はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

秋は旅行シーズン。ペットを連れてお出かけしよう!

前回の記事が 下書きになったまま投稿されてなかったことに つい先日気づいた1号です。
(T^T)

気を取り直して参りましょう。
今週末から、シルバーウィークに入るという方も いらっしゃるのではないでしょうか?
真夏は 夏休みなどのため どうしても混みあいますし、暑さのせいで事故のリスクも高くなるので、わんちゃんやねこさんと旅行したい…という方は 実は少なめ。
その代わり、ペットホテルが混みあいます。
そのいっぽうで、シルバーウィークに代表される 秋は、ほどよく涼しく 学生さんの夏休み期間も終わっているため、ペット連れでの旅行のチャンスなんです。

ペット連れの旅行に、動物病院としておすすめしたい持ち物が、かかりつけの先生からのお手紙。
診断書…とまではいかないけれど、いままでにかかった病気、かかりやすい病気、お薬の合う・合わないなどを書いてもらうのです。
最近では、ペット保険や ペットショップなどで、わんにゃん母子手帳なんて言い方で 配られていたりもします。
こういった資料があると、旅先で急に体調を崩したときに かかりつけでない病院へ飛び込みで見てもらっても安心なんです。
持病のある子、中でも 発作持ちなど、急に体調を崩す可能性があって、しかも はやく治療しないと命に関わる子の場合、こういったお手紙は特に大事です。
カルテを写メやコピーさせてもらう…とかでもいいのですが、カルテは先生独自のクセがあったり、電子カルテでも独特のシステムを見慣れていないと、ほんとうの緊急時には役に立たないことが多いんです。
他の先生に見せる前提で書いてもらう お手紙のほうが、緊急時の参考にできますから、おすすめです。

そして…
ペット連れでの旅行は、そうでないときより、少しだけ注意が必要です。
移動手段別に 見ていきましょう。

<h1>飛行機・海外編</h1>
国境を超えるような長時間のフライトは、どうしてもペットたちに負担がかかります。
乗り物酔いする子はもちろん、発作や腰痛、関節痛などのある子はまず症状が悪化します。
最悪、到着するやいなや現地の動物病院に駆け込むことになるかもしれません。

さらに、輸出・輸入という特別な手続きが必要です。
これがねえ…
日本から出るのはわりとかんたんですが、経験上帰ってくるのがものすごくたいへんなんです。

出発前にイチから準備すると、まず2ヶ月はかかります。
1号は手続き代行の業者さんを使わず、ぜんぶ自分でやりましたが、費用はかるく6ケタいきましたし、日本でも現地でも病院に何度もいくことになります。
注射や検査も多いうえ、帰りに現地の空港で検査を受けなければならず、予約したり長く待たされたりあちこち行かされたり…と、いろいろだいぶたいへんです。
獣医師ですから知識もあるし、2年住んだ国から日本への帰国 という状況でしたから、土地勘もある、さらにことばもそれなりに話せる。
そんな状態の1号でも、めちゃくちゃたいへんでした。
二度とやりたくない というのが本音です。

輸出・輸入の制度も現地のこともよくわからない、現地のことばでまくし立ててくるネイティブと互角に会話ができない、そんな状態でやることではありません。
なんせとにかく手間がかかるし、手違いで必要な書類が揃っていなかったりしたら、返送されたり殺処分されてしまう可能性があるので、プレッシャーがすごいんです。
旅行を100%楽しむことは難しくなります。

ペットと一緒に海外旅行する予算で、ペットホテルはもちろん、飼い主さまのホテルのランクをかなり上げられますし、なんならオプションでトリミングやツアーをつけても余裕でお釣りが来ますから。
数年単位の移住はともかく、ペットと海外旅行☆は止めておきましょう。

<h1>飛行機や鉄道・国内 編</h1>
移動時間・距離が長く、途中休憩も取りにくいので、そこに注意が必要です。
特に飛行機は、海外ほどの長時間フライトにはなりませんが、やはり気圧の上下があるため、負担がかかります。
持病のある子は、お薬を多めにもらっておいたり、旅行先の近くに 動物病院がないか、調べておいたほうが安心です。

飛行機は、客室内にいっしょに乗り込める路線と、スーツケースなどといっしょに預けなければならない路線があります。
ケージの大きさや材質に、航空会社独自のルールがあることも。
さらに、予約の枠がいっぱいだと、乗せてくれない可能性もありますし、ひと便に数席分しか枠はないことがほとんどですから、予約は早めにしたほうが安心です。

空港近くで働く友達によると、ペットの搭乗に予約が必要と知らず、搭乗口で大揉め→飛行機に乗せてもらえず駆け込みでペットホテル、というパターンが時々あるのだそう。
ケージのルールも知らなくて、慌ててケージを買っていく方もいるのだとか。
せっかくの旅行、出発前にケチがつくのは避けたいですよね。
予約、準備は万全に!

<h1>車・国内 編</h1>
いちばん自由が利くので、人気の行き方ですね。
最近は、サービスエリアにドッグランが併設されていることも多く、マメに休憩を取りながら進めるのも いいところです。

車といえば、車酔いがやっぱり一番心配。
特に、止まったり進んだり曲がったりを繰り返す市街地や、高速でも混んでくると酔いやすくなります。
車内の換気をしたり、朝ごはん抜きで車に乗せる、休憩をしょっちゅう取るなどの対策もありますが、
酔い止めのお薬を試したことのない方は、一度ご相談ください。
いいお薬、あります。

そして、サービスエリアのドッグランを使おうかな とお考えの方に 注意。
ドッグランには、ワクチンを打っていないと入れないところがあります。
狂犬病と混合、両方とも証明書を持っていきましょう。
なくしてしまった!という当院患者さまは、再発行もできますので、ご相談ください。

また、ああいったところのドッグランは、特にダニやノミ、病気をもった蚊などが多いもの。
山を切り開いたりして作りますから、もともと虫のたぐいが多いエリアです。
そこにわざわざ土や原っぱの場所を作って、ドッグランというふうにしているわけですから。
きちんと対策をしていかないと、危険なんです。
ただダニやノミがつく、蚊に食われるだけでは済まず、SFTSフィラリア、瓜実条虫などの病気をうつされてしまうかも。
ネクスガードスペクトラ、フロントライン、カルドメックなどの対策をお忘れなく!