はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

お腹のゴツゴツ。女の子なら、今すぐ動物病院へ!

梅雨が明けました。
これから2ヶ月くらいは暑いのでしょうねー。
全然そんなふうに見えないのですが、実は低血圧の1号。
暑い時期は、体温を下げるために血管をひろげる→血圧が下がりやすいのだそう。
血圧が低くなりすぎると、めまいがしたり 失神したり。
お医者さんによると、こういったことを予防するためには 水分を多く摂るほうがいいのだそうで、せっせと水を飲んでいます。
たしかに、水を飲むとてきめんに体調が良くなるので、お医者さんてすごい。
長らく 女の人に多いといわれてきた 低血圧ですが、最近では 悩まされている男性も多いのだとか。
どうも調子が悪いな…と思ったら、ちょっと意識して ふだんより多く 水分を摂ってみてください。

さて。
わんちゃんたちの夏支度…といえば、サマーカット。
体感温度も下がり、熱中症のリスクも下がるとあって、当院でも、何年もまえから ずーっとオススメで、何度も記事にしてきました。
実は、暑さ対策だけでなく、サマーカットのおかげで 病気に気づける といったことが増えているんです。
中には、皮膚病 だけでなく、命に関わる重病を 早い段階で見つけられた…という子がいます。
それは、女の子の 乳腺腫瘍 にゅうせんしゅよう という病気。
当院twitterでも 定期的にお知らせしているのですが、はじめての発情期を迎える前に避妊手術を受けていなければ、避妊していても いなくても 可能性のある、悪性のがんの一種です。

発情期を迎えると、女の子の乳腺=おっぱいを作る部分に 女性ホルモンがはたらきかけます。
一度でも この女性ホルモンのはたらきかけを受けると、将来 乳腺腫瘍になる可能性があります。
極端な先生は、「発情を経験した子は、乳腺腫瘍には必ずなります。ただ、その前に、寿命がくるか、どうかというだけ」とまで言い切る人も。
それだけ、可能性が高い病気なのですね。

私たち人間は、乳がんを早期に発見するため、自分や医師による触診=触って調べたり、マンモグラフィーといった検査をしますね。
わんちゃんたちの場合、触診ももちろん可能なのですが、皮膚が薄く おっぱいのふくらみも少ないため、外から目で見ただけで 腫瘍を見つけられる場合があります。
とはいえ ふだんは 毛に覆われてよくわからないのですが、サマーカットにすれば ばっちり見つけられるというわけです。

トリマーさんなどから、「おなかにシコリがありますよ」と言われていても すぐに病院に連れて行かない方も。
でもね。
おなかにシコリがあるとき、素人判断で 様子を見るという選択は ぜったいにしないほうがいいです。
避妊していない子、生後半年以降の避妊だった子は 特に。
発情出血=人間の生理のような出血を見ていないとしても、毛に絡んだり 自分でなめとったり、そもそも出血が少なかった可能性がありますから、「1歳半で避妊したけれど、はじめての発情期はまだ来ていなかったから大丈夫」とは判断できません。
動物病院へ 早く連れて行ってあげてください。

当院のような、動物病院と併設のサロンであれば、その場ですぐに 獣医師による診察が受けられます。
行きつけのトリミングサロンが まだないという方。
皮膚病、心臓病やてんかんなどの持病があり、他のサロンで断られてしまった方。
暴れん坊や トリミングにトラウマのある子も、当院では受付しています。
ワクチンの状況や持病の症状、品種により、当院でお受けできないこともありますが、まずはお電話にてご相談を。
042-323-4567 で、お待ちしています。

獣医師ならこうする!今年の自由研究はひと味違う。

夏休みですね!
早朝から、近くの公園に大集合して 全力でラジオ体操するキッズをたくさん見かけるようになってきました。

さて、夏休みといえば 宿題に悩まされた記憶のある人も 多いのではないでしょうか。
かくいう1号も もちろんそのひとり。
中でも 自由研究が 頭痛のタネで、テーマが見つからなかったり、どうしていいやらわからず 放置してしまったりと散々。
「自由研究って名前なら、やるやらないも自由にして!」なんて 思っていました。

1号と似たような記憶のある大人が多いのか、最近 「夏休み宿題お助け」などと題して、
参加するだけで自由研究がほとんど出来ちゃうよ!と銘打ったイベントが 増えているようです。
中でも、人気のイベントなんかでは、すぐに枠が埋まってしまったり、行けないなんてことにも。
でもね。
イベントに行けなくても、自由研究って 意外と簡単なんです。
おとなになった今、獣医師として働く今、あのころ 大きなB紙を前に、途方に暮れていた自分に伝えたい。
自由研究、こうやれば楽しいよ!

それは、「動物」をテーマにすること。

これ ほんとにおすすめなんです。
まず、いろんな種類がいるので、だいたい何かしら 興味を持てる動物がいます。
大きくて強いのが好きなら ライオンやゾウ。
小さくてかわいいのが好きな子は モルモットやウサギ。
恐竜好きなら 爬虫類や両生類、鳥だって魚だって 数えきれないくらいにたくさんいます。
昆虫 というのもアリですよね。
興味のないテーマや、押しつけられたテーマだと、どうにも楽しくないけれど、自分で選んだテーマなら 楽しんでいるうちに一大研究が出来上がっているもの。
とにかくどうしたらいいかわからない…なんてときは、とりあえず図鑑の中から 好きな動物を探すところから。
これくらいなら、そんなに辛くなく できるかと思います。

テーマにしたい動物を決めたら、まずは下調べ。
原産はどこの国?どんなふうに暮らしている?どうやって進化してきたの?
一人で疑問を見つけては どんどんと答えを探すのも楽しいし、おとなに「◯◯って動物知ってる?どんな動物?」と質問して 会話しながら調べるポイントを見つけだすのもいいですね。
このとき、テーマにする動物は、一種類でなくたっていいんです。
パンダとレッサーパンダ、カバとコビトカバ、シマウマとグレービーシマウマ。
名前が似ている動物たち、何が違って何が同じか知っている?
ゾウ、ゾウガメ、ゾウアザラシ。違う種類の動物なのに、みんなゾウがつくのは、どうしてだろう?
ロリスやアイアイも、ゴリラやチンパンジーと同じサルのなかまなんだって。どうしてあんなに見た目が違うのかな?
一度 調子がでてくると、どんどん調べたいポイントが見つかるものです。
気がつけば 大きく脱線していたっていいので、気になったことについて とことん調べていきましょう。

もし、テーマにしたい動物がいなければ、図鑑をパッと開いて 出てきた動物について いろんな図鑑で調べるだけでもいいんです。
大学のレポートやゼミなど、何かについて調べて報告するようなときに1号がよく使っていたのは、まず国語辞典で調べてみる というやり方。
「研究」とつくと、どうしても理科のような気がしてしまうのですが、テーマにする動物によっては 国語辞典にも載っています。
国語辞典、百科事典、図鑑、雑誌、インターネット、いろんな本で 動物の情報を集めてみてください。
実は、仕事で研究をしている博士や研究者も、同じようにかならず本を使って まず下調べをしています。
これを文献研究 ぶんけんけんきゅう といいます。
オーキド博士も まずはこうやってポケモンのことを調べたはずですよ。
そして、テーマに選んだ動物の種類によっては、動物園で本物に会えるかもしれません。
どこの動物園にいるのかな?うちから行くとしたら、なんの電車に乗れば行けるかな?
全国にたくさんの動物園があって、いろんな動物がいます。
逆に、おうちの近くにある動物園にいるのは、どんな動物かな?という研究をするのも 楽しそうですね。

動物園に行ったら、まずはおめあての動物のところへ。
写真を撮ったり、観察をしたりします。
下調べをしっかりしていると、ほかの動物より いろいろなことがくわしくわかるから、観察するのも楽しくなりますよ。
遠くから見ただけで 「あの子はアミメキリン。あそこにいるのはマサイキリンだよ」「あそこでダンスしてる鳥は プロポーズ中。向こうの鳥は、一触即発」なんて、一瞬で 見分けられるようになったり。
「あのキリン、さっきから反すうしてるから、きっとリラックスしてるんだな」「この馬、ずーっと地面をバン!バン!と蹴っているから、緊張してるか、イライラしてるのかもしれないな」と 気持ちがわかったり。
観察が終わったら、飼育員さんにインタビューするのも おもしろそう。
飼育員さんが忙しそうなら、近くで見ている他のお客さんにインタビューしても おもしろいかもしれません。

たくさん観察して、家に戻ったら、調べたことを紙に書いていきます。
このとき、調べた内容を 大きく分けてから書いていくとラクにまとめられますよ。
たとえば、原産地やその環境について・からだのつくりについて・実際に観察してわかったこと など。
そのとき、絵や写真、図をたくさん使うと 作りやすいし見ばえがします。
世界地図で原産地を指し示したり、原産地でどんなふうに生息しているのかの写真を載せたり。
からだのつくりについて書くときは、全身の写真を載せて。
キリンの首から線をひっぱって、頚椎(けいつい・首の骨のこと)の数は◯個 と書けば、ただ 文字で書くよりも わかりやすくなります。
頭の近くに ツノの様子を図解したり、足のあたりに ヒヅメの図解をつけて、馬のヒヅメと描き比べたりしても おもしろそうです。
実際に観察してわかったこと としてまとめるのは、見に行かなければわからないようなこと。
たとえば、キリンの横に並んで写真を撮って 自分の身長とくらべてみたり。
キリンがごはんを食べているようすや、トイレしているところ、図鑑に載っていないような いろいろな場面の写真を貼ったり、
キリンの足跡と自分の足型を並べて比べるのも おもしろいかもしれません。
そして、いちばん最後に 感想を書いたら…
あんなに大きく見えたB紙(模造紙)も いつの間にかギッシリ埋まっています。

ちなみに。
もう、動物園へ行く時間もなーい!というくらいに 締め切りが迫ってしまったら、
ペットたちについて書くのも ひとつの方法です。
わんちゃんと猫ちゃんをくらべる。
耳、しっぽ、足のゆびや爪、くらべるポイントはたくさんありますね。
ハムスターとリス。頬袋はどうなっているの?ウサギとのちがいはなんだろう?
半日… いえ、夢中になっていれば 2.3時間で できてしまいます。
今年の自由研究、ひと味違う夏にしませんか。
あなたの発表、楽しみにしています。

爪切り、その前に!アレがあると安心です☆

毎日毎日蒸し蒸し暑い!

そういえばうちの子ちょっと臭うのよね、毛玉もあるし

だからって洗うのも嫌がってたいへんだし、よけい暑くなりそうだし…

そうだ、トリミングにでも出そうかな

というわけで、当院トリミングサロンはただいまフル回転。
トリマーチームの補助をしたり、診察に掃除、お電話、片付け…
毎日大忙しの 当院スタッフです。

実は、こういう 暑くなりだしたころというのは、お家でトリミングに挑戦して出血!という事件が とても多いんです。
深爪してしまったり、バリカンやハサミで 皮膚を引っかけてしまったり。
「せ、先生!血が!止まらないんです!」
パニックになって電話をかけてこられる方、たくさんいらっしゃいます。

深爪して、血がなかなか止まらないとき。
ふるーい飼育の手引き書なんかを読むと、血が出ている箇所を火のついた線香や ライターであぶったスプーンで止血しなさい、なんて書いてあったりします。
…いやそりゃ 確かに うまくできれば血は止まるでしょうけど、そんなの プロのわれわれでも あんまりやりたくないというか……(="=;;;;;
そんなとき、実は 片栗粉で 血止めができます。
動物病院やトリミングサロンにある 血止めのパウダーとは違って、血管をキュッと収縮させて止血を助けたり 殺菌したりといった効果はないので、止まるのはやっぱり遅いのですが、ないよりはマシですよね。

深爪をしてしまったときは、まず爪の根元をキュッと押さえます。
足の甲に手のひらを載せて、そのまま手首を返し 足の裏の肉球が自分のほうに向いた状態で、
親指を使って 出血している爪をしっかりはさんで押さえましょう。
これは 圧迫止血の一種。
押さえてすぐは、ポタポタと数滴ほど血が出ますが、すぐに止まります。
止まったな、と思ったら、深呼吸を2回。
その後、片栗粉をつけて もう一度深呼吸。
これで、たいがいは止まります。
止まらない場合は、キュッと押さえる力が足りないので、しっかりと押さえ直して 深呼吸からもう一度。
チワワちゃんくらい小さい子でも、押さえる人間の指先が 白くなるくらいの力を入れて押さえてください。
しっかり押さえると、実は痛みも感じにくくなるので、思いきってキュッと押さえてあげてくださいね。

おうちで深爪してしまったり、爪が折れてしまったら、パニックになるまえにこのやり方でまず 圧迫止血。
それでも止まらないときは、片栗粉を使ってみてください。
爪切り中のウッカリ深爪は、しばらく様子を見ても大丈夫ですが、
爪が折れたときや、傷口が汚れてしまったときは、早めに一度ご来院ください。
場合によっては、おくすりも必要になるかもしれません。

折れる前に、血が出るほど伸びる前に、爪切りしてあげたいですよね。
でも、そうはいっても深爪が怖いし…
動物病院で使っているような止血パウダーって、小分けのはないし…
そんなときに、片栗粉のこと 思い出してください。
それでも、やっぱりどうしても自信がない!というときは、当院へ。
ご予約不要で すぐにキレイに爪切りします。
あなたのご来院、お待ちしています。

水分補給はお皿から!ボトルは脱水しちゃうかも!?

あまりの暑さに、毎日ペットボトルを買ってしまう エコでない1号。
お財布的にも なんとかしたくて、カバンにしのばせやすい280mlのお水を買った…つもりが、まさかのココナツウォーターでした。
水と信じて飲んだので、いや えらい目にあいました。

さて、気温の上昇に伴って、やっぱり熱中症の症状で来院される子が増えてきました。
毎日毎日高温注意報ですから、熱中症にもなりますよね。
なんども当ブログで呼びかけていますが、夏場のエアコンはぜいたくではありません。
宇宙では宇宙服を着なければ死んでしまうように、日本の夏はエアコンを使わなければ死んでしまいます。
昔はそうじゃなかったけれど、今は気温がちがうんです。
節電のためなら死んでもいい、なんて方はいないですよね?
1号家も、小さなチワワのために大きなエアコンが稼働中。
ドアを閉めているせいで、玄関までは冷気がいかないので、お迎えもサボり気味です。

閑話休題
本日、みなさんにぜひともお伝えしたいのは、
わんちゃんや猫ちゃんは、給水ボトルからはお水が飲めない!ということ。
おうちでの水分補給、給水ボトルからしか飲めない状況だと、脱水を起こしてしまうかもしれませんよ。

お店などでは、お皿のお水に比べてボトルのお水は清潔だとか、ヨダレで汚れにくいとか、周りに飛び散らないからいい…なんて ポップが付いていることもある、給水ボトル。
でも、解剖学的に、わんちゃんや猫ちゃんの喉というのは、上を向いて、口を開け、舌でボトルの玉を押して垂れてきた水を受け止めて飲むようなつくりにはなっていません。
彼らは賢いですし、何より喉が渇いたら水を飲む!という本能がありますから、必死になってボトルから水を飲みますが、
本来からだのつくりに合わない飲み方なので、誤嚥しやすくなりますし、飲める水が必要量に足らない可能性も出てきます。

お皿に入った、あるていど深さのある水に舌の先を漬けて、裏側へ巻き上げながら舌の先で水をくみ上げて飲む。
これが、解剖学的に自然なお水の飲み方です。
ボトルやポップに、「おかあさんのお乳と同じ飲み方ができる…」なんて書いてあるようなものもあるようですが、どうぶつたちはいつまでもあの飲み方はできません。
乳ばなれをしたら、もう大人と同じ、解剖学的に正しい、からだのつくりに合ったやり方で水分を取らせてあげましょう。
それは、ボトルなどではなく、お皿に水を張って飲ませてあげるやり方です。

ドライブのときや、お出かけの間など、限られた短い間なら ボトル給水でもいいのですが、ボトルでしか水を与えていない…という方が 最近多いようです。
思い当たる方は、脱水で体調を崩してしまう前に、お皿に水を張る方式も 導入してあげてくださいね。

夏の大やけどにご用心。アレを見逃していませんか!?

暑い日が続きます。
日中 あまりの暑さに、我が家のチワワも グッタリ伸びていました。
こんなにも暑いというのに 超強力スチームの パワフルアイロンを手に入れてしまった1号。
こちら 取っ手が取れる♪ティファールの出している イージープレシングという機種で、引金を引くだけで ワクワクするほど 大量のスチームが出てくれるので、
コットンだろうが リネンだろうが、タテ型の洗濯乾燥機でついたチリチリのズボンのすそや 一日折り返して着ていたシャツの袖だって、ビシィッとシワが伸びる逸品。
これでアイロンをかけたシャツの感じがあまりによくて、ついついすぐまた袖を通しては また洗濯してアイロン…の無限ループです。

さて。
こう 急に暑くなってくると、昼間の暑さを避けて 朝晩に散歩をする方も 多いのですが、
特に夕方 かわいそうな子を見かけることが増えてきました。
それは アスファルトによる 足の裏のヤケド。

日中、太陽に照らされ続けたアスファルトは、日が落ちてすぐは まだ暑いんです。
真夏の海水浴場で、砂浜を裸足やビーチサンダルで歩き、「アッツ!熱!地面が熱ーい!」と なったことはありませんか。
あれと同じことが 夕方のアスファルトを歩くわんちゃんの足の裏にも起こっているんです。
靴を履く私たちは 気づかないのですが、わんちゃんたちは裸足。
肉球が靴の代わりをするとはいえ 体の一部ですから、あまりに熱いアスファルトを歩くと ヤケドしてしまうんです。
一緒にお散歩していると、意外なほど 歩き方がいつもと違うのに気づきません。
アチチ!となっていないか、少し気にして見てあげてください。

そして、アスファルトが熱いだろうからと すっかり日が暮れてからお散歩する方も、マンホールの蓋は見逃しがち。
金属なので 気温が下がれば早く冷めると思いきや、周りのアスファルトがアツアツだと 冷めにくいものも。
熱いのなら自分で避けるだろう…と思いきや、匂いを嗅ぐことに集中していると、ついついマンホールを踏んでしまって ヤケドする子がけっこういます。

太陽に一日照らされたマンホールの蓋や アスファルトは、アイロンと同じ。
わんちゃんがウッカリ踏んで 大やけどをしないように、気をつけてあげてくださいね。

万が一の ヤケドのときは、当院にご相談ください。
ヤケド していなくても、お散歩の途中 涼みにお立ち寄りいただけます。
あなたのご来院、お待ちしています。

夏のわんちゃんに多い病気(2) 熱中症編

熱中症
ちょっと前までは、「日射病」「熱射病」なんて言い方もありました。
基本的には同じ、暑さ負けによる体調不良なのですが、ひどくなると命に関わる病気です。
わんちゃんに限らず、どうぶつというのは、寒さよりも暑さに弱いです。
夏になると、日陰でグターッとしている外猫さんを見かけること、ありませんか。
家の中で、わんちゃんや猫さんのいつもいるところがいちばん涼しい、なんて話も、よく聞きます。

どうぶつたちがこのように暑さに弱いのは、毛皮を着ていることと、ヒトのように汗をかいて熱を発散できないことが原因です。
たとえば、南極でソリを引いたりする ハスキー犬。
あの子たちは、マイナス何十度という環境でも凍えずにいられるために、あたたかく、そして雪や氷でケガをしないようなじょうぶな毛皮になるよう 品種改良を重ねてきました。
そして、わんちゃんは足の裏からしか汗をかけません。
からだにこもった熱は、口を大きく開けてハッハッと息をする=パンティングでしか発散できないのです。
もし、ぴったりしたサウナスーツの上に南極へ行くようなコートを重ね着して、日本の真夏にクーラーなしで過ごしたら…?
炎天下の車の中で待たされたら…庭先の熱いコンクリートの上に立たされたら…
ごく短い間だったとしても、暑さで体調を崩してしまいますよね。

わんちゃんの場合、暑さによる体調不良は、まずおなかにくることが多いです。
吐いたり、下したり、そこまでいかなくても お腹がギュルギュルいう音が聞こえたり。
梅雨の晴れ間に わんちゃんのお腹の具合がおかしかったら、もしかしたら日中 暑い時間帯があるのかもしれません。
この時期、びっくりするくらい部屋の奥まで 西陽が差し込むことがありますし、いつも隠れる涼しい部屋に 今日はたまたま荷物があって入れなかったのかも。
日中いっしょに過ごせる方も、目を離す時間帯って きっとありますよね。
そんなとき、わんちゃんたちは毛皮とサウナスーツを着ているんだ…、と 考えてあげてください。
自分が毛皮+サウナスーツではきついな…と感じる気温なら、ためらわず クーラーをつけてほしいと思います。


以前、車で少しだけ待たせて戻ったらわんちゃんが倒れてしまっている!グッタリしてしまって呼びかけにも反応しない!どうしたら!!?!というご相談を受けたことがあります。
お休みの日だったので、家族で遠出して、コンビニに立ち寄って車に戻ったら そんな風になってしまっていると、パニックになってのお電話でした。
たまたまコンビニで買っていたつめたい缶コーヒーを おなかなどの皮膚の薄いところに当てて、クーラーをフル稼働させながら とにかく近くの動物病院へ!とお伝えし、なんとか 退院できたと聞きました。

こんなとき、つめたい水をかけてあげたら 早く涼しくしてあげられるかも…なんて思いがちですが、実はこれ やってはいけないんです。
というのも、熱中症だからと冷やしすぎて あっという間に今度は低体温症になってしまった ということがよくあるから。
からだを冷やすのをやめるタイミングを見誤ると、また別の病気を引き起こしてしまう可能性があるんです。
つめたい水をからだに直接かけてしまうと、毛皮がびしょ濡れになりますよね。
そうすると、冷やすのをやめたいタイミングでも からだがどんどん冷え続けてしまい、かえって違う病気を招いてしまう可能性も。

知識の備えはばっちりと、でも 活用する必要のない夏をお過ごしください。

夏のわんちゃんに多い病気 (1) 膿皮症(のうひしょう) 編

空梅雨… とは言いながら、湿度高めの 関東地方です。
気温が高くても、湿度が高くても、風があれば すこしはいいんですが…
暑くてベタ凪ぎのスッキリしない時期に いよいよ差し掛かってきたようです。

さて、そうなってくると 明らかに増えてくるのが 皮膚病。
中でも、膿皮症(のうひ・しょう)という病気が、とにかく多くなります。
ときどき、「ろうひしょう?」と 聞き間違えてしまう方がいらっしゃいますが、浪費ではなく 膿皮 です。
人間の子どもに多い とびひ(伝染性膿痂疹)なども、この一種で、
皮膚の常在菌が、小さなキズに入り込んで大暴れする…というのが 基本的な病気の流れ。
とびひとは違い、わんちゃんの膿皮症の場合には、
どんどん症状が広がったり 別の子にうつったりということはない とされてはいますが、経験上 まったく広がらないわけではないことが多く、
一か所できたものを様子見しているうち、かゆがってなめたりかじったりして 気がつけば何か所も赤くなってしまっている…なんてことがよくあります。
蒸れやすいおなかやお股、おしりなどに、赤くて丸いハゲや、カサブタが剥けたあとみたいなエリアがいくつも出来てしまうこともあり、「先生、赤剥けになっちゃった」「おなかにいっぱい部分ハゲができちゃったのよねー」なんて言いながら ご来院される方もいらっしゃいます。

かゆみが強かったり、皮膚の状態によっては、飲み薬や塗り薬が出ることもありますが、
当院では ある程度症状の落ち着いた子には、薬用シャンプーを使った 薬浴による治療を おすすめしています。
薬浴治療は、シャンプーを正しく使い、しっかりと洗い流し、そして徹底的に乾かすことができれば、
行きつけのトリミングサロンやおうちでもできる治療方法です。
お薬での治療とは違い、症状がおさまったら 残りは取っておいて、また悪化したら使う…というやり方もできるため、
体質で、時期になると繰り返してしまう子などは、悪化してしまう前に…と、早めにシャンプーだけ 確保しておくという方も。
お仕事などで 病院へしょっちゅう連れて行くことが難しいという方にも、たいへんご好評をいただいています。
それだけではなく、このシャンプー+ひどいときだけ塗り薬・飲み薬の治療法で、長年手放せなかったおくすりを ストップできた!という方もいらっしゃいます。
シャンプー?薬浴?気休めなんじゃないの?と思われる方もときどきいらっしゃるんですが、効果もしっかりある治療法なんです。

シャンプーを処方するときには、ご希望の方には 当院トリミングチームより、薬用シャンプーの効果を最大限に引き出せるような洗い方を熱血指導いたします。
シャンプーの方法を変えたら、症状が劇的に改善した!という方も。
サラッといえば、患部は指先でなく手のひらでさすって洗う・もういいかな?と思った時点からさらに3分は長くすすぐ・地肌をとにかくしっかりと乾かす の3点がポイントです。
最後が 特に大事で、「ドライヤーをいやがるから」「夏だし乾くでしょう?」「汗ばんでいるから…」とかなんとか言いながら、半乾きで済ませてしまうと 皮膚の状態はてきめんに悪化します。
大きな音のするドライヤー、苦手な子も多いんです。
そんな子でも 我慢できるよう、ブラシやタオルを駆使して わんちゃんにいやな思いをさせずに素早く地肌まで乾かすコツも お伝えします。
ちなみに、わんちゃんは体の表面からは汗はかきませんので、お風呂上がりも「汗ばむ」ことはありません。
乾かしても乾かしてもすぐ汗をかいてしまって乾かない!なんてことはありませんので、ご安心ください。
この乾かし方をマスターしておくと、ご自分にはもちろん、子どもやシニアの方などの入浴後に、髪を乾かしたい時にも使えるので、便利ですよ。
1号も 子どもとお風呂に入っているのに お風呂上がりの所要時間がだいぶ短く済んでいるのは、この 早い乾かし方を教わったからなんです。

トリミングした直後だけはキレイ とか、おくすりを飲んでいるときだけは調子がいい とかでは、なんだかなーと思いませんか?
おうちで、ふつうに生活する中でもできるケアで、症状がおさまるかもしれません。
ぜひ一度、当院にご相談ください。
あなたのお電話をお待ちしています。