はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

腎不全の猫さんに、宇宙からの「きぼう」

平昌パラリンピックが閉幕しましたね。
メダルを5個獲得した 村岡選手のコメントで、 首が取れそうな重さ と言っていたのがむちゃくちゃかっこよく、
少しでもあやかりたくて、1号も 聴診器を首にかけまくってみました。
…聴診器5本分の重さと ちょっぴりの虚しさが 首にかかりました。

さて、そんな 虚しい風の吹く当院。
嬉しいニュースが 宇宙から飛び込んできました。
それは、腎不全の猫さんへの朗報。
国際宇宙ステーションISSの日本実験棟「きぼう」での研究成果をもとに、猫さんの人工血液の合成に成功したというニュースです。

腎不全の猫さんは、貧血になりやすいことが知られています。
が、ただでさえ腎不全と貧血で弱っている子に輸血をしても、拒絶反応が起きるかもしれなかったり、そもそも ドナー猫さんが見つからなかったりで、貧血で辛くても 輸血をしてあげることは難しいのです。
当院では、それでもなんとか耐えられそうな子には、貧血改善のホルモン注射をすることもありますが、これも回数は限られていて、何度も使える手ではありません。

そこへ、今回のニュースです。
人工血液なら、拒絶反応の心配はありませんし、売っているものを買ってきて使うだけですから、ドナー猫さんの心配もいりません。
さらに、需要が見込めるとなれば大量に作られるようになり、そうなれば値段も下がるでしょう。

2016年に、すでにわんちゃんの人工血液は作られていますから、猫さんも追う形ですね。
とはいえ、2017年末には 猫さんの飼育数が わんちゃんを上回りましたし、猫さんのほうが 腎不全になりやすく、輸血が必要なくらいに 悪化することも多いですから、製品化されるのは もしかしたら猫さんのほうが 早いかもしれません。
1キロ未満から 70キロ超えまで、いろんな体格の子がいるわんちゃんと違い、猫さんはどんなに大柄の子でも 10キロ超えは稀ですから、おくすりなどを作る上では 体格差をあまり気にしなくていい分 猫さんのほうが やりやすいそうですし。

腎不全だけど、貧血が起きているけど、うまく付き合えています。
吐き続けたりやせ細ったりしないで、ごはんもおいしく食べられて、気持ちよさそうに寝ていて…
そんな子が 一匹でも増えるように。
宇宙からの「きぼう」、診察室で使うのが楽しみです。

腎不全との付き合い方、いっしょに考えていきませんか。
当院 精一杯のお手伝い いたします。
あなたのご来院、お待ちしています。