウイルスです。
SFTSはダニに咬まれることでうつるウイルスで、発症すると高熱、嘔吐、下痢、血小板の減少などの症状を引き起こす可能性があります。
残念ながら、この病気には現在、特効薬がなく、感染すると3-4人に1人は亡くなってしまうという 非常におそろしい病気です。

わたしたち人間は、
・草むらなど、ダニのいそうなところへ近づかない
・長袖や長靴を着用し、野外では皮膚を出さない
といった対策が可能ですが、どうぶつたちの場合は難しいですよね。
どうぶつが家にダニを持ち帰ってしまうと、家に定着してしまいますから、どうぶつのいない人よりも いる人のほうがハイリスクになります。


### どうぶつたちのダニ対策
というわけで、大切になってくるのが どうぶつたちのダニ対策。
さっそく、見ていきましょう。

1. **定期的な予防薬の投与**:
最強にして至高。
獣医師の指導のもとで定期的な予防薬を投与することが ベストな対策です。
これには、スポットオン剤や経口薬が含まれ、ダニの付着を防ぎ、咬まれることによる感染リスクを減らしますよ。
首輪タイプや、蚊取り線香タイプは効果が中途半端なので、どうせお金を払うなら、少し高くても 確実に効くものを使いましょう。
そして、インターネット販売でニセモノを掴まされる可能性が高いのも この方法。
特に、海外からの並行輸入を謳うものでは、薄めたり 安いものとすり替えたりするのも多いと聞きます。
安心・安全な 動物病院での処方をお勧めしますよ。


2. **環境管理**:
わんちゃんやねこさんが遊ぶ庭は、定期的に手入れをし、ダニの生息地を減らすことが重要です。
背の高い草や落ち葉はダニの格好の隠れ家となるため、これらをこまめに清掃しましょう。
お散歩コースも、こういったものがないルートを選ぶようにしましょうね。


3. **ペットのチェック**:
散歩や外遊びから帰ったら、わんちゃんやねこさんの体を丁寧にブラッシングし、ダニが付いていないかをチェックしてください。
特に、耳の後ろや首周りなど、柔らかい部分にダニが隠れている可能性があります。
もし、見つけたら、無理に取らずに すぐ動物病院へ!


### SFTSへの理解と対策

SFTSには、まだ確立された治療法がないため、予防が最も重要です。
わんちゃんやねこさんと外へ出かける方は、必ず予防薬を使いましょう。
もしペットが急に体調を崩し、上記のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院へ連れて行くことが重要ですよ。


### 最後に

ダニ対策は、みなさんのどうぶつたちが安全で健康的な生活を送るために不可欠です。
また、SFTSのような重篤な病気からどうぶつたちを守るためにも、正しい知識と対策が求められます。
どうぶつたちの健康を守るために、今日からでもダニ対策を始めてみませんか?

みなさんのご来院、お待ちしています。