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猫の春:栄養管理のはなし


近所でたまに見かけていた ねこさん。
明らかにお腹が大きくて、気になっていたのですが、先日 子猫を連れているところを見かけました。
それと前後するように、保護用のケージらしきものがいくつか置かれるように。
早く保護してもらえるといいね…と思います。


ねこさんは、日が長くなってくると 子どもができる生き物です。
専門用語では、長日繁殖動物といい、ほかにウマやクマなども 同じような時期に子育てをしますよ。


このことと関連し、春から夏にかけて ねこさんの行動パターンは大きく変化します。
より活発になり、運動量が増えるのです。
これは、避妊・去勢の手術を受けている・いないに関わらず起きる変化で、これに伴い、適切に栄養を取ることが非常に重要になるのですね。
普段以上に、高品質のタンパク質、ビタミン、ミネラルを取ることが大切ですよ。

 

1. **高品質のタンパク質**:
タンパク質は、ねこさんの筋肉や組織の修復に不可欠です。
鶏肉、魚、卵などの高品質なタンパク質を含むフードを選びましょう。
ただ、尿石のできやすい子や、腎臓病などでタンパク質制限をしている子もいます。
特に、尿石体質の子は、一度の食事であっという間に石になってしまうことがありますから、
自信がない時は、あげる前に動物病院に確認するようにしてください。

 

2. **ビタミンとミネラル**:
ビタミンA、ビタミンD、カルシウム、リンなどは、ねこさんの骨の健康と全体的な免疫機能の維持に重要です。
これらをバランス良く含む食品を選ぶことが大切ですよ。
一般的なドライフード、いわゆるカリカリならほぼここは問題ないのですが、手作りの食事を食べる子や、偏食などでオヤツメインの食事を取っている子は 引っかかってしまう可能性が。
少なすぎはもちろん、多すぎてもよくないので、よく確かめてからあげるようにしてください。

 

3. **水分補給**:
活動量の増加と共に、ねこさんの水分需要も高まります。
常に新鮮な水を用意し、ねこさんが十分に水を摂取できるようにしましょう。
流れるお水が好きな子、お皿派、水道からの直飲みでないと飲まない子など、ねこさんにはいろいろな派閥があります。
その子がいちばん水分を取れるやり方で 飲ませてあげてくださいね。

 

そして、ねこさんの栄養管理をする上で 非常に重要なチェックポイントが2つ。

 

1. **定期的な食事の確認**:
ねこさんの食事内容を定期的に見直し、季節の変わり目に合わせて調整を行うことが推奨されます。
体重や活動レベルの変化に注意しながら、必要な栄養素がすべて含まれているか確認しましょう。
とはいえ、急にガラッと食事を変えると、食べなくなる子も多いもの。
できるだけ、もともと食べていたものから変えることなく、量の調整や足し引きでどうにかできるといいですね。

 

2. **小分けにして与える**:
一日に何回かに分けてごはんを与えることで、ねこさんの代謝を助け、エネルギーの供給を均一に保つことができます。
とても大切なのが、一定の時間が経ってもまだ残っているごはんは下げてしまうということ。
ごはんを置きっぱなしにし、いつでも食べられる状態だと、ずっと血糖値が高い状態が続くので、糖尿病のリスクが爆上がりするんです。
ですから、5分とか10分とか、予め決めた時間が過ぎたら 残っているごはんは下げてしまって、その代わり 食事回数を増やしてあげてください。
血糖値が下がる時間帯を作ってあげてくださいね。


春は、ねこさんたちにとっても新しい季節の始まりです。
適切な栄養管理により、ねこさんが健康で活動的な春を過ごせるよう サポートしていきましょう。
ちょっと自信ないなあ…とか、こんな場合はどうしたら?なんて方は、お気軽にご相談ください。
みなさんのご来院、お待ちしています!