はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

家族が「エイズ」「猫白血病」と言われたら

流行していますね!
インフルエンザ。
我が家の3歳も 木曜の夜中から発熱し、金曜日にはインフルエンザA型と確定しました。
幸い、お薬がよく効いて、土曜日には熱は下がったものの、登園許可はまだ先。
電車を乗り継いで駆けつけてくれた おばあちゃんにみてもらっております。
我が家には、他に昨夏RSで入院した1歳と、大人が2名おりますが、今のところ発症者はなし。
このままインフルエンザの波よ去れ…!と、祈りを捧げる日々です。

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2019年は これくらいの 凪でいきたいです。


人間のインフルエンザは、飛沫感染 または 接触感染 という方法でうつります。
患者さんの咳やくしゃみでウイルスが飛び散ったり、ウイルスのついた手で触れたところについたウイルスが 別の人の手についてうつるわけです。
インフルエンザの場合、ごく少数のウイルスが 体に入ると短時間で爆発的に増えるので、いわゆる「ちょっとくらいなら大丈夫」が通用しません。
つまりは、感染力がとても強く、そのせいで大流行に至るんですね。


インフルエンザほどの感染力はありませんが、ねこさんで恐れられている うつる病気があります。
それは、エイズ(FIV)と猫白血病(FeLV)。
どちらも、専門用語でいえば 種特異性が高い 病気。
言い換えれば、飼い猫がかかっているからといって、わたしたち人間にうつるような病気ではありません。
とはいえ、猫同士では 簡単にうつってしまいます。
多頭飼いをしていると、1匹が診断されると 他の子にも…?と心配になりますよね。


そんなときは、まず、病気が判明した子 以外の子も、動物病院へ連れて行きます。
病気にかかっていないか?の検査と、かかっていなかった場合に ワクチンを打つためです。
エイズ白血病は、たいていはいっぺんに診断できるキットで検査をしますので、 比較的 所要時間は短いはずですが、数時間程度 時間に余裕のある日がおすすめです。


ワクチンは、エイズ陽性の子と同居している場合は  FIVワクチン、白血病陽性の子と同居している場合は 最低でも3種混合を打ちます。
状況により、3種よりも 5種混合がおすすめの場合もありますので、かかりつけの先生と よくご相談ください。
エイズ白血病にかかっている子は、かかっていない子からは 隔離が基本です。
隔離の難しい場合、同居している子はワクチンが守ってくれますので、必ず打ちましょう。


隔離して生涯飼うことが可能なら、ぜひ 隔離をしていただきたいのですが、実際なかなか難しいですよね。
隔離はできない!という場合でも、少しでも うつるリスクを下げるために、注意していただきたいのは、ヨダレと血液です。
それは、どちらの病気も ヨダレや血液でうつるからなんです。
体の外では 長くは生きられないウイルスたちですので、食器についたヨダレや トイレの排泄物からうつる可能性はほぼゼロ。
ですが、食器やトイレ、オモチャを共有すると、食事時など 興奮したときに、ケンカをする可能性があります。
ケンカをして、噛み付いたり 噛み付かれたりした場合、キズ口からウイルスの含まれるヨダレが入ったり、ウイルスの入った血が 体に入ってしまう可能性があります。
したがって、人間と違い、猫さんの場合には、食器やトイレは分けておいたほうが リスクは下げられます。


エイズも、白血病も、嫌らしいのは うつってもすぐに症状が出ないということ。
うつっていても、見た目にはまったく健康に見えることがよくあります。
それでいて、一旦ウイルスが暴れだすと どんどんと症状が進むことも多く、あっという間に弱っていってしまいます。


家族が「エイズ」「猫白血病」といわれたら。
まずは、他の子にうつさないこと、ウイルスを体内で暴れださせないことを、最重視して 生活していきましょう。
他の子がいる場合、まずは、検査をして うつっていなければ ワクチンを。
そして、隔離して飼うことが難しい場合は、ケンカの引き金になりそうなものの共有は避けましょう。 


ウイルスは、体がストレスを感じると、暴れだしやすいといわれています。
外へ出てしまうと、どうしても縄張り争いなどで ストレスがかかります。
出来るだけ、家の中だけで飼うようにすると、暴れだすリスクを下げられます。


家族がエイズ、猫白血病と言われると、どうしても 動揺してしまいますよね。
でも、かかってしまったことを嘆くより、できることがあります。
ストレスを減らして 発症を食い止めること。
ワクチンを打って、他の子にうつらないように抑えること。
当院でも アドバイスさせていただきます。


あなたのご来院、お待ちしています。