はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

マダニに殺される。SFTS、日本紅斑熱は防げる病気です!

今日もまた大雨… なかなか 気持ちの良い秋晴れ、とはなりませんね。

火曜日、22日の即位礼正殿の儀 当日にも雨が降り、幸先が…と思っていた 浅はかな1号。

実は、あの日の儀式に使われた、アメノムラクモノツルギ という神具は、使うと雨が降るものなのだそうです。

神話の時代から受け継がれてきた という、その神具。

なんというか、単純に、すごいな、と思いました。

それ以来、雨が降るとなんとなく 恵みの雨 という言葉が頭をよぎる、単純な1号です。

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これは私たちに何を齎すのでしょうか…

石の河童さまは黙して語りません

 

そんなニュースのかたわら、聞き逃せない話が 飛び込んできました。

日本紅斑熱で救急搬送された方がいる。

それも、つい先週。

 

日本紅斑熱とよく似た病気の SFTSについては、当ブログでも何度も取り上げてきました。

ペットからSFTSをうつされる!?こんなときは病院へ! - はい、栗本動物病院です。

ついに 出てしまいました。マダニ感染症「犬からヒト」初確認 徳島の男性、既に回復 http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO22077920Q7A011C1CR8000/ 当院ブログでも、今年の8月、9月に連続して記事をアップしていた この病気。SFTS、日本語では「重症熱性血小板減少症候群」という病気です。今まで、どうぶつからヒトにうつった証拠はない とされてきた病気ですが、昨日10日、ついに厚生労働省が どうぶつからヒトにうつったことが確認されたと 発表しました。この新しい、それでいて死亡率3割にもなるという報告もある おそろしい病気のことは、ニュー…

SFTSって、なんですか?ほんとうにおそろしいマダニ対策 - はい、栗本動物病院です。

このまま夏が終わるんじゃないか…と言われはじめた 今日このごろ。例年より 熱中症などで具合を悪くする方が少ないとすれば、喜ばしいことですね。 そんな日々ですが、密かに…そして、確実に、亡くなる方の増えている病気。それが、SFTSです。先日、NHKのニュースなどでも取り上げられていましたね。 SFTSとは、重症熱性血小板減少症候群という病気のこと。伝染病の中でも 危険性の高いものとして、4類感染症に指定されている ハンタウイルス病や、エボラ出血熱と同じ出血熱に分類される クリミア・コンゴ熱などと近いウイルスによって引き起こされる病気です。致死率は1割〜3割に達する、つまり 患者さんの10人に3人…

SFTSって、なんですか?その2 - はい、栗本動物病院です。

いきなり涼しくなりました。気温や気候が いきなり変わったり、台風など低気圧で 体調を崩しやすくなります。9月は新学期、年度の後半に突入と、学生さんも 元・学生さんも、無理をしがちな時期ですが、たまにはゆっくり休みましょうね。(鼻水を垂らしながら)(1号もまた鼻風邪の気配がします…) さて。先日の記事(http://kurimotoah.hatenablog.com/entry/2017/08/22/155903)に、大反響をいただいています。某時事問題のときに続き、当院ブログ、たくさんの方にお読みいただいているようですね。いつもありがとうございます。 この記事に関連してなのかはわかりませんが、…

 

日本紅斑熱は、この SFTSに比較的近い病気です。

原因は、日本紅斑熱が リケッチアという比較的細菌に近いものであるのに対し、SFTSは フレボウイルス という ウイルスの一種と、少し異なります。

でも、どちらも、マダニに咬まれることでうつる病気で、亡くなってしまうこともある 非常に恐ろしい病気です。

最初に現れる症状も 比較的似ており、感染症 といって、伝染する病気として とても恐ろしいので、どちらも 感染症法では 四類感染症 に分類されています。

四類感染症は、全数把握といって、診断した医師は 厚生労働省へ報告をしなければなりません。

 

SFTSも、日本紅斑熱も、どうぶつもヒトも 死んでしまうことのある、とても恐ろしい病気です。

防ぐ方法は、マダニの対策をすること。

具体的にいえば、

・ダニのいそうなところへ行かない。

・どうしても行く場合、長袖長ズボンを着用し、ズボンの裾は靴下の中、長靴の中、そして 袖のさきっちょは手袋の中へ。

・ダニをつけてきそうなペットには、フロントラインやネクスガード スペクトラといった、ダニ落としの薬をつけておく。

こういった方法で、マダニに咬まれることを防ぎ、日本紅斑熱SFTSへの感染を防ぎます。

 

雨で河川が氾濫したり、大規模な災害が起こると、ふだんは都市部には少ないダニも 街なかへ出てくることがあります。

山へは行かないし大丈夫…ではないんです。

後片付けや ボランティアのとき、恐ろしい病気にかかることがないように。

ダニ対策の 徹底をしてください。

 

そうそう。

一度だけ、犬用のフロントラインを人間に使ってもいいですか?と、お問い合わせをいただいたことがあります。

犬用のフロントラインは犬用なので…というのはもちろんなのですが、 フロントラインがダニに1ヶ月効くのは、皮膚表面の脂に薬が浸透して 皮膚の上に留まるからなんです。

私たち人間とは、皮膚の上の脂の量も違いますし、お風呂に入って石けんで洗えば かんたんに流れ落ちてしまいます。

それに、汗をかくだけでも、流れ落ちてしまいますから。

ラクをできないばかりか、とてももったいないことに。

そう、フロントラインのようなお薬は、犬や猫が 身体の表面から汗をかかないことを利用した お薬なのです。

 

人間は、暑くても 物理的に防ぐのが一番。

ダニ対策は、虫除けスプレー+長袖長ズボンに、できれば長靴。

無理なら、靴下のなかにズボンの裾を入れましょう。

そして、軍手のなかにも 袖を入れてくださいね。

 

ボランティアに行く方、被災地のみなさん。

防げる病気に気をつけて 1日も早く暮らしを取り戻せますように。

当院も、微力ながら 募金などで支えていこうと思います。

 

あなたのご来院、お待ちしています。