寒い日が続きますね。
皆さん、いかがお過ごしですか。
院内の空気は、1号のギャグのおかげで氷点下。
寒さあふれる栗本動物病院よりお送りします。
総合編、女の子編と、些か長文気味にお送りしてきた、
「避妊・去勢手術のススメ」シリーズですが、
最終回を飾るのはもちろん、男の子編。
よろしくお付き合いください。
★
男の子の去勢手術も、
女の子と同様、病気の予防になるのです。
会陰ヘルニアという病気があります。
女の子ほど、すぐに命にかかわる病気ではないため、
子宮蓄膿症や乳がんほど、有名ではないのですが、
放置すれば命にかかわる病気です。
会陰ヘルニアとは、簡単に言うと、
肛門のまわりの筋肉がゆるみ、
筋肉のすき間から腸や膀胱(ぼうこう:おしっこを貯めておく袋)が飛び出す病気です。
字面はものすごいですが、
実際発病している子を見ると、
ちょっとお尻が腫れているかな・・・?程度です。
毛の長い子は、毛に隠れてほとんどわからないこともよくあります。
見た目にわかりにくい病気なので、見逃されがちですが、
放置すれば命にかかわる病気です。
症状も、
うんちが細い、出にくいなど、
「たまたまかな・・・?」「歳のせいかしら」などと軽くとらえられてしまい、
飼い主さんになかなか気づいてもらえずに、
わんちゃんがひとりで苦しい思いをすることになりがちです。
また、こちらもそれほど有名ではない病気ですが、
肛門周囲腺腫(こうもん・しゅうい・せんしゅ)という病気があります。
肛門のまわりにできる腫瘍で、腫瘍自体は良性の腫瘍なのですが、
放っておくと、どんどん大きくなって表面の皮膚が破れてしまいます。
すると、うんちをするたびに腫瘍にばい菌が入りこむようになるため、
化膿を繰り返すようになります。
強い痛みがあるため、ストレスから体調を崩したり、
血が止まらないせいで貧血になったり、
本人の体や、家じゅうを汚してしまったり、
最悪の場合、敗血症で亡くなってしまうこともあります。
症状は、初期のうちは肛門のまわりが大きくなってくるくらいですが、
これは見慣れていなければなかなかわかりづらいため、
目で見てわかるくらいのイボができるころには、
お尻周りに大手術が必要になってしまうくらいに、
病気が進んでいることがあります。
ほかにも、精巣(いわゆる「きんたま」)のがんや、前立腺の病気など、
男の子特有の病気が予防できます。
また、男の子の場合、
性格が穏やかになり、問題行動が改善される子が多いので、
・マーキング・スプレーや遠吠えがひどい。
・脱走癖が治らない。
・他のわんちゃん・ねこちゃんとケンカばかりする。
・人間(特にお子さんやお母さんなど)をいじめる。
・しょっちゅう噛みついたり、うなったりする。
などの問題行動を起こす子に関しては、
まず、去勢をすることをお勧めします。
さらに、女の子編でもお伝えしましたように、
男の子も、発情のストレスから体調を崩してしまうことがあります。
吐いたり、下したり、部分ハゲになってしまう子もいますし、
場合によってはストレスがたまりすぎて、
公園などで避妊していない女の子を襲ってしまい、
ケガをさせてしまったり、妊娠させてしまったといったご相談を受けることもあります。
わんちゃん・ねこちゃんの場合、基本的には女の子が許さなければ交尾はできませんが、
本犬・本猫が許しても、女の子側の飼い主さんのご事情が許さない場合もよくあります。
「襲いかかってしまった」「妊娠させてしまった」といったトラブルは、のちのち大きなトラブルになることが多いように思います。
ねこちゃんであれば、脱走して交通事故に遭ったり、
よそのねこちゃんとケンカしたり、ケガをさせられたり、
エイズ・白血病といった恐ろしい病気を移されてしまうこともよくあります。
手術をしなくても、うちの子はもともと性格が良くて穏やかだし、
いまは病気じゃないし、
健康な体にメスを入れるのは抵抗があるな・・・
そう思われる方もたくさんいらっしゃいますが、
健康で長生きさせてあげたいなら、
ぜひ、手術を受けさせてあげてほしいと思います。
★
案の定、盛りだくさんになってしまいました。
もっとここが知りたい!とか、
ここちょっとわかりづらい・・・などありましたら、
お電話でもコメント欄でも、どうぞお気軽にお声掛けください。
皆様のクチコミ、お待ちしております。
「この子、しつけに失敗しちゃって・・・」と嘆く前に、
「性格だから・・・」と諦める前に、
去勢の手術をしてみませんか。
びっくりするくらい穏やかになった子、
たくさんいますよ。
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