はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

もしも、動物に噛まれたら

#咬傷事故 #咬まれた #人喰いバクテリア #台風

台風15号の雨による被害が大変なことになっています。
Twitterを始め、各種のSNSで、助けを求める声や 状況を共有する声や…
川辺で水に囲まれ、助けを求めている豚さんの写真も目にしました。
一つでも多くの命が、少しでも早く、安心して過ごせますように。


こんなふうに、災害の時には、パニックになっている動物に触れる場面もあると思います。
そんな時、絶対に気をつけてほしいのが、噛まれないようにする ということ。
いわゆる、咬傷事故ですね。


私たち人間も含め、動物の口の中には、たくさんの菌がいます。
噛まれると、その傷を介して、菌が体の奥深くに入り込んでしまうんです。


動物たちにとっては、普通に口の中にいる菌でも、種類によっては、私たち人間の 命に関わることも…
噛んだのが人間でも、皮膚や筋肉の奥深くに入り込んでいい菌なんて いませんから。
噛まれた!というか、動物の歯が皮膚を突き破った!ら、必ず 流水で傷をよく洗い、人間の病院を受診してください。
日中で、病院を選べる状況ならば、皮膚科か外科が良いと思いますが、夜なら 夜間診療でもいいです。
噛んだ動物の種類、傷の大きさによらず、咬傷は緊急事態ですからね。


どうして受診を急ぐのか。
それは、抗生物質の効きに関わってくるからです。
早く受診すれば、早く抗生物質を使えるので、早く菌が減ります。
薬なんて飲まなくたって、ちゃんと洗っておけば…と簡単に捉えられてしまうこともあるのですが、最近、咬傷事故でいわゆる「人喰いバクテリア」に感染してしまうことがあるとわかってきました。
他にも、狂犬病トキソプラズマなど、命に関わる病気をうつされてしまうこともあります。
一刻も早く 病院に行くことが大事ですね。


さらに、猫さんなど、歯が細い子たち。
細い歯のつける傷は小さいので、早く塞がってしまいます。
すると、奥にまだ菌がいて膿がある状態なのに、傷が塞がってしまって 出どころがなくなってしまうんですね。
こうなると、とても厄介で、薬の効きも悪くなりますし 治りも遅くなってしまいます。


噛まれた傷は、一見小さく、大したことなさそう…に見えてしまうこともあります。
でも、そこから菌が入ると、場合によっては ひどく腫れ上がったり、命に関わることも。
恥ずかしながら、動物病院では比較的起こりやすい事故でもあります。
そして、ちょっと歯が入っただけだから…と放置して、後日腫れ上がったり、高熱を出したり。
そのまま、長く抗生物質を飲む羽目になったり、入院することになった後輩や同級生もいます。
本当に、舐めてかかると 大変なことになってしまうのが、動物による咬傷事故です。


噛まれたら、とにかく急いで 病院へ行きましょう。
噛まれたのが人間なら 人間の、動物なら 動物の病院へ、とにかく急いで 行ってくださいね。