はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

やってみよう!避難訓練のすすめ

そろそろ寝ようよ、と裸で走り回る子どもを説得していたあのとき、突然テレビと携帯から鳴り響いたのは、8年半前に 毎日何度も聞いたあの音でした。
緊急地震速報緊急地震速報、強い揺れがきます。
繰り返し流れるあの音。あの声。
当時の様子を知っている犬は耳をぴんと立て、異常な気配に怯えて さっきまで走り回っていたのが嘘のように抱きついてくる子どもを片手で抱っこしながら とりあえず窓を開けて…


夜遅くの地震でした。
最大震度は6強。
大人でも立っていられず、はわなければ行動できないというレベルの揺れです。
電車で、立っているほぼ全員がよろけるようなときでさえ だいたい震度3に相当するくらいなのだそうですから、そのものすごさときたら…
怪我をされた方の 一日も早い回復をお祈りいたします。


そんな とんでもない揺れで、しかも 津波まで来たというのに、亡くなる人がいなかったのは 不幸中の幸いでした。
翌日からのテレビに踊ったのが、「自主練」の文字です。
新潟県地震が多く、日頃から自主的に避難訓練を行ってきた人が多いのだそう。
自主練 のかいあって、いざ避難が必要となったとき、迅速に動けたということのようでした。
確かに、初めてやる作業や、初めて行く場所では まごついてしまうもの。
とはいえ、一度でも 下見やリハーサルを行っておくだけで だいぶ変わりますよね。


避難の自主練て…と 思われたでしょうか。
不謹慎と感じてしまう方、そんなのいざとならなきゃわかんないから無駄だよ!と感じる方、いろいろかもしれませんね。
でも、保育園や空港は 毎月そういった訓練を続けているのをご存知ですか?
学校でも、毎月とはいいませんが やっていましたよね。
案外、やっていないのは あなただけなのかもしれませんよ…?
避難訓練とは、つまり、いざというとき 何を持って、どう動くか?ということ。
イメージトレーニングするだけでも、だいぶ変わるといいますから、やってみない手はありません。


特に、わたしたち どうぶつと暮らす者たちは、場合によっては 避難先の選定も必要になります。
ケージで静かにしていられる子と、どうしても吠えてしまう子では、やはり避難先の選択肢も変わります。
揺れがくる前に、どう動くか?どこへ行くか?
考えてみて、できたら一度はやってみてください。
それが 明暗を分ける可能性もあります。


こういった災害があると、やはり 非常持ち出し品の売れ行きが伸びるのだそうです。
1号家にも、貰い物の持ち出し袋があります。
普段視界に入ると あまりいい気持ちがしませんが、しまい込んでしまって いざというとき取り出せないのも意味がないのが 難しいところですね。


そんな非常持ち出し袋に、ぜひ加えて欲しいのが ペットシーツと手帳です。
ペットシーツは、ペットのいないご家庭にも かなりおすすめで、赤ちゃんのいるおうちには 日常の便利グッズとしてもおすすめしたいもの。
簡単にいえば、平たくて四角い 全面吸収のおむつですからね。
こぼれた液体を吸わせたり、おむつ替えシートにしたり、ベタベタ系の塗り薬を塗って なじむまで寝かせておいたり。
この手の薬は、布についてしまうと 乾燥にかけられなかったり 洗濯機を傷める場合がありますから、ペットシーツを使い捨てにするのが安心です。
また、病人にもおすすめです。
吐物が飛び散らないよう、ゲ●袋に敷いたり、消毒薬をたっぷり染み込ませて消毒したいエリアへ置いておけば 消毒薬が蒸発してしまって消毒不足…なんて事態も防げますから。
災害時には、タオル代わりに使ったり、身体に巻きつけて寒さをしのいだり、簡易の敷物や掛け物としても使えます。
あまり大きくても 重たいですから、新聞紙くらいの大きさのものを人数分入れておけば、じゅうぶん急場はしのげると思います。


手帳は、もう準備されている方も多いかもしれません。
鑑札やマイクロチップなど、個体識別の方法。
常備薬や既往歴といった、病気の情報や、かかりつけ医の連絡先。
こういったことをまとめておく手帳です。
ワクチン手帳をお持ちの方は、そこへページを追加するのも方法です。


そのとき、必ず 飼い主さんと一緒に写った写真と、少し離れたところからの 模様がよくわかる写真を 何枚かずつ入れましょう。
東日本大震災のとき、飼い主さんと一緒の写真と 遠くからの写真のあった迷子ポスターが、いちばん早く再会できたのだそうです。
ついでに、飼い主さんの無事もわかることもあり、あって困るものではありません。
スマホにたくさんデータがあっても、災害時にはやはり 写真が必要な場面もあります。
写真は、ベストショット よりも、普段の自然な写真がいいようですよ。


備え過ぎると、逆に 呼んでしまいそうでこわい、という考え方もあります。
でも、備え過ぎて困ることって、実はないんです。
それより、知っていたのに備えていなかった のほうが、ずっとずっと後悔すると 思いませんか。
まずは、ペットシーツを袋へ入れるところから、
そして、一度は 避難訓練 してみてくださいね。