はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

猫と心臓病・終章 治療と予後のはなし

クリスマスでしたね。
1号にとっては、下の子の誕生日でもありました。
サンタさんがやってきた方も、サンタさんの代行という重責を果たされた方も、ふつうの水曜日だった方も。
みなさまお疲れ様でございました。


さて。
今回は、先週の続き。
猫と心臓病 シリーズの3番めの記事をお届けします。


前回、お伝えしたのは、心臓病で足の痛みが出ることがある、ということでした。
それは、肥大型心筋症という、心臓病の筋肉が病的に大きくなる病気によるもの。
全身の血の巡りが悪くなると血栓ができ、足への血管を詰まらせるために激痛が起きる、という流れでした。


実は、当院、この状態で駆け込んできた子を たくさん診ています。
当院には休診日がないので、ふだんは もっとご自宅に近い病院などにかかっている子が、よりによってかかりつけ医の休診日に…!と、駆け込んで来られることが多いんです。


心臓病で足の痛みが出るまでになると、詰まりを取るための治療が必要になります。
飲み薬が効くのも待っていられない、急を要する事態ですから、直ちに入院して 点滴の治療をします。
血栓を溶かす薬、言い換えれば、カサブタを溶かして血を止まりにくくような薬や、心臓の機能を改善する薬を、ひたすら点滴します。


ものすごく高いけれど、時間を戻したんですか?レベルでものすごくよく効く薬を使うか?
一定の効果はあって、実績もたくさんあるけど、ものすごくよく効くというほどではない薬を使うか?
体質や持病の関係で、一般的によく使うものが使えないから、また別な方法を使うか?


人間と違い、保険や 高額医療の制度のない どうぶつたち。
いわゆるペット保険も、月間の使用額や回数には上限があるものがほとんどですし、ねこさんの場合 まだまだ入っていないという方も多いので。
飼い主様や、その子の状態を見ながら、どの薬を使うのか?を 判断していきます。


入院、点滴で症状が改善したら、退院して飲み薬の治療に移行します。
心臓の機能を上げる薬。
心臓の負担を減らす薬。
詰まりにくい血液の状態を保つ薬。
さまざまな薬を使い、少しでもいい状態へもっていけるようにします。


足にまで症状の出るレベルの心臓病ですから、飲み薬もとても重要。
でも、飲みたがらない子も多いので、出来るだけ数を少なくしたり、ごはんなどに混ぜて 飲ませやすいものを選んだり。
他の子に評判の良かったものにしたり。
いろいろ工夫をしながら、病気と付き合っていきます。

 


予後についても 少しだけ。
この病気になった子、しかも、入院・点滴にまでなった子は、やっぱり その後5年、10年と長生きすることは 難しい場合が多いようです。
でも、治療が手遅れにならなければ、おうちに帰れる子も多いんですよ。


足が痛そう?
最近機嫌が悪いし、歩きたがらない。そういえば元気もないようだけど…
そんなふうに感じたら、早めに動物病院を受診してください。
それは、待っていても、治らないどころか、悪化する一方です。
最悪、突然亡くなってしまうこともありますから。
様子を見たりはせず、ご相談くださいね。


あなたのご来院、お待ちしています。