はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

SFTSって、なんですか?ほんとうにおそろしいマダニ対策

このまま夏が終わるんじゃないか…と言われはじめた 今日このごろ。
例年より 熱中症などで具合を悪くする方が少ないとすれば、喜ばしいことですね。

そんな日々ですが、密かに…そして、確実に、亡くなる方の増えている病気。
それが、SFTSです。
先日、NHKのニュースなどでも取り上げられていましたね。

SFTSとは、重症熱性血小板減少症候群という病気のこと。
伝染病の中でも 危険性の高いものとして、4類感染症に指定されている ハンタウイルス病や、エボラ出血熱と同じ出血熱に分類される クリミア・コンゴ熱などと近いウイルスによって引き起こされる病気です。
致死率は1割〜3割に達する、つまり 患者さんの10人に3人が亡くなってしまう おそろしい病気です。
初めこそ 熱が出たり、吐いたり下したりといった、一見なんでもなさそうな症状なのですが、血液を検査すると とても恐ろしい状態になっていることが。
ウイルスにやられ、血小板 という、かさぶたをつくる細胞や、白血球 という、ばい菌と戦う細胞が減ってしまっていることがあるのです。
実は、この病気には、まだ治療法は見つかっていません。
点滴などで、体に栄養を送りながら、患者さん自身が病気に打ち勝つのを待つ…というのが、いま行われている「治療」なんです。

こういった病気には、かからないようにするのが一番大切です。
SFTSの場合、マダニというダニに刺されるとうつることがわかっていますから、マダニに刺されないようにすればいいわけですね。
具体的には、
・草むらや野山など、マダニのいそうなところに近づかない
・近づく場合、長袖長ズボンや長靴、長い靴下や手袋で素肌を出さない
こういったことが大事になります。

ですが。
わんちゃんやねこさんには、そういった対策ができません。
彼ら自身が、マダニに刺されてしまったり。
草むらや藪で、マダニを体につけて帰宅したり。
そんな可能性があるわけです。
ということはつまり、わんちゃんやねこさんを飼っている方は、SFTSで死んでしまっても仕方がない…

そんなはずはありませんよね。
要は、マダニに刺されなければ、マダニをおうちに持ち込まなければいいのです。
そのためには、マダニ対策が重要です。

具体的に、当院がおすすめしているのは、まずはフロントライン。
これは、背中につけるタイプのおくすりで、一度つけると1ヶ月間、マダニ対策ができます。
ですが、これはただつけておけばいいというわけでもないんです。
たとえば、シャンプーして きちんと乾かさずにつけると効果が落ちます。
プロは皮膚までしっかりと乾かすので 大丈夫なのですが、おうちシャンプーでは まず間違いなく皮膚までは乾かせませんから、おうちシャンプーの直後につけると 効果が落ちてしまうんですね。
また、つけた直後に 体をこすりつけたりしてしまうと、それも効果が落ちる原因に。
フロントラインには アルコールが入っているので、気にして体をこすりつけたり 転がったりする子も多いんです。
こんなふうに、フロントラインは意外と 100%効果を発揮させるのが難しいのですね。

そこで、数年前から 当院では新たなおすすめとして、ネクスガードをお出ししています。
これは、ジャーキータイプの食べるおくすり。
食べるおくすりですから、つけたのに効いてない!?がないので安心です。
これも、1ヶ月間ダニ対策ができるタイプで、ノミだけでなく フィラリアの対策もできるものですから、予防がひとまとめにできる という面でもおすすめなんです。

テレビなどでは、すごい山奥に行かなければ大丈夫…なんて言っている番組もあるようですが。
マダニは、ごく身近にいます。
登山やキャンプなど、アウトドア派の子だけでなく、小金井公園を散歩したり、五日市街道を歩いたりしているだけでも、マダニがついてくることがよくあります。
ですから、必ず対策を。
病気になってからでは遅いのです。
費用は、体重にもよりますが、大型犬用のいちばん高いものでも 一日分に換算すると缶コーヒー1本分くらいですし、小型犬用の安いものなら ガリガリ君1本分くらい。
それで、致死率3割のおそろしい病気を防げるなら、安いものですよね。

SFTSが出てから、おくすりが取り寄せになっている病院も多いようですが、当院は今ならすぐにお渡しできます。
どうせ買うのなら、メーカー保証のしっかりした 国内製品を、まちがいのない動物病院から。
怪しい海外通販やよくわからない並行輸入品、必ず効果があると明記されていないPB品などで 無駄な出費をしないでください。
当院のかかりつけの方で、検査が終わっているなど 一定の条件を満たしている子は、飼い主さまだけのご来院でも おくすりをお渡しできます。

あなたのご来院、お待ちしています。

お尻が臭いのは当たり前?お尻周りのトラブルが増えています!

立秋ですね。
地方によっては、8月七夕といって、また短冊を書いたりするところもあるようですね。
1号も、今年は チャレンジしてみようかと思います。

さて。
今回は、お尻の話をいたしましょう。
お尻、臭いのが当たり前だと思っていませんか?
実は、においの強さや種類、におうタイミングによっては、病気のサインであることがあります。
ずーーーっと臭いがしている。
腐ったザリガニのような、動物園のような臭いがするようになった。
今までそんなには気にならなかったけれど、この夏急に臭いが強くなったようだ。
そんな場合は、特に注意が必要です。

お尻の中には、肛門を時計の文字盤に見立てたとき、4と8のあたりに、肛門腺や肛門のうといわれる袋があります。
この袋に、うんちのばい菌が穴から入り込み、袋の中で膿になってしまうことがあります。
夏などは特に ばい菌が増えやすい状態ですので、膿がひどくなり、穴が詰まって出なくなってしまうことがよくあります。
穴が詰まってしまっても、膿はどんどん出ますから、袋がどんどんいっぱいになってきてしまうのですね。
いっぱいになりすぎると、何が起きるか?というと、袋が破裂してしまいます。
お尻の中にある袋がはじけてしまうわけですから、当然ものすごく痛いです。
それだけでなく、中に貯まったばい菌と膿が 周りに飛び散ります。
すると、それはばい菌のエサになります。
ばい菌は爆発的に増え、皮膚の下で肛門の周り一帯がひどい炎症を起こすのです。
破裂や炎症の度合いによっては、肛門の周りに大穴が開いてしまうこともあります。
穴は開かなくても、想像を絶する激痛ですよね。

こうなってしまうと、自然治癒はほとんど無理。
というか、自然治癒を目指すほうが 痛い時間が長引いて、かえってかわいそうです。
当院では、まず生理食塩水というしみない水で傷の中や周りをよく洗い、抗生物質を使ってばい菌を抑えます。
これだけでも、かなりスッキリして体調がよくなる子は多いのですが、抗生物質なしでは、お尻に穴が開くほどの傷はまず治らず、悪化するばかりですから、おくすりをかならず飲ませるか、長く効く注射をします。
お尻周りの傷が小さい子は、これだけでも大丈夫な場合も。
傷が大きい子や、深い子は、麻酔をかけて縫って治します。
ばい菌が大暴れしている間、傷を洗ってすぐのときには、大丈夫かどうか判断がつかないことも多いので、かならず再診を受けましょう。

実は、お尻周りというのは、わんちゃんたちにとってとても重要な部分。
あいさつをするとき、かならずお互いに嗅ぎ合うことからも よくわかりますよね。
なので、お尻周りのトラブルを隠す子はとても多いです。
が。
その、隠す行動も、臭いとともに飼い主さまの気づくきっかけになります。
最近、やたらお尻をなめているところを見かける。
ベッドやソファに、妙にお尻をくっつけて座っている。
そういえば臭いが…?
そんな方は、ぜひお早めにご来院を。

本来、この袋の中身は、うんちできばったときなどにスッキリと自分で出せるべきもの。
自分で出せれば、多少うんちのばい菌が入り込んだところで、お尻が爆発するほどの事態にはまずなりません。
でも、歳をとってきばる力が弱まってきたり、太っていたり腰が痛かったり、いろんな事情でうまくきばれない子もたくさんいます。
そうすると、出せずにどんどん溜まり、そこに入り込んだ菌が大暴れ…という事態に。
夏は、冬にくらべて菌が暴れやすかったり、膿の悪化が早かったりと、お尻周りのトラブルが起こりやすい時期です。
爪切りなどと同じ、お手入れのひとつとして、ぜひ肛門腺絞りも忘れずおこなってください。

当院でも、もちろん対応していますから、どうぞお気軽にお申し付けください。
そして、もし不幸にして お尻周りのトラブルを抱えてしまったら…、
できるだけお早めのご来院を 強くおすすめします。
自然治癒は まず望めないのがお尻です。
あなたのご来院、お待ちしています。

部分カットで、快適な夏を!!

先週、久しぶりに熱を出して寝込んだ1号。
暑いなかにも さらに暑く、氷枕を3個ローテーションして フル活用しました。
そのときにつくづく感じたのは、髪の毛の扱い方で体感温度が変わるということ。
1号はいま、鎖骨くらいのミディアムヘアにしているのですが、髪の毛をきちんとかき分け 氷枕をタオルでくるんだものに直接地肌が触れるようにしてから寝ると 体感温度が明らかに下がったのです。
後頭部 というより、頭と首の境目、いわゆる えりあしの部分に氷枕がくるようにしたのも 良かったかもしれません。

実は、わんちゃん、ねこさんも同じ。
冷たい床などに直接地肌が触れるようにすると、体感温度はかなり下がります。
汗をかいて熱を逃がせない彼らですから、こうやって 少しでも放熱の効率を上げてあげることがとても大切なんですね。

いちばん涼しくしてあげられるのは、やはりサマーカットなどで 全身短く整えること。
でも、長いスタイルが好きな方や、シェパードなどのように ふつうサマーカットにしない種類の子は、部分カットもおすすめ。
体感温度はかなり近いところまで下げてあげられる…といわれています。

部分カットするなら、
・おなか
・内股
・足の裏
・わき
などがおすすめです。
要は、ふつうにまっすぐ立ったときに見えない部分は ぜんぶカットしてしまえば、かなり涼しくしてあげられます。

ただ、おうちでハサミなどでカットした場合、皮膚や乳首、肉球などを切ってしまうことが。
バリカンを使っても、身体のつくり上 この部分のカットはかなり難しく、安全カバーを使っていても 皮膚を切ってしまう事故がときどき起こります。
なにせ、プロのトリマーさんにカットしてもらったのにキズがあるんです!と夜遅くに飛び込んでくる方や、お客さんの子にケガをさせてしまいました!と真っ青になって わざわざ遠くから駆け込んでくるトリマーさんもいるくらいですから。
人間でも、脇や足の付け根などの関節の近くや、顔など凹凸の大きいところにカミソリを当てるのは 難しいですよね。
ヒザやヒジにカミソリ負けのあるお姉さん、鼻の下や顎のラインなどに、ヒゲのそり残しのあるお父さんや、慣れないヒゲソリで 皮膚をキズつけてしまった男子高校生、朝の電車でもよくみかけます。
ここらへんの難しい部分に無謀にもチャレンジして トラウマを作ってしまい、それ以来 ハサミを持つと飛びかかってくるようになってしまった…なんて子も。
部分カットは、プロにお任せください。
当院では、学校で専門の勉強を積んだトリマーや看護師が 部分カットを担当します。
強い力で長く押さえつけたりせず、職人ワザで素早く仕上げる、その子に優しいカットです。

また、部分カットは、全身カットと異なり すぐに連れて帰ることができます。
お預かりして終わったらお電話でご連絡、お迎え…という流れでなく、診察室で診察を受けるのと同じ流れで おしまいなのですね。
なので、お時間のあまりない方、お出かけ前にパパッと済ませたいという方、後からまたお迎えとかちょっと大変だわーという方におすすめです。

診察のついでに、部分カットもできます。
ご来院の際、どうぞお気軽にお申し付けください。
毛ののびるはやさにもよりますが、いまカットしておけば、少なくともお盆くらいまでは 涼しく過ごせるはず。
ご希望のお日にちで、全身サマーカットの予約が取れなかったという方も、部分カットだけなら まだ大丈夫。
もう一度 お電話ください。

エアコンを入れ、保冷剤を使い、部分カットをする。
これだけで、夏の危険さはかなり減らせます。
快適な夏を 過ごさせてあげましょう。
あなたのご来院、お待ちしています。

保冷剤に気をつけて!

関東の梅雨明け…
まだ でしたっけ??

そんなことを思ってしまうほど、暑い日々が続きます。
当院の目の前、五日市街道は、川と緑で かなり目には涼しいものの、やはり体は確実に暑く、滴り落ちる汗を拭いながら 入ってこられる飼い主さまも。
わんちゃんたちも 大きく口を開けて舌を出し、いっしょうけんめい熱を発散しています。

この時期、来院されるカワイコちゃんたちも 飼い主さまも、どこかしら身につけていらっしゃることがおおいのが 保冷剤。
ケーキなど買ったときにもらえるアレを取っておいて使っています という節約派の方もいれば、氷枕を流用してます と豪快に大きなサイズをお使いの方まで。
1号も、子どもをベビーカーに乗せるときなど、保冷剤が欠かせません。

そんな 保冷剤。
冷凍庫で カッチカチに凍るタイプと、凍ってもやわらかで肌あたりのいいソフトタイプがあるのを ごぞんじでしょうか。
ソフトタイプのものには 不凍液 といって、おうちの冷凍庫では完全に凍ってしまわないような液体が入っています。
これのおかげで、やわらかさが保たれるんですね。

ですが。
この 不凍液で、中毒を起こして亡くなってしまう事故が まれに起こります。
暑いからと保冷剤を入れてあげてお出かけ。
残された子がおるすばんをしているうちに、なんとなく保冷剤をかじってしまう。
かじって出てきた中身が 甘くて美味しくて、喜んでなめているうちに 中毒を起こしてしまうんです。

この中毒の嫌らしいところは、症状が出てきたら まず手遅れなところ。
中身自体は、毒性は低いのですが、体の中で化学変化を起こします。
化学変化後の物質が 中毒の原因になるのです。
変化が始まる前に、体から排泄させてやらなければ 中毒に。
腎臓が回復不能なダメージを負って、症状が出始めてからでは、もうとっくに手遅れ。
死んでしまいます。

いま、日本製で出回っている保冷剤の中身は、まず間違いなく食品グレードの安全なもの。
特に、ケーキなどについてくるようなものは アイスや化粧品の原料にもなるくらいのものが使われていることがほとんどです。
でも、安い海外製品や、そういえばこれいつから家にあるんだったっけ?みたいなもの。
そういったものは、もしかすると 中毒を起こしてしまうようなものが 使われているかもしれません。

おるすばんをさせるとき、保冷剤を使うこと自体は 悪いことではありません。
クーラーを使っても、それだけでは足りないかも。
クーラーが外出中に壊れてしまうかも。
そういったことが心配で、保険の意味でも 保冷剤を使うことは理にかなっています。
ただ、使う前に一度、原材料を見てみてください。
裏やパッケージに、原材料の書いてあるものも多いはず。
エチレングリコール と書いてあるものは使わない。
これを守れば、中毒を起こして悲しい思いをすることはありません。

良かれ と思ってしてあげたことが 裏目に出ると、ほんとうにつらいですよね。
エチレングリコールを含む ソフトタイプの保冷剤は、もはや絶滅危惧種…とはいえ、ゼロではありません。
確認してから 使ってあげてくださいね。

 

マダニのはなし

ひどい雨が続きます。
止まない雨はない と言うけれど、今まさに渦中のときには そんなこと言っていられませんよね。
どうか、少しでも被害が小さく済みますように。
現地から中継される映像に、同行避難されているのでしょうか、わんちゃんやねこさんのケージが映り込んでいました。
彼らを連れてきた 飼い主さんはもちろん、彼らもまた 大災害を前に必死に命を守っています。
温かい目で 見守ってもらえますように。

こういった 大災害、中でも 水が絡むような災害の場合、おさまったあとで出てくるのが 虫の問題。
湿気が残ったり、一気に温度が上がったりするので、大量発生することが多いんです。
中でも怖いのが、マダニです。
最近、毎夏出ている「SFTS」という病気。
これは、マダニがうつしてまわる おそろしい病気で、熱や吐き気などの軽い症状でおさまることもありますが、意識不明になったり、中には亡くなってしまうことも。
日本では、毎年100人くらいがこの病気にかかってしまうといわれています。
この病気をうつすマダニは、わんちゃんやねこさんに取り付く類のマダニと同じ。
つまり、お散歩やご近所パトロールで お家に持ち込んでしまう可能性があるということなんです。

大災害のあとには、病気が流行ります。
どうしようもないことではありますが、防げるものなら 防ぎたいですよね。
わんちゃんやねこさんに取り付くマダニは、飲み薬や付け薬で 予防ができます。
美味しいジャーキータイプや、取り扱いの簡単な スポイトタイプなど、お好みでお選びいただけますので、まずはご相談を。

あまりに暑い真夏より、今くらいの時期が 実はいちばん 虫が増えるんです。
中には、危険な病気を うつしてまわるおそろしい虫も。
ノミやダニ?見つけたら潰したらいいんでしょ?という方もいますが、潰したら かえっておそろしいばい菌やウイルスが 広がってしまうかも。
そんな危険な虫には、取り付かれないのがいちばんですよね。
よく効くお薬、扱っています。
あなたのご来院、お待ちしています。

 

混合ワクチン、ちゃんと選んでますか?

前回、前々回と、時事ネタが続きました。
そのためか、ついに10000PV達成。
たくさんの方に見ていただき、ほんとうにありがとうございます。

さて。
10000PVブロガー として、最初に選ぶ話題は ワクチン。
4月に狂犬病予防注射を打って、1ヶ月空けて 混合ワクチン。
病院からお知らせが来たから、打たなくちゃ…と言ってるうちに、ありゃもう6月、なんならもうすぐ7月!という方。
ゴールデンウィーク狂犬病予防注射を打って、混合をそろそろ…と言いつつ、気づけば月末!の方。
ワクチン、勧められるままに打っていませんか?
子犬の頃から、毎年同じものを打ち続けていませんか?
当院が、実際に診察室でみなさんにお伝えしている選び方を ここでお伝えします。

インターネットなど見ていると、「獣医はワクチンでぼったくって儲けている」「狂犬病ワクチン混合ワクチン、フィラリアやノミダニ予防は獣医の金づる」「だまされてはいけない、予防などしなくても病気にはならない」なんて、まことしやかに書かれていたりします。
もっともらしく、さも知識がありそうに書いているものの、獣医師免許も持っていなければ 内容から判断してまともな免疫学の知識もなさそう、さらに根拠もどこにも書かれていない…と、科学的な文章にはなっていないんです。
でも。
そんなものにだまされてしまうようなことがあってはいけませんから。
選び方の基準、お伝えいたします。

まず。
混合ワクチンというのは、当然ですが 1回の注射で 複数の病気を予防できるもの。
この 予防できる病気の数が 「○種混合」の ○の部分にきます。
なので、「6種混合」といわれれば 6種類の病気が、「8種混合」といわれれば 8種類の病気が予防できるわけです。
当院がわんちゃんに使っている 8種混合のワクチンは、6種混合のものに もう2種類の病気に効くものが追加されているタイプ。
プラス3000円で さらに2種類!?じゃあ8種で!と思いがちですが、ちょっと待ったーーー
そこまで必要のない子もいるんです。

8種のほうでだけ予防できるのは、レプトスピラという菌の起こす病気。
これは、菌を持ったネズミのおしっこから 広まっていく病気です。
でも、今、都市部でネズミをたくさん見かけること、あまりないですよね。
現代の日本では、池や川などの水や土があるような場所、ネズミのたくさんいる 森や山などでひろがる病気なんです。
そういうところへ よく行く子なら、レプトスピラの予防をしたほうが安心です。
でも、インドア派でお散歩もあまり行かないし、専門業者さんが定期的にネズミの駆除薬を撒いていくようなマンションで暮らしている子には、あまり必要性は高くないと思いませんか?
わんちゃんのワクチンは、ライフスタイルで選んでいただきたいと思います。

いっぽうの ねこちゃん。
こちらも、ライフスタイルによって 3種混合と5種混合を 使い分けるのがおすすめです。
具体的には、外へ行く子は 5種。
完全室内飼いの子は 3種。
ちなみに、本人は外へは行かないけれど 同居猫さんが外へ行く子の場合、5種を打っておきましょう。
5種のほうにだけ入っている 白血病クラミジアのうち、白血病が特に命に関わりやすい病気です。
これは、猫さん同士のケンカでうつる病気ですから、ケンカのリスクのある外へ行く子は ぜひ予防を。
おとなしい性格でも、他の猫に噛み付かれて 病気をうつされる可能性もありますから、外へ行くなら必須です。

ペットショップや 保護施設などでは、とにかく多く打ったほうが安心!と、とにかく数字の大きいもの、たくさん予防できるものを打ちがちです。
おうちに来たあとも、なんとなくそのまま同じものを続けている…という方、とても多いです。
でもね。
不必要なワクチンまで、打っても仕方ない。
それが当院の考え方です。
毎年のことだけど、もう一度、見なおしてみませんか。
ご相談も お受けしています。
あなたのご来院、お待ちしています。

梅雨の間の夏支度。ダイエットは今が大チャンス!

子どもがベビーカーで爆睡しているすきに、アシックスのお店で 靴を買いました。
機械で計測し、足にピッタリと合わせた中敷きを入れてもらって、もうほんと段違いの履き心地。
しょっちゅう買えるような お値段ではないけれど、今までちょこちょこ買ってた 可愛いけれど足に合わない靴たちを「買ったつもり貯金」して いつか靴箱をぜんぶアシックスにしたいな…と思いました。
そんなわけで、最近 ウォーキングが楽しい1号。
保育園のお迎えも できるだけ徒歩で。
…いっぱい歩くと ごはんが美味しくて。
運動量は増えているはずなのに、なんだかお洋服が、顔が、パンパンになってきたような…?
現実を見るのが怖くて、体重計に乗れずにいます。

さて。
関東も梅雨入りし、さっそく気温が下がってきました。
実は、今がダイエットの最大チャーンス!なんです。
梅雨は気温が低く、運動しても暑くなりにくい。
それでいて、季節は夏に向かっていますから、代謝は上がっています。
燃やしやすく燃えやすい、まさに理想的な状態になるんですね。
それは、人間だけではなく、どうぶつたちも同じです。

夏は心臓や呼吸器に厳しい季節。
気温が高く、湿度も高いから、蒸れて呼吸が苦しくなりやすい。
そして、暑いからすぐに心臓がバクバク。
弱った心臓には、とても大きな負担です。
そこへ、肥満が加わると…?
大きくなった体に血液を回さなくちゃ。心臓の負担アップ。
空気の通り道を、たっぷりついた脂肪がジャマ。のどがぜい肉に押し上げられて締め付けられるから、うまく息が吸えず、起きているのにイビキみたいな音を立てて必死に呼吸。
呼吸がうまくできなくて、酸素を充分に取り込めないから、全身が酸素不足。それを補うためには血液をどんどん回さなくちゃ。心臓にまた負担。
頑張る心臓も酸素が足りない、負担はどんどん増えていく、もうだめ、…バタン。
これが、夏に肥満の子が倒れるメカニズムです。

真夏に電車に乗ったとき、走ってきたわけでもないのに 太った人がやたらハアハア言っていたり 異様に汗をかいていたりするのを 見かけることがありますね。
そういった人の体の中では、こんなことが起きているんです。
太っていなくても、風邪やアレルギーで鼻詰まりのとき、呼吸が荒くなったり 心臓がいつもよりドキドキしているのを感じることはありませんか?
それも 同じこと。
取り込める酸素がいつもより少ないのを、体が補おうとしているんです。

こういったことを防ぐには、今のうちに少し体重を絞っておいたほうがいいんです。
雨でもお散歩に行ける子は、ふだんよりもう一つ 先の角で曲がるとか。
雨の日はインドア!派の子は、新しいオモチャを投入したり。
いっしょに遊べば、わたしたちにも一石二鳥ですね。
それと必ず並行して、ごはんも少し減らします。
カップ2杯を カップ1.7杯に。
物足りない子は、あげるまえに水でふやかして 満腹感を増やしてあげるといいですよ。
人間とちがって、低カロリーごはんに変えるのは、急に行うと ストレスになってしまうかも。
今食べているごはんのまま、量を少し減らし、減らしたぶん お水を足すのが簡単でおすすめです。

わたしたちより体の小さい わんちゃんたちですから、少しのことで 大きく結果を出せます。
夏を楽に、快適に過ごす、夏支度。
その一つとして、プチ・ダイエット、ぜひ やってみてください。

「ダイエットが必要ですねえ」とお伝えするたび、心が痛んでしかたのない 1号も…
まずは 炭酸水ダイエットから 夏支度してみようと思います。
いっしょにチャレンジしてくださる方も、目標にさせていただきたい ナイスバディなあなたも。
ご来院、お待ちしています。