はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

豚コレラ 改め CSFのはなし 狂犬病ワクチンを打ちましょう!

秋が深まってきました。
秋、人間は、インフルエンザワクチン、花粉症対策のレーザー治療など、やることがたくさん。
秋冬はどうしても病院にいく機会が増えてしまいますね。


特に1号は子連れだし、待ち時間も長いし、帰宅が遅れる分翌日への影響も大きいので、通院は基本的に憂鬱なのですが、どうしてもいくしかないのなら、せめてちょっとしたぜいたくで幸せに、と、病院帰りには外食する派の1号です。
ぜいたくといっても、麺が大好きな子どもたちのせいで、基本的には丸亀うどん。
いや、うちたて茹でたてのうどんは最高に美味しいですよね。

f:id:kurimotoah:20191119054243j:image

と言いつつ 丸亀でないうどん。

この硬さでなければ、味噌煮込みうどんではございません。


そんな診察帰りの日、豚コレラが山梨でも出た、というニュースが。
それとともに、大きく書かれていたのが、豚コレラは人間には感染しません!の一文でした。


そうですよね。
狂犬病だって、狂牛病だって、病名に動物の名前が入っているけれど、人間にもうつる病気です。
コレラだってもしや…と、心配になって当然です。


そのため、農水省は改名を決めたそう。
外国と同じ、CSF という言い方で今後は行くのだそうです。


そもそも、わたしたち人間に感染するコレラは、細菌による病気。
ウイルスが原因の 豚コレラアフリカ豚コレラとは、まったく違う病気です。


じゃあなんでこんな紛らわしい名前にしたのか?というと、
たまたま、世界で初めて 豚コレラが出たとき、近くで症状の似た 人間のコレラも流行っていたのだそうです。
それで、よくわからないけど 仲間なのかな?と、つけた名前だったのだそう。
その後、研究が進み、まったく別な病気であることがわかったものの、慣習的に 呼び名は変えずにいた…ということなんだそうです。


たしかに、呼び名が変わると、また新しい病気かな??と、混乱しますものね。
でも、それよりも 豚コレラは人間にうつるのか?という心配をかけないことを 優先した…ということだと思います。
昔、狂牛病と呼んでいた病気も、狂犬病と紛らわしいとか、さまざまな理由により、牛海綿状脳症と呼ばれるようになりました。
最終的には、BSEと呼ばれるようになりましたよね。
IS(イスラミックステート)も、旧称の「イスラム国」は、実在する国家と紛らわしいから呼び方を変え、ISと呼ばれるようになりました。
同じことですね。


この 豚コレラ 改め CSF。
発生してしまった地域では、ワクチンを打って 感染の拡大を防ごうとしています。


悲痛な顔の 養豚農家の方が、絞り出すように「ワクチンを打ちたい」と訴える姿を、テレビでご覧になった方も 多いと思います。
これは、CSFのウイルスが、野生のイノシシに入り込んでいるので、イノシシの糞にウイルスが出てきてしまい、その糞が 土に紛れて、養豚農場に入ってしまう可能性があるからです。


当然、養豚農場では、外から土が入らないよう、二重三重に 対策をしていますが、野生のイノシシが養豚農場のごく近くで 糞をすると、乾いた糞は 粉となって舞い上がり、わずかな隙間などから 入り込んでしまうことがあるのです。
その粉の中には、ウイルスが含まれていますから、粉が入り込むことにより、養豚農場の中にウイルスが入り込んでしまう…というわけ。


そのため、同じ県内や、県境の近くでは、ワクチンを打ちたい。
たとえ、農場の中にウイルスが入っても、周りに被害を広げないよう、ウイルスが広がらないようにしたいんですね。


このように、感染症の爆発的流行、いわゆる パンデミックを防ぐ 最後の砦。
それが、ワクチンの接種です。


CSFは、26年間日本での発生はありませんでした。
でも、今回、26年ぶりに 日本で出てしまった…
それは、他の病気でも 例外ではありません。


わたしたちが一番気にしているのは、やはり 狂犬病
なんと言っても 致死率100%、すべての哺乳類に感染する病気ですから。
出てしまったときの恐ろしさは、致死率50-80%のエボラ出血熱や、種特異性 といって、違う種類の動物にはうつらない CSFやインフルエンザなどとは、桁が違います。
そして、たくさんの人やモノが行き来する ということは、それにくっついて ウイルスが侵入してくる可能性も増えている ということ。
もし、狂犬病が日本に入り込み、そして、発生、流行してしまったら…
どんな恐ろしいことになるのか、想像もつきません。


春、わんちゃんに注射を打ちそびれた方。
秋に、お住まいの市区町村から、ハガキが来ているかと思います。
そのハガキを持って、当院に狂犬病の予防接種を打ちにきてください。
狂犬病は、もはや 対岸の火事ではないんです。
目の前に迫った危機 なんですね。


あなたのご来院、お待ちしています。