出ました。
今シーズン第一号、尿路閉塞で担ぎ込まれる猫さんです。
人間でもそうですが、おしっこのトラブルで悩まされるのは、圧倒的に 男の子が多いんですね。
理由も人間とまったく同じで、男の子は 尿路が細くて長いから。
細いから、女の子に比べ 小さな結石でもかんたんに詰まってしまうし、詰まりやすい部分が長いので、とてもリスクが高いんです。
わんちゃん、ねこさんで比べた場合、ねこさんのほうが より石が出来やすい体質の子が多いので、うんとざっくり言うと、男の子の猫さんが最もハイリスク…といえるでしょう。
例年、水分の摂取量が落ち始める秋から冬にかけて、尿路閉塞を起こして 担ぎ込まれる子がいます。
尿をまったく出すことができないと、即 命に関わります。
実際、倒れているところを発見されるのが多いのも、完全閉塞といって 尿をまったく出せない状態になってしまっている子です。
とはいえ、少しずつでも出ていると、どうしてもどうぶつたちは症状を隠すため 見逃してしまいがち。
これを防ぐためには、まずは 尿のチェック。
メーカーによっては 尿のphによって色が変わるシーツやトイレ砂を出しているところも。
ねこさんの場合、トイレ砂の好みが強い子も多く、気に入らないと 頑として使ってくれない子もいますので、難しいところではありますが、いつものやつに ちょっと混ぜて様子を見るというのは 一つの方法です。
混ぜるのではなく、全部使うよりは 反応は落ちるでしょうし、メーカーがいうほどのわかりやすさではなくなってしまうかもしれませんが、それでも 使っていくことで 比較ができますからね。
ただ、こういったphを見るものは、基本的に 排尿直後のもので見なければ、あまり意味はありません。
時間が経つと、どんどん変色してしまいますからね。
それに、わりと劣化が早いという欠点も。
あまりにも古いものも、色の変わり方がおかしくなったりしますから、商品の回転の悪いお店などで購入するのも 考えものだったりします。
ですから、以前おしっこトラブルで通院したことのある子は、月に一度とか、三ヶ月に一度といった頻度で 定期的に尿検査を受けておきましょう。
ほかにも、兄弟猫がおしっこトラブル…とか、何か心配があれば やっておくに越したことはありません。
尿検査だけなら、そこまで高くはありませんし、朝 出勤前におしっこを置いていき、帰りがけに結果を聞いていく…ということも、対応していますよ。
実際、以前そのようにしていた方もおられましたから。
それから、水を飲む量を増やす工夫も大切です。
単純に、水をたくさん飲めば、その分 おしっこは薄まります。
その結果、石になってしまう前に、体の外へ押し出すことができますから、詰まるトラブルは 起こしにくいんですね。
とはいえ、ねこさんの場合、わんちゃんのように フードをふやかすとか、スープタイプのごはんを使うといった方法は 取りにくい子も多いもの。
給水ボトルではなくて、お皿でお水を置いておくといった 基本中の基本はもちろん、流れる水が好きとか、白いお皿が好みといった、その子独自の好みがありますから、できる限り好みに寄り添って 少しでも多くの水分がとれるようにしてあげましょう。
そして、なによりも大切なのが、ふだんからその子の様子を 注意深く見ていくということと、
おかしいな?と感じたら、早めに病院に掛かることです。
今回、担ぎ込まれてきた子も、実は 飼い主さんは おしっこが減ってきたようだ、とは気付いていたのだそうです。
でも、寒くなったからかな?とか、自分なりに結論を出してしまったのだそう。
とはいえ、完全に油断をしなかったから、倒れてもなんとか 死んでしまう前に病院へ連れてくることができました。
尿路閉塞は、命に関わる病気です。
それを予防するには、薬よりも ごはんよりも ふだんの観察。
そして、少しでも気になることがあったら、気軽に病院で尿検査を受けることが大切です。
なんなら、うちの子のデータをストックさせてあげる!と、ボランティア感覚でお越しいただくくらいで ちょうどいいくらいです。
検査をして、違ったら、ヨシっ、普段のデータを 病院にストックできた!と、一緒にガッツポーズして 喜びましょう。
そして、もしも そうだったら…
大切な家族を、自分の手で 発症して苦しむ前に、病気が深刻になる前に、取り返しがつかなくなる前に守れたことを誇りましょう。
それは、学校の屋上から叫んでいいし、渋谷の電光掲示板で流していいし、Twitterで河野太郎大臣にメンションを飛ばしていいくらいのことなんです。
だってそれは、飼い主さまにしかできないこと。
とても素晴らしいことなんですから。
あなたのデータ、ストックさせてください。
ご来院、お待ちしております。