はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

診察をおすすめする場合、様子を見ても良さそうな場合

連休が明けました。
引き続き自粛を続けているみなさんも、出勤やふだんの生活に 徐々に戻っていかれるみなさんも。
お疲れ様です。
まずは、体調重視、健康最優先でいきましょう。


さて。
現在のような、イレギュラーな事態が続きますと、ペットたちも体調を崩しやすくなります。
かれらの生活自体は変わっていなくても、家族の生活パターンの変化はもちろん、精神面での変化。
人間だけでなく、どうぶつたちも、こういったものが顕著に体調に反映されるんですね。
これには、大きく分けて、消化器症状といって お腹に来る子と、皮膚症状…つまり、肌荒れになる子がいるようです。
また、腰や関節を痛めたことのある子、てんかんなどの発作持ちの子の場合、そちらの症状が出てくることも多いようですね。


こういった、いつもの症状…体調不良というより、不調 くらいの症状の場合、受診を迷われることも多いもの。
自粛で ずっと家にいますと、ずっと目につくので 気になってしまうという方も多いです。
とはいえ、大したことでないのなら あまり受診もしたくないというのが本音ですよね。
まずは電話で…とご相談をいただくことが多くなっています。


当院でお勧めしている受診のめやすは、
・その子のふだんの様子をいちばんご存知の方が、受診したほうがいいかもと感じられる場合
・常備薬がなくなった場合
・いつもよりも症状が重い気がする場合
・いつもと違う症状がある場合
などです。
でも、どれにも当てはまらなくとも、受診していただいても問題はありません。
動物病院は、休業要請の対象にはなっていませんし、当院は 動物病院の受診は どうぶつたちの権利と考えています。
ですので、たとえ 爪切りやシャンプーのご希望でも、飼い主さまが必要と感じられるのであれば、それは必要な受診。
ふだんと同じように、ご来院ください。


そうは言っても、家庭内にハイリスクの人がいるから…と お悩みの方。
お気持ち、よくわかります。
1号も、実家の両親はどちらも基礎疾患がありハイリスクですし、母に至っては、ハイリスクでありながら 人間の病院で勤務をしていますから。
万が一、自分が持ち込んでしまったら?と、心配ですよね。


上記に当てはまる場合は、受診をしていただきたいのですが、難しい…怖い…という場合。
1号が、うちの子に試してみるであろう方法をお知らせします。


●消化器症状のある場合
ご飯を抜きます。
吐いているなら水も抜きます。
吐き気がなければ水だけで、まる一日様子を見ます。
その後、まずは重湯、おかゆ、ふやかしたフードと段階を追っていつものごはんに戻していきます。
途中で症状がぶり返したら、またご飯を抜いて初めからです。


草を食べて吐くとか、オエッとやる場合は、吐いてスッキリしようとしている状態です。
これから本格的な消化器症状へと進んでしまう場合もあれば、少し吐いてスッキリする場合もありますが、
いずれにせよ 少し油分は控えた方がよいかも。
できれば、カリカリに熱いお湯をかけて、油抜きをしてから与えるとよいですよ。


水も飲ませていないのに吐きつづける場合や、何かを飲み込んだ可能性があるときは、即病院へ。
当院の経験では、錠剤の包装やとうもろこしの芯を飲んでお腹を開けたことがあります。
吐き続けている子のお腹を開けたら、丸めた靴下や大量のキン●マン消しゴムが出てきたという話も耳にしたことが。
こんなもので?というようなものでも、詰まるときがありますから、飲み込んだかも?と思う場合は病院へ連れていきましょう。


●皮膚症状のある場合
まず予定を調整して、時間を作ってシャンプーをします。
毛の短い小型犬でも最低1時間。
大型犬や毛の長い子は半日以上必要です。
シャンプーには時間がかかりますから、時間が取れないのであれば洗わないほうがマシ。
まずは予定を調整しましょう。


家に薬用シャンプーがあればそれを。
ない場合は、出来るだけ肌に優しいものを選び、洗面器1杯のお湯に、小型犬はポンプ半押し、中型犬は1押し、大型犬や肌が脂性の子は1押し半分のシャンプーを入れて静かに混ぜて溶かします。
まずは地肌までシャワーでよくよく濡らし、シャンプーを溶いた液体を首筋から尻尾のほうへゆっくりとかけます。
次に、地肌を優しく手のひらで撫でて、もみ洗い。
このとき、泡が立つかどうかはあまり重要ではありませんので、泡立たなくても大丈夫です。
また、皮膚症状が出ているときは、洗うこと自体も刺激になる場合もあります。
指や爪ではなく、手のひらで撫でるように洗うのがポイントです。


すすぎは、シャンプー液をつけていた時間の倍以上の時間をかけます。
シャワーヘッドを直接地肌に当ててお湯をかけてあげることで、シャワーの水流で却って泡立つことがなくなりますから、効率がいいですよ。


その後、たっぷりと時間をかけてドライヤーで地肌を乾かします。
ここが一番大切で、一番しんどいところですね。
時間もいちばんかかります。


ドライヤーは皮膚には近づけず、熱ではなくて風で乾かすのがコツです。
地肌が乾くころには、毛も勝手に乾いていますから、地肌を乾かすことだけ考えて乾かしましょう。
片手でドライヤーを持ち、もう片手にタオルを持って拭きながら乾かすのが早いようです。
風を当てる場所は、必ず毛をかき分けて地肌に当たるようにします。
地肌が乾くと、地肌に近い根本の毛の色が変わりますから、すぐにわかりますよ。


地肌が少しでも湿っていると、そこから菌がワーッと増えて、とびひのようになってしまうことがあります。
ですから、乾かす工程にたっぷりと時間をかけられるときでないと、洗ってはいけません。
暖かい時期だからとか、夏だからと洗いっぱなしで放っておくと、皮膚病まっしぐらなので気をつけましょう。


赤い輪っかのような斑点がたくさんあったり、かきこわして血が出ている箇所が複数ある場合は、塗り薬や飲み薬が必要かも。
指の間が真っ赤になっているときや、酸っぱい臭いがあるときも、専用のシャンプーでの薬浴やお薬が必要な場合があります。
人間によくある水虫の薬は効かないばかりか、成分が強く却って肌荒れが悪化することが多いので、とりあえず塗って様子見…というのはおすすめしません。


●関節痛?歩き方がいつもと違う場合
緊急事態なのは、まず腰がいきなり立たなくなった場合。
特に、ねこさんで、腰が抜けたように見える場合、心臓が原因でその症状が出ている場合があります。
放置すると突然心臓が止まることがありますから、すぐに病院へ駆け込んでください。
それから、走っていて急に向きを変えた場合などに、キャン!と悲鳴を上げて足をつかなくなることがあります。
これも緊急事態。
膝の靭帯を痛めた可能性がありますから、すぐに病院へ。
また、高いところから落ちてしまって、その後様子がおかしい場合も 急いで病院へ行きましょう。
低床タイプの車から降りようとして落っこち、足を骨折したトイプーちゃんを診たことがあります。
チワワ、トイプー、ポメなど、小型カワイコちゃんたちは、ソファーから落ちて骨折することもよくあるんです。
足のつきどころが悪ければ、10cmくらいの高さから落ちても骨折しますから、落ちた場合にはよく確認をしてください。


こういった緊急事態には当てはまらなそう、でもなんか様子が変…という場合には、歩き方をよくチェックします。
足を引きずって歩いているのか?
それとも、足を地面に付けずにケンケンして歩いているのか?
片足なのか?両足なのか?左右で違いはあるか?
じっくり観察することで、痛い場所の見当をつけましょう。


引きずっている場合は、股関節か腰の可能性が高いです。
これは飲み薬やサプリメントなどが必要。
病院の受診が難しい場合は、MSMという成分の入った人間用のサプリメントを、体重に合わせて減らして飲ませてみてください。
関節痛の人用サプリ みたいなコーナーで見つけられると思います。
出来るだけMSM以外の成分が少ないものを選んでくださいね。


ケンケンの場合は、膝、足首、または足裏の可能性が。
お散歩の後とか、公園でちょっと運動した後などですと、足の裏に何か刺さっていたりするかも。
自粛により、草がふだんよりも勢いよく伸びているエリアも多いので、草の実やトゲなどが刺さっていないかよく確認してみてください。


特に何も見当たらない場合は、少し様子を見てみましょう。
いずれ、どうぶつはその痛い箇所をなめたり、かじったりし始めます。
そうなったら、改めてそこをじっくりと観察してみてください。
それでも何も見当たらない場合は、数日間様子を見てみてください。
様子を見ているうちに軽快すればよし。
いつまでも軽快しないとか、どんどん悪化していく場合は早めに受診を。


いろいろと書きましたが、最後はやっぱり、飼い主さま自身が 受診がいると思うかどうか?です。
たとえ、いまは様子見で大丈夫 という先生の診断でも、飼い主さま自身で必要と思って 診察したのであれば、それは必要な診察なんですよ。


それでも迷う時は、お気軽にご相談ください。
あなたのご来院、お待ちしています。