はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

混合ワクチン、ちゃんと選んでますか?

前回、前々回と、時事ネタが続きました。
そのためか、ついに10000PV達成。
たくさんの方に見ていただき、ほんとうにありがとうございます。

さて。
10000PVブロガー として、最初に選ぶ話題は ワクチン。
4月に狂犬病予防注射を打って、1ヶ月空けて 混合ワクチン。
病院からお知らせが来たから、打たなくちゃ…と言ってるうちに、ありゃもう6月、なんならもうすぐ7月!という方。
ゴールデンウィーク狂犬病予防注射を打って、混合をそろそろ…と言いつつ、気づけば月末!の方。
ワクチン、勧められるままに打っていませんか?
子犬の頃から、毎年同じものを打ち続けていませんか?
当院が、実際に診察室でみなさんにお伝えしている選び方を ここでお伝えします。

インターネットなど見ていると、「獣医はワクチンでぼったくって儲けている」「狂犬病ワクチン混合ワクチン、フィラリアやノミダニ予防は獣医の金づる」「だまされてはいけない、予防などしなくても病気にはならない」なんて、まことしやかに書かれていたりします。
もっともらしく、さも知識がありそうに書いているものの、獣医師免許も持っていなければ 内容から判断してまともな免疫学の知識もなさそう、さらに根拠もどこにも書かれていない…と、科学的な文章にはなっていないんです。
でも。
そんなものにだまされてしまうようなことがあってはいけませんから。
選び方の基準、お伝えいたします。

まず。
混合ワクチンというのは、当然ですが 1回の注射で 複数の病気を予防できるもの。
この 予防できる病気の数が 「○種混合」の ○の部分にきます。
なので、「6種混合」といわれれば 6種類の病気が、「8種混合」といわれれば 8種類の病気が予防できるわけです。
当院がわんちゃんに使っている 8種混合のワクチンは、6種混合のものに もう2種類の病気に効くものが追加されているタイプ。
プラス3000円で さらに2種類!?じゃあ8種で!と思いがちですが、ちょっと待ったーーー
そこまで必要のない子もいるんです。

8種のほうでだけ予防できるのは、レプトスピラという菌の起こす病気。
これは、菌を持ったネズミのおしっこから 広まっていく病気です。
でも、今、都市部でネズミをたくさん見かけること、あまりないですよね。
現代の日本では、池や川などの水や土があるような場所、ネズミのたくさんいる 森や山などでひろがる病気なんです。
そういうところへ よく行く子なら、レプトスピラの予防をしたほうが安心です。
でも、インドア派でお散歩もあまり行かないし、専門業者さんが定期的にネズミの駆除薬を撒いていくようなマンションで暮らしている子には、あまり必要性は高くないと思いませんか?
わんちゃんのワクチンは、ライフスタイルで選んでいただきたいと思います。

いっぽうの ねこちゃん。
こちらも、ライフスタイルによって 3種混合と5種混合を 使い分けるのがおすすめです。
具体的には、外へ行く子は 5種。
完全室内飼いの子は 3種。
ちなみに、本人は外へは行かないけれど 同居猫さんが外へ行く子の場合、5種を打っておきましょう。
5種のほうにだけ入っている 白血病クラミジアのうち、白血病が特に命に関わりやすい病気です。
これは、猫さん同士のケンカでうつる病気ですから、ケンカのリスクのある外へ行く子は ぜひ予防を。
おとなしい性格でも、他の猫に噛み付かれて 病気をうつされる可能性もありますから、外へ行くなら必須です。

ペットショップや 保護施設などでは、とにかく多く打ったほうが安心!と、とにかく数字の大きいもの、たくさん予防できるものを打ちがちです。
おうちに来たあとも、なんとなくそのまま同じものを続けている…という方、とても多いです。
でもね。
不必要なワクチンまで、打っても仕方ない。
それが当院の考え方です。
毎年のことだけど、もう一度、見なおしてみませんか。
ご相談も お受けしています。
あなたのご来院、お待ちしています。