はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

給水するならお皿でね!解剖学的にもおすすめです☆

ゴールデンウィークが 終わりました。
仕事に燃えたあなたも、たっぷりお休みをとれたあなたも。
お疲れさまでした。


さて、そんな ゴールデンウィーク
海や山のレジャーに 小さな家族を連れていったという方も 多いのではないでしょうか。
高速道路のサービスエリアに、ドッグランを併設しているところも 増えてきましたからね。
以前よりも 気軽に連れ出せるようになったように思います。


そんな 道中。
好きなときに水分補給ができるようにということでしょうか、ケージに給水ボトルを付けている方 多く見かけます。
これ、移動中やお留守番の間だけなど ごく短時間ならいいのですが、毎日ずっと ボトルだけで給水することは、解剖学的にも おすすめできません。


実は、わんちゃんや猫さんの舌・喉は、ボトルの口をふさぐボールを舌で押し、できたすき間から出てきた液体を舐めとって飲む ということに向かない構造です。
ときどき、赤ちゃんのころにお母さんのお乳を飲んでいたのと同じやり方をすれば飲めるので大丈夫…などと説明している ペットショップの店員さんを見かけますが、モヤモヤが否めません。
赤ちゃんのころにできたから今もできるというのなら、みなさん、今もゴロンと床に転がって足の指をしゃぶれますか?
だいたいの赤ちゃんが簡単そうにやっていますけど、ほとんどの大人は難しいでしょうし、できたとして赤ちゃんのようにリラックスしながらチュッチュとやるのは難しいですよね。
それと同じことです。


そりゃ、足の指をしゃぶらなきゃ水が飲めないといわれれば、わたしたちだって必死に舐めようとします。
大きく口を開け、できるだけ舌をたくさん出し、ハアハア言いながら何度も何度もチャレンジするでしょう。
でも、どうしたって派手にこぼれ、周りを汚し、そのわりに飲める量は少ないですよね。
頑張っているうちに 気管に入ってむせたり、ゲホゲホああ苦しい、なんでコップに入れて置いてくれないんだろう…
あっ、手の濡れた人間が来た。少しでも水分がほしいから手の水滴も見逃さず舐めとろう、えっ、水をはね散らかして周りを汚すなって?こうやって足の指をしゃぶって飲めば清潔?清潔とかどうでもいいから、コップに水を入れてちょうだいよ!
こんなにも飲むのがたいへんなんだから、ちょっとした喉の乾きくらいならがまんしてしまうか…ああ喉が乾いた…コップに水を入れて置いてさえくれたなら…


尿結石など、おしっこが濃くなると 出てくるトラブル。
歯石のとてもひどい子。
お話しをしていると、お家でずっと給水ボトルを使っているという方が とても多いです。
わんちゃん、猫さんにとって、給水ボトルで水を飲めというのは、わたしたち大人に 足の指をしゃぶって水を飲めというのと同じ。
充分な水分が取れなければ、おしっこが濃くなりトラブルになって当然。
それに、食べカスを洗い流すこともできないのですから、歯石がひどくて当たり前です。


わんちゃんも、猫さんも、舌で水を巻き上げ、すくいあげるようにして飲むのが 解剖学的にも正しい飲み方なんです。
今までに一度もお皿から飲んだことのない子は、初めは少しだけ うまく飲めないかもしれませんが、すぐに上手になります。
お皿に舌を入れて飲んだお水を、時間をあけてまた飲むなんて、ばい菌が繁殖していそう…
それなら、水を飲むたび お皿を綺麗に洗って 取り替えてあげましょう。
そもそも、給水ボトルを使えば、お水を清潔に保てる というわけではありません。
むしろ、ボトルのほうが 構造が複雑なぶん、洗い残しやすすぎ残しがあるかも。


綺麗な水を飲ませてあげたい一心で、却って嫌な思いをさせ、身体に負担をかけてしまっているかもしれません。
水分補給は お皿から!
給水ボトルは、あくまでも移動中やお留守番中など、一時的な使用にとどめましょう。


それでも、水分摂取不足で 体調を崩してしまったら、診察は当院に お任せください。
あなたのご来院、お待ちしています。