はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

セカンドオピニオンの流儀

今週月曜日に放映された、「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
http://www.nhk.or.jp/professional/2018/0129/index.html
戌年ということで、ワンちゃんスペシャルと題し、犬に関連したプロフェッショナルたち3人の 特集回でした。

全国4万人近くの獣医師の中から取り上げられていたのは、小林哲也先生。
公益財団法人 日本小動物医療センターの理事長、埼玉の日本小動物がんセンターのセンター長を兼任され、日本獣医生命科学大学の非常勤講師でもあります。
この 日本小動物がんセンター、埼玉県所沢市にあり、当院からもセカンドオピニオンでご紹介したことが何度かあります。
小林先生と直接お話ししたことはないのですが、1号の同級生や後輩も勤務していて、勝手に親近感を覚えている病院さんでもあり、「日本小動物がんセンターでセカンドオピニオンを受けたい」といったお申し出があると、張り切って予約を取ってしまいます。
他にも、当院からセカンドオピニオンでご紹介することの多い病院さんといえば、武蔵境の日本獣医生命科学大学や、東京農工大学、ER府中など。

ただ、セカンドオピニオンで 日本小動物がんセンターや大学病院をご紹介することは、昔より多くはなってきましたが、まだまだ少ないのが現状です。
がんや難病をかかえる子と暮らす方のブログなどを拝見すると、
かかりつけ医に セカンドオピニオンを取りたい と言うと、わたしの診断が信用できないのか!?と思われるのではないか?
そんなご心配をされている方が多いようですね。
実際、当院でも、「セカンドオピニオンを取りませんか」とおすすめすると、「先生から勧められるとは思いませんでした」と驚かれる飼い主さまもいらっしゃいます。

当院では、セカンドオピニオンについて、「当院とはちがった見方での意見をもらえる」というふうに考えています。
そこに、優劣は存在しないんですね。
当院は わんちゃんやねこさんの診療に関して豊富な経験があります。ひとつひとつの症例に真摯に向き合っていくうちに、当院のカラーというものができていくので、経験のぶんだけ 当院の独自色は濃くなります。
高度診療施設をはじめとした他院さんで診ていただくことで、この当院のカラーに影響されない(他院さんのカラーには影響されていますが)診断を受けられます。
番組の中で、小林先生も同じようなニュアンスのことをおっしゃっていましたが、当院も 治療方針はわたしたち獣医師が決めるものではないと考えています。
あくまで、飼い主さまご自身が決めるもの・・・という考え方なんです。
その、治療方針を決めていただく 手がかりのひとつとして、わたしたちがお示しできるのが、病名や 獣医師としての意見です。
なので、手がかりは多い方がいい。
当院はこういう考え方なので、セカンドオピニオンを取っていただくことには大賛成ですし、こちらからお勧めしたりすることもあるんです。

セカンドオピニオンを、より権威のある病院で診断名を答え合わせすること のように捉えられている方もいらっしゃるかもしれませんね。
そういう方は、思い悩んだ挙句、かかりつけ医にはなにもいわずに そっと転院するようなかたちで セカンドオピニオンを取りに行かれることも多いようです。
でも、そういった形でのセカンドオピニオンはあまりおすすめしません。
というのも、費用も時間も 無駄になってしまうことが多いからです。

セカンドオピニオンのためには、通常、紹介状をご用意します。
症状や病気の経過、検査の情報、お薬の合う・合わないなどの体質といったさまざまな情報を、紹介先の病院さんに伝えるためのものですが、これがない状態で受診してしまうと、検査をぜんぶやり直さなくてはならず、内容によっては数週間・数万円かかることもよくあります。
症状や病気の経過、投薬などは、飼い主さまの日記や記憶などで辿れると思いがちですが、検査結果や投薬と連動することも多く、肝心な情報が漏れてしまっては意味がありません。
せっかくセカンドオピニオンを取るのなら、最短時間・最小の費用でいきたいですから、間違いのない 紹介状を持って受診されることをおすすめします。
他院さんについては よくわかりませんが、セカンドオピニオンに関する 当院の流儀は こんな感じです。

ファーストオピニオンから、セカンドオピニオンまで。
あなたのファーストコンタクト、お待ちしています。