はい、栗本動物病院です。

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お尻が臭いのは当たり前?お尻周りのトラブルが増えています!

立秋ですね。
地方によっては、8月七夕といって、また短冊を書いたりするところもあるようですね。
1号も、今年は チャレンジしてみようかと思います。

さて。
今回は、お尻の話をいたしましょう。
お尻、臭いのが当たり前だと思っていませんか?
実は、においの強さや種類、におうタイミングによっては、病気のサインであることがあります。
ずーーーっと臭いがしている。
腐ったザリガニのような、動物園のような臭いがするようになった。
今までそんなには気にならなかったけれど、この夏急に臭いが強くなったようだ。
そんな場合は、特に注意が必要です。

お尻の中には、肛門を時計の文字盤に見立てたとき、4と8のあたりに、肛門腺や肛門のうといわれる袋があります。
この袋に、うんちのばい菌が穴から入り込み、袋の中で膿になってしまうことがあります。
夏などは特に ばい菌が増えやすい状態ですので、膿がひどくなり、穴が詰まって出なくなってしまうことがよくあります。
穴が詰まってしまっても、膿はどんどん出ますから、袋がどんどんいっぱいになってきてしまうのですね。
いっぱいになりすぎると、何が起きるか?というと、袋が破裂してしまいます。
お尻の中にある袋がはじけてしまうわけですから、当然ものすごく痛いです。
それだけでなく、中に貯まったばい菌と膿が 周りに飛び散ります。
すると、それはばい菌のエサになります。
ばい菌は爆発的に増え、皮膚の下で肛門の周り一帯がひどい炎症を起こすのです。
破裂や炎症の度合いによっては、肛門の周りに大穴が開いてしまうこともあります。
穴は開かなくても、想像を絶する激痛ですよね。

こうなってしまうと、自然治癒はほとんど無理。
というか、自然治癒を目指すほうが 痛い時間が長引いて、かえってかわいそうです。
当院では、まず生理食塩水というしみない水で傷の中や周りをよく洗い、抗生物質を使ってばい菌を抑えます。
これだけでも、かなりスッキリして体調がよくなる子は多いのですが、抗生物質なしでは、お尻に穴が開くほどの傷はまず治らず、悪化するばかりですから、おくすりをかならず飲ませるか、長く効く注射をします。
お尻周りの傷が小さい子は、これだけでも大丈夫な場合も。
傷が大きい子や、深い子は、麻酔をかけて縫って治します。
ばい菌が大暴れしている間、傷を洗ってすぐのときには、大丈夫かどうか判断がつかないことも多いので、かならず再診を受けましょう。

実は、お尻周りというのは、わんちゃんたちにとってとても重要な部分。
あいさつをするとき、かならずお互いに嗅ぎ合うことからも よくわかりますよね。
なので、お尻周りのトラブルを隠す子はとても多いです。
が。
その、隠す行動も、臭いとともに飼い主さまの気づくきっかけになります。
最近、やたらお尻をなめているところを見かける。
ベッドやソファに、妙にお尻をくっつけて座っている。
そういえば臭いが…?
そんな方は、ぜひお早めにご来院を。

本来、この袋の中身は、うんちできばったときなどにスッキリと自分で出せるべきもの。
自分で出せれば、多少うんちのばい菌が入り込んだところで、お尻が爆発するほどの事態にはまずなりません。
でも、歳をとってきばる力が弱まってきたり、太っていたり腰が痛かったり、いろんな事情でうまくきばれない子もたくさんいます。
そうすると、出せずにどんどん溜まり、そこに入り込んだ菌が大暴れ…という事態に。
夏は、冬にくらべて菌が暴れやすかったり、膿の悪化が早かったりと、お尻周りのトラブルが起こりやすい時期です。
爪切りなどと同じ、お手入れのひとつとして、ぜひ肛門腺絞りも忘れずおこなってください。

当院でも、もちろん対応していますから、どうぞお気軽にお申し付けください。
そして、もし不幸にして お尻周りのトラブルを抱えてしまったら…、
できるだけお早めのご来院を 強くおすすめします。
自然治癒は まず望めないのがお尻です。
あなたのご来院、お待ちしています。