あーつーいーー。
灼熱の太陽がさんさんと照りつける玉川上水そばで、
蝉の抜け殻を発見しました。
みなさん、節電しつつもわんこ・にゃんこは涼しく、してますか?
栗本動物病院、代診1号です。
わんちゃんの寿命は、近年どんどん長くなってきています。
フィラリア予防、ワクチン、健康診断など、
予防のため動物病院に定期的に顔を見せる飼い方が主流になったこと、
室内で暮らし、必要なときには冷暖房を入れるような環境が、
ごく普通になったことも、その大きな要因です。
その一方で、以前には考えられなかった
(発病する前に亡くなる子がほとんどだった)ような、
老化に伴う病気が増えてきました。
そういった病気の中から、
今回はシニアわんちゃんに多い病気として、
「認知症」をお送りいたします。
★
わんちゃんも、人間と同じように、
歳を取ると、病的に脳の機能が衰えた状態になることがあります。
これを、人間と同じように「認知症」とよびます。
(※ここで扱う「認知症」とは、かつて「ぼけ」「痴呆」と言われていた症状を示すような疾患ですが、
人間の医学分野において「認知症」という用語が学術用語として認められているため、このように記述しています。)
長生きなコの多い、柴犬系mix(いわゆる「雑種」のわんちゃん)のコでは、
ほとんどのコが晩年になると発症します。
【症状】
症状としては、
・異常に食欲が強い、食べても食べても欲しがる
★生活リズムが乱れる
・狭いところへ入りたがる
・方向転換やバックができない、一定方向へクルクル回ってしまう
・排泄場所を間違える、失禁することがある
★単調な大声で鳴き続ける、鳴きやませることができない
など様々ですが、
いちばん問題になるのが、★の複合版の、
「夜中に大声で鳴き続け、
何をしても止められない」
という症状です。
ご近所、ご家族などから苦情が殺到し、
飼い主様ご自身も、寝不足や心労からゲッソリした様子で、
「どうしたら・・・よいでしょう・・・」
とご相談いただくケースが増えています。
【治療】
こういった症状があり、飼い主様ご自身が悩まれている場合、
当院では、「日中は起きていて、夜は眠る」という、
生活リズムを整える治療をお勧めしています。
必要に応じて、サプリメントや内服薬を処方しますが、
腎臓・肝臓などの状態があまりよくない場合や、
今までに大病を患ったことのあるコには、使えないお薬もありますので、
まずは、ご来院いただいて獣医師に直接ご相談ください。
ときどき、
「吠えてもうるさくないように、声帯を取る手術を考えているんですが・・・」
といったご相談いただくことがありますが、
認知症を発症するくらいに高齢のわんちゃんですと、
手術に耐えられない場合がほとんどですので、
当院では外科的な治療法はお勧めしておりません。
また、仮に手術で声帯を取ったとしても、
ほとんどのわんちゃんがかすれ声は出せますし、
夜中ですとそこそこ響くくらいの声量は出ることがほとんどです。
他に、手軽で安価な方法として、
ペットショップなどで口輪を勧められた、と仰る方もいますが、
口輪をしても、吠え声は出ますし、
声が出せないくらいしっかりと口を固定してしまうと、
わんちゃんは体温調節ができなくなってしまいますので、
一時しのぎにしかならない場合がほとんどでしょう。
また、鳴き声に関係した症状のつぎによくご相談いただくのが、
「狭いところに入り込んで立ち往生している」
という症状です。
これは、方向転換ができなくなることと、
狭いところに入り込みたがることが複合して起こる症状で、
わんちゃん自身は、なんとかして入り込んでしまったところから出ようと歩き続け、
だんだんと息が上がってしまいハアハアしたり、
ひどい場合には、体温が籠もって熱中症を起こしてしまったりします。
こういったことを避けるため、
当院では「エンドレス・ゲージ」の作成をお勧めしています。
お風呂用マットなどの、ある程度高さがあり自立するもので、
なおかつ、ぶつかっても痛くない、角のないものを何枚かご用意いただき、
ガムテープなどで丸い形になるように止めるだけ。
倒れてしまわないように、サークルなどで囲んだり、
床で滑らないようにマットを敷いてあげると、なお安全です。
このゲージ、器用な方なら、ひとりでも数分で作れるくらいの手軽さですが、
効果は絶大で、
わんちゃんによっては、このゲージに入れて自由に歩かせることで、
疲れてグッスリ眠れるようになり、結果的に夜鳴きがほとんどなくなったコもいます。
認知症のわんちゃんは、とにかく「角が苦手」。
方向がうまく変えられないので、
こういったサークルを作る時や、わんちゃんのために模様替えをするときには、
角や狭いすき間をなくすことがポイントです。
★
「シニアわんちゃんの夜鳴きがうるさーい!黙らせろ!!」
ご近所さんからこんなふうに怒鳴りこまれてしまい、
泣く泣く「安楽死を考えているのですが・・・」と、
思いつめたような顔で来院される方がいます。
認知症は、確かに症状によっては近所迷惑で、
わんちゃん自身も飼い主様も疲れてしまう深刻な病気ですが、
ほとんどのコが、お薬やサプリメント、エンドレスゲージの利用で、
大幅に症状が改善します。
諦めてしまう前に、動物病院へご相談ください。
元来、「わんちゃんが認知症になった」ということは、
「それだけ長生きさせてあげられた」ということであり、
誇るべきことだと、当院は考えます。
高齢にもかかわらず、
近所迷惑になるくらいの大声を出せるくらいの体力が残っているというのは、
本当は素晴らしいことなのです。
ただ、その体力を、大声を出すことで無駄遣いするのは、
あまりにももったいないので、
より健康でさらに長生きするために使わせてあげましょう。
それは、
動物病院の仕事です。
くだらないことだと思いこんだり、
しつけが行きとどかなかったからとくよくよしたり、
年寄りだから仕方ないと諦めてしまう前に、
どうぞ、お気軽にご相談ください。
お待ちしています。
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長いことお付き合いいただき、ありがとうございました。
当ブログ「はい、栗本動物病院です」を担当しておりました、
代診1号は、結婚・引越しに伴い、
2012年7月末にて、栗本動物病院を退職いたします。
(8月中は、アルバイトスタッフとしてときどき出没します)
このブログは、しっかり者の1.5号先生が、
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ありがとうございましたm(_ _)m
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