はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

狂犬病ワクチンを受けさせよう!愛知で狂犬病発症者が出ました

長かったですね。
本当に本当に、長かった。
緊急事態宣言が、ついに全国で解除となりました。

当院も、短縮診療を止め、通常どおりの診療時間に戻しています。
でも、だからといって、宣言が明けたら いきなり全てが元どおり!とはいかないのが、マンガやアニメとは違うところです。
現実ですから、ゆっくりゆっくりと、戻すべきは元に。
宣言を経て 良くなったことは そのままに。
もっと良くできることは、貪欲に改善していきたいですね。


そのいっぽう。
もうひとつの恐ろしい伝染病の患者さんが、愛知で報告されたというニュースが。
緊急事態宣言絡みで なかなか取り上げられにくい話題なのか、ネットニュースなどではあまり上がっていませんが、
患者さんの受診した病院のある 岡崎市では 記者会見をするなどしたようですね。


報告された伝染病の名前は、狂犬病
1956年を最後に、日本国内では なくなった といわれている病気です。
今回、報告のあった方も、日本国内で感染したわけではなく、出身地フィリピンで昨年9月に犬に噛まれておそらく感染。
長い潜伏期間を経て、いま発症したという説明でした。


狂犬病は、ヒトだけでなく、すべての哺乳類が感染し、発症すれば100%死に至る恐ろしい伝染病です。

伝染病という点では コロナと同じですが、狂犬病は感染したどうぶつから噛まれたときに、体内に唾液に含まれたウイルスが入ってうつる という点が、咳やくしゃみなどでうつる コロナとは大きく違います。


そんな狂犬病
もうひとつコロナとは大きな違いがあります。
それは、ワクチンがあること。
防ぐ手立てがあるのです。


来年に延期された 東京2020こと、オリンピック・パラリンピック
開催は、コロナのワクチン開発にかかっているといいます。
ワクチン。
BCGワクチンを打つと、コロナにかかりにくい?という噂が流れ、特異な主義主張により 今までワクチンを打ってこなかった人たちが、大挙してBCGを打ちに病院に押しかけたとか。
日本やポルトガルのように、BCGの接種を続けている国が、感染した方に対して亡くなった方の割合が低い(ここでは母数がそもそもPCR陽性者であるため、PCRの実施数は関係ない)ことを指摘する声もあります。
相関関係があることと 因果関係があることは別、つまり 相関関係があっても因果関係があるとは限らないため、BCGは、今のところ コロナに確実に効くとはいえません。


でも、狂犬病には、ワクチンがあります。


発症した場合の致死率100%、すべての哺乳類が感染する、など、恐ろしい特徴もたくさんある 狂犬病ですが、ワクチンがあるんです。
しかも、わたしたち 人間が感染する経路は、既に明確に分かっています。
それが、イヌ。
感染したネコに噛まれても、コウモリに噛まれても、感染はします。
でも、最も感染して人間に噛みついてくるリスクが高いどうぶつが イヌなんですね。
ですから、まず イヌにワクチンをする。
これだけでも、かなりリスクは下がります。
安心材料となるのですね。


ですが、最近 狂犬病ワクチンを受けていない子が増えている、という指摘があるんです。
少し前に、厚生労働省の調査で、
・畜犬登録をしている子は630万頭くらい、そのうち狂犬病ワクチンを受けている子は450万頭くらい=7割程度の接種率
・ペットフード協会の調査では、(畜犬登録の有無に関わらず)実際に飼われている子は890万頭くらい
→受けている子450万頭/実際に飼われている子890万頭=実際の接種率は半分程度
と報告されています。


50%のワクチン接種率…
つまり、2頭に1頭はワクチンを受けていないということ。
日本にはない病気でしょ、もう半世紀も国内発生していない過去の病気でしょ、と 受けさせていない あなた。
愛知に発症した方がいるんですよ。
日本国内で感染したわけではないけれど、でも、ウイルス自体は日本国内にいる人の身体の中で、いまこの瞬間も暴れ回っているんですよ。


コロナも元はそうでした。
海外で出た病気、海外で感染した人がクルーズ船内で発症して降りてこれない病気。
それがあれよあれよと言う間に緊急事態宣言にまで至ったわけです。


狂犬病も、同じことになる可能性があります。
他人事ではないんです。


今すぐに、狂犬病のワクチンを受けさせてください。
1年間の安心を手に入れましょう。
狂犬病ワクチンはほとんどどこの動物病院でも受けさせられるはずですから。
当院も、もちろん そのひとつ。

今までどおりの診療時間で、あなたのご来院、お待ちしています。