はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

RSウイルス感染症の、話をしよう

早いもので、九州・四国では 梅雨が明けたそうですね。
その一方、関東では いよいよ東京五輪に向けた動きが 始まっています。
ワクチンを打てた方も、まだこれからの方も。
引き続き、対策をしていきましょう。


さて、今日お話しするのは、同じく 肺炎を起こすウイルス… といっても、大人にとっては コロナほどはメジャーでないウイルスです。
とはいえ、未就学児を育てるみなさんには、聞いたことあるな…という名前ではないかと思います。
その名も、RSウイルス。
ヒトだけでなく、ウシもかかる病気なので、私たち獣医師も RSウイルスについては勉強をしているんですよ。


RSウイルスは、麻疹とも近いウイルスで、同様にとてもうつりやすいウイルスです。
コロナと同じく、患者さんの咳やくしゃみに含まれたウイルスを吸い込む 飛沫感染や、ウイルスのついた手で口や鼻に触れることで感染する 接触感染によって広まります。
その名前のとおり、呼吸器症状を起こすのですが、中でも気管支や肺など、深い部分に症状が及ぶことが多いので、乳幼児突然死症候群の原因の一つとも言われています。
そして、牛も、人間に似たような症状が出ます。
牛の場合は、生ワクチンといって 実際のウイルスを弱らせたものを注射して免疫を作らせる方法で予防をしますが、人間のワクチンはありません。


症状が出ても、コロナと同じように、特別によく効くお薬はありません。
したがって、対症療法といって、脱水を起こしたり ひどい肺炎や気管支炎で息ができない!といったことがないよう、点滴で水分を補ったり、酸素室に入れたりします。
ヒトと違い、牛の場合には、お肉や牛乳が作れないので、もうそのまま…ということもよくあります。


この、RSウイルス病が、今増えているのだそうです。
もともとは 冬に多く流行する病気でしたが、今は7月ごろから流行が始まるそうで、特に 去年は自粛していてあまり流行しなかった分、今年は いつもよりも多く出ているのだそうですよ。
病気自体は、症状や抗原検査、ウイルス自体を検出することで 診断ができます。
一度感染してしまうと、症状が治まった後も しばらくは周りの人にうつしてしまう可能性がありますので、保育園や幼稚園で流行っている場合、早めに検査を受けましょう。


幸い、RSウイルスは、それほど 頑丈なウイルスではないので、きちんと咳エチケットや手洗い、うがいなどをしていれば、かからないか、かかっても軽く済む場合もあります。
それに、ごく一般的なウイルスですから、小学生以上になれば、それほど深刻な症状が出ないくらい 免疫がつくともいわれています。
未就学児で 初めて感染する場合や、別の病気などで弱っているところへ さらに感染すると、症状がひどく出てしまうことがあるので、小さく産まれた赤ちゃんなどは もしかかってしまってもひどくならないよう、抑えてくれる薬を あらかじめ小児科の先生から処方されることもあるそうです。
その場合は、先生の指示にしたがって きちんとお薬を飲ませてくださいね。


なぜ突然人間の病気の話を…と 思われるかもしれません。
実は、1号家の次女が RSウイルス感染症で 1週間入院したことがあるのです。
生後6ヶ月の頃のことでした。
もう何年も前のことですから、今とは違って入院中の面会制限などもなく、恵まれた入院生活を送らせていただいたとは思うのですが、思い返すと やはり 大変だったな…とか、看護師さんて本当にありがたいな…と感じることの方が多いのです。


去年はコロナの影響でRSウイルスも発症が少なかった…
ということは、去年と同じくらいに対策をすれば、コロナだけでなく RSウイルス感染症にもならなくて済みます。
ワクチンが存在しないRSウイルスも、小さい子供にはまだワクチンが使えないコロナも、まとめて対策をするなら やっぱり 手洗い、マスク、接触回避。3つの柱が重要です。


当院も、これらを守りながら 診察を続けていますよ。
動物病院の受診は、必要至急。
あなたのご来院、お待ちしています。