はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

待ち合い室での過ごし方

一気に季節が進んでいきます。
お出かけ、お散歩の楽しい季節ですね。


4月に 狂犬病の予防注射をした方は、1ヶ月空けて そろそろ混合ワクチンの打てるころです。
ノミ、ダニや、フィラリア予防の薬を取りに行くついでに 混合ワクチン…とお考えの方も多く、
さらには 4月は忙しくて打てなかったから 5月こそ!と、狂犬病予防注射を打ちにみえる方も。
そんなわけで、通常以上に院内が混みあい、お待たせしてしまう場合があります。
他院さんで、待ち合い室での小競り合い→噛み付き合って双方何針も縫うケガ、入院という事例があったそうです。
ノーリード同士で、お互いの飼い主さんが お手洗いや電話で 目を離したすきのできごとだったとか。
お時間に余裕をもってのご来院、ケージに入れたり リードをつけてのご来院に、ご協力ください。
また、待ち合い室では かならずご家族のどなたかがついているか、当院スタッフに引き渡してから お電話などしていただけますようお願いいたします。
他のわんちゃんが苦手な子、ケンカも辞さない 気合の入った子は、お車でお待ちいただいて、順番になりましたらお車までお迎えに行くこともできますので、お申し付けくださいね。


さて、そんな事件が起きてしまったら?
一番心配になるのは、やっぱり、病気をうつされてしまっていないか?ということではないでしょうか。
噛まれた ということは、
・噛んだ子のヨダレが 噛まれた子の体に入った。
・噛まれた子の血が 噛んだ子の体に入った。
ということであり、ヨダレも血も 病気をうつすリスクはとても高いものです。
たとえば エボラ出血熱エイズは 病気をもった人や動物の血が体に入りこむことでうつりますし、ノロウイルスやインフルエンザは  ウイルスの入ったヨダレが飛び散り、体に入ることで うつってしまうことも。
わんちゃんに噛まれる ということは、単純に 噛まれたことによる 物理的なケガや、傷口から噛んだ子の口の中のばい菌が入る といったことだけではないのです。


噛んだり噛まれたりでうつる病気。
その中でも、一番恐ろしいのは 間違いなく狂犬病でしょう。
これは、発症したら100%死ぬ恐ろしい病気。
あの エボラ出血熱でさえ、発症しても回復した人は何人もいます。
でも、狂犬病は…?
歴史上、発症して回復した人はゼロ。
ひとりの例外もなく、100%、絶対に死んでしまうのです。
さらに恐ろしいのは、ほ乳類すべてがかかる病気ということ。
犬も、猫も、ヒトも、サルに牛、馬、リスやネズミに、キリンまで。
みんなかかる病気です。
ということは、病気をもった動物が いつどこにいるかもわからないわけですよね。
そして極めつけ、狂犬病は今この瞬間にも、世界中で猛威を振るっています。
毎日、たくさんの人が 狂犬病で亡くなり続けているんですね。
インフルエンザは冬場だけですし、エボラ出血熱だって 世界のどこかで患者さんが出れば大騒ぎになりますよね。
でも、狂犬病は…?
患者さんがあまりにも多いため、ニュースにすらなりません。
ただ、ただ、毎日 毎日、着実に、患者さんが亡くなっていく。
そんな恐ろしい病気が 狂犬病なのです。


ただひとつ、希望の持てること。
それは、日本ではいま現在、狂犬病は出ていない ということ。
1950年代を最後に、日本国内で感染、発症したという例はないので、「日本には狂犬病はない」と言ってもいいんです。


が。
東京五輪も近づき、毎年毎年 外国人観光客の数も増え、輸入する荷物も増え…
それに比例して、狂犬病が 入り込むリスクが、どんどん高くなってきています。
犬、猫などの動物は 農水省、それ以外のほ乳類は 厚労省
動物や、お肉などは、きちんと狂犬病ウイルスがいないことを確認するしくみが整っていますが、人間にはそこまで厳密なしくみがありません。
狂犬病は、潜伏期間の長い病気。
潜伏期間のあいだに、観光客として来日する可能性もあります。
そして、日本にいる間に発症したら…?
狂犬病ウイルスをどんどんまき散らしたら…?
あっという間に 日本じゅうに病気が広がってしまう可能性だってあるのです。


だからといって、江戸時代じゃあるまいし、鎖国なんてしていられませんよね。
そうなると、大事になってくるのが 予防です。
幸い、狂犬病は ワクチンで予防ができますから。
はしか の記事でお話したとおり、予防注射を7割の子が打っていれば、病気が入り込んでも 大流行には至りません。


パルボやレプトスピラなど、他にも 死亡率の高い病気や、ヒトにうつる病気はいくつもあります。
でも、その中で狂犬病だけが、わざわざ 狂犬病予防法 という個別の法律を作ってまで、犬を飼うのなら飼い主の責任で予防注射を受けさせなさいね、と決められているんです。
このことだけでも、狂犬病の恐ろしさ、日本で出てしまったときの危険さが よくわかりますよね。


当院では、ご来院順の受付、診察となっており、ご予約制の病院さんよりも どうしてもお待たせしてしまう時間は長くなります。
スタッフも複数いるため、ご予約制にするのなら 専用のシステムの導入コストがかかり、今までどおりの診察スタイルでいくのなら 診察料金が上がってしまうことと、
予約がいっぱいだから診られませんとお断りすることなく、一日にできるだけたくさんの子を診てあげられるようにしようとすると、当院くらいの規模では ご予約制よりもご来院順のほうがいいのです。
そんなわけで、お待たせしてしまう分、待ち合い室をお楽しみいただけるよう 掲示板にくふうを凝らしたり、駐車場まで お声がけに行ったり、五日市街道沿いを ぐるっとしてきていただいても大丈夫。
ケージに入れてきたから、リードがないけど  待ち時間のあいだにお散歩してこようかな…
そんなときは、お貸し出しできるリードもあります。
お気軽にお申し付けください。


あなたのご来院、お待ちしています。