はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

皮下点滴には何が入っているのか

日に日に、夜明けが遅くなってきていますね。
毎朝綺麗な朝焼けを見られてうれしい1号です。

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羽田空港の夕焼け


夜明けが遅くなり、冬が近づくと、着実に増えるのが皮下点滴。
それは、腎不全 という病気に関係しています。

 


腎不全は、腎臓の機能が落ちる病気です。
腎臓の機能というのは、体内の老廃物を濾しとり、少しの水に溶かして身体の外へ排泄する という機能。
言い換えれば、おしっこの濃さを調節するのが 腎臓なんですね。


これがうまくいかなくなるのが、腎不全という状態です。


ですから、腎不全になると、おしっこの濃度が下がります。
言い換えると、薄いおしっこをたくさんするようになるということ。


するとどうなるか。
おしっこでどんどん出て行ってしまうから、身体は水不足の状態になります。


つまり、脱水になってしまうんですね。


脱水予防、
言い換えると 脱水による 身体へのダメージを減らすため、
わたしたちは 皮下点滴 というケアを提案することがあります。


これは、体液と近い組成の水を滅菌したものを、身体の状態に応じた量 背中に入れてあげるというもの。
入れたてのときは、ラクダのこぶのような見た目になります。


皮膚の伸びるねこさんですので、痛みはほとんどなく、何度か経験していれば気にすることもほとんどありません。
体格にもよりますが、当院の患者さまは一度に250mlを入れて、中1日か2日くらいで通うか、お家で処置をしていただくか。
ねこさん本人の協力が得られれば、かもいやハンガーなどに引っかけて一人でもできます。
難しいものではないので、お家で自分でされている方も多いですよ。


そして、本題。
あれには何が入っているのか。


当院では、水分+体液に近い組成にするために必要最低限のミネラル分だけ というときと、ビタミン剤などを足している場合があります。


まず、ベースとなる水分を、皮下点滴でケアをしたい病気の症状、その子の体質などに応じて、ミネラルの割合や成分などの違う何種類かから選びます。


次に、ビタミン剤を入れるかどうかを考えます。
石のできやすい子など、体質によって使えないことがありますし、
肝臓も弱っている場合など、量に加減が必要な場合もあるので、慎重に決めています。
使える場合には、マルチビタミンなどを使い、身体への負担を抑えつつ、できるだけ多くの栄養を入れるようにしています。


最後に、強肝剤や薬などをオプションで加える必要があれば、加えたりもするのですが、
脱水が起きるくらい 腎臓が弱ってきているときには、使ったほうが却って体調を崩してしまうこともあるので。
加えるかどうかは、ビタミン剤よりもさらに慎重に決めています。

 


皮下点滴 と一言で言っても、中身は病状によって違います。
水分だけの ごくシンプルな処方にして 負担を最小限に抑えて状態の改善を目指すときもあれば、少し身体へ負担をかけてでも いろいろな栄養を加えて大きな改善を目指すときもあります。
これ、何が入っているのかな?と思ったら、ぜひ 聞いてみてくださいね。


あなたのご来院、お待ちしています。