はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

天災と伝染病② 小さくてもこわーい、媒介昆虫

真備町、大阪に続いて、こんどは厚真町
西でも北でも、大変な日々が続きます。
真備町には親戚、大阪と胆振には知り合いの多い1号、ここ最近は 常に誰かと連絡が取れたとか、取れないとか…
東日本直後のような、落ち着かない気持ちで過ごしています。


さて。
前回、レプトスピラ症という病気の話をしました。
今回は、媒介昆虫のお話です。
ばいかいこんちゅう と読みます。
何か特殊な虫?…というわけではありません。
蚊やノミ、ダニといった、ごく一般的でどこにでもいるような虫たちです。
えーでも、蚊に食われたとしても、死ぬの生きるのと騒ぐようなことじゃあないじゃない…
そう思いますか?
実は、そうとは限らないんです。
大雨や地震など、災害のあとには 特に。


蚊やノミ、ダニの何が問題か。
それは、病気をうつすことです。
蚊自体に食われても、多少痒いくらいで済みますが、蚊やノミ、ダニに食われて、うつってしまう可能性のある病気の種類は とても多いんです。
デング熱、ジカウイルスのような ニュースで聞いたことがある!といった病気。
日本脳炎のような、あー昔予防接種したっけ?どうだっけ??といった病気。
たくさんの病気が、こういった 媒介昆虫によって うつされてしまうんです。
刺されて痒いだけでなく、病気がうつったかもしれないと心配までさせられる。
それが、媒介昆虫の害なんです。


避難生活を余儀なくされると、どうしても こういった媒介昆虫に刺されやすくなります。
天災は、かれらのふだんいる場所も破壊しますから、居場所がなくなり 外をウロウロしがち…というのも、要因のひとつです。
出くわしてしまう可能性が 高まりますから。
他にも、建物の隙間から入り込んだり、片付けや移動に手いっぱいで 刺されたのに気づかなかったり、いつもの虫除けグッズが使えなかったり、服装も いつもと違ったり…
さまざまな要因で、刺される可能性がとても高くなるんですね。


避難生活中は、辛くても 我慢してしまいがちだといいます。
でも、こうした 媒介昆虫に刺されたことで、病気になってしまっている可能性もありますから。
辛いときには、ぜひ 早めに声を上げてほしいと思います。
風邪みたい…な症状ではじまる、重病もたくさんありますから、軽くみないことが大切です。
病院に行って、なあんだ取り越し苦労した!と笑って帰ってくれば、それでいいんです。
病院は、そのための場所でもあるんですから。


人間だけではありません。
どうぶつたちだって、蚊やノミ、ダニにうつされる おそろしい病気は、フィラリアに瓜実条虫、SFTSをはじめ、たくさんあります。
自分たちが発病する病気だけではありません。
媒介昆虫のせいで、病原体を体の中に飼っている、キャリアー と呼ばれる状態になってしまうこともあります。
体を貸して寄生虫を育ててあげる、宿主 という状態になってしまうこともあります。
この夏、避難生活に備え 避難バッグを用意したり、備蓄をしたりする人がたくさんいたといいますが、ぜひ どうぶつたちにも。
万が一のとき、フィラリア対策や ノミダニ予防をしていれば、1ヶ月は安心していられます。
予備を避難バッグに保管することにしておけば、より安心ですよね。


こうした媒介昆虫対策、実は 暑い時期だけのものではありません。
見かけなくなってから、もう1ヶ月は 追加が必要です。
涼しくなったしそろそろいいか…ではなく、これからこそが危ない時期。
真夏は、暑すぎてむしろ数が少なかったり、活動がおとなしかったりしますから、実は秋から冬にかけてが虫シーズンなんです。


当院では、やば…忘れてた…というあなたのために、検査も処方もまだまだ受け付けております。
お気軽に ご相談ください。
五日市街道も、小金井公園も、緑が豊かということは、虫のすみかも豊富ということ。
刺されて心配するよりも、刺されない対策をしましょう。
あなたのご来院、お待ちしております。