はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

予防注射があなたも周りも救うから。はしかも狂犬病も、予防注射が肝心です!

流行ってきてしまっていますね。
はしか こと、麻疹。
ゴールデンウィーク、人の多いところへ出かける方、気をつけてくださいね。
マスクでは太刀打ちできないですよ。


麻疹は高熱、発疹、咳やくしゃみ、鼻水などの出る病気。
なんだ風邪みたいなもんか、と バカにしてはいけません。
症状がとても強いので、大人でも発症すると 入院になってしまうケースも多いのです。
後遺症として、免疫力の下がった状態がしばらく続き、その間は他の病気にかかりやすくなるので、治ったからといって油断はできない、恐ろしい病気です。
さらに恐ろしいのは、その うつりやすさ。
はしかは、インフルエンザの10倍くらい うつりやすいといわれています。
患者さんに接触しなくても、空気感染しますから、たとえば風上でクシャミをしたら、満員電車の車内で咳をしたら、隣の蛇口でうがいをしたら…
簡単にうつります。
しかも、うつったらほぼ間違いなく 発症してしまいます。


こんなとにかく恐ろしい病気に、われわれができること。
それは、予防です。
インフルエンザとは違い、はしかのワクチンは 終生免疫。
一度免疫力をつければ、もう追加で打つ必要がないので、安心です。


平成2年4月2日以降生まれ、つまり 今年度28歳になるか、それより若い方の受けているワクチンプログラムなら、はしかの予防はできています。
ですが、それ以前の生まれの方。
今年度、29歳以上になる方は、もしかすると 予防が完璧ではないかもしれません。


29歳以上というと、ちょうど 今妊娠中だったり、ママ友や職場の同僚など、身近に妊婦さんのいる方も多いと思います。
妊婦さんがはしかにかかると、普通の人より重症になりやすく、妊婦さん自身が亡くなってしまったり、赤ちゃんが亡くなってしまったりすることも。
でも、妊娠中は はしかの予防注射をすることができません。


そんなときに大切になってくるのが、集団免疫という 予防のしかたです。
これは、100人の集団があったら、そのうち70人が予防注射を受け、免疫を持っていれば、その 100人の中に 病気が入りこんでも、どんどん感染が拡大していくことは防げる というもの。
たとえば 妊婦さんや、抗がん剤などを使っていたり、アレルギーなどがあって 予防をしたくても予防注射が打てない方。
こういう方は、集団免疫に頼るしかないわけです。
本人は免疫がないわけですから、うつってしまえば病気にはかかります。
でも、他の人がみんな免疫を持っていれば、そもそもうつる可能性が下がる という考え方です。
ワクチンは自分のためだけでなく、人のためでもある といわれるのは、そういう理由から。


はしかだけではありません。
狂犬病の予防注射も 同じです。


毎年一回、飼い犬に狂犬病の予防注射を受けさせるのは、狂犬病予防法という法律で決められたこと。
打ちたい・打ちたくない で決められるものではありません。
日本で犬を飼うのなら、必ず守らなければならないルールです。
主義主張で ルールを破るのなら、日本で犬を飼うべきではありません。
ですが、そうはいっても 痛い思いをさせるのはかわいそう…
そう思いますよね。
しかも、ちょっと調べてみたら、えっ?狂犬病って、日本ではずっと前から出てない病気なの?じゃあ打ちたくないかも…


でも、注射を受けることで、他のわんちゃんも守れるんです。
今や、世界中からたくさんの人やものが日本に入ってきます。
動物たちは、農水省厚労省などが 検疫 といって、病気を持ち込まないよう 厳しい条件を課しています。
が、わたしたち人間は、動物たちに比べ、病気の持ち込みはあまり気にしていません。
実際、50年以上狂犬病の発生がないというのは、動物でのこと。
人間は、海外でうつった人が 日本に戻ってきてから 発症した例が、21世紀に入ってからも 何度もあります。
たまたま 発症した人から 他の人へうつらなかっただけで、いつそうなっても おかしくはありません。


もし、海外から持ち込まれた狂犬病が 日本で広がったら…
きちんと予防注射を受けたわんちゃんは、わんちゃん自身も 飼い主さまも守ります。
毎年一度のこと、ちょっとめんどうですが、今年も忘れず 予防注射。
当院でも、受けていただけます。
あなたのご来院、お待ちしています。