はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

保冷剤に気をつけて!

関東の梅雨明け…
まだ でしたっけ??

そんなことを思ってしまうほど、暑い日々が続きます。
当院の目の前、五日市街道は、川と緑で かなり目には涼しいものの、やはり体は確実に暑く、滴り落ちる汗を拭いながら 入ってこられる飼い主さまも。
わんちゃんたちも 大きく口を開けて舌を出し、いっしょうけんめい熱を発散しています。

この時期、来院されるカワイコちゃんたちも 飼い主さまも、どこかしら身につけていらっしゃることがおおいのが 保冷剤。
ケーキなど買ったときにもらえるアレを取っておいて使っています という節約派の方もいれば、氷枕を流用してます と豪快に大きなサイズをお使いの方まで。
1号も、子どもをベビーカーに乗せるときなど、保冷剤が欠かせません。

そんな 保冷剤。
冷凍庫で カッチカチに凍るタイプと、凍ってもやわらかで肌あたりのいいソフトタイプがあるのを ごぞんじでしょうか。
ソフトタイプのものには 不凍液 といって、おうちの冷凍庫では完全に凍ってしまわないような液体が入っています。
これのおかげで、やわらかさが保たれるんですね。

ですが。
この 不凍液で、中毒を起こして亡くなってしまう事故が まれに起こります。
暑いからと保冷剤を入れてあげてお出かけ。
残された子がおるすばんをしているうちに、なんとなく保冷剤をかじってしまう。
かじって出てきた中身が 甘くて美味しくて、喜んでなめているうちに 中毒を起こしてしまうんです。

この中毒の嫌らしいところは、症状が出てきたら まず手遅れなところ。
中身自体は、毒性は低いのですが、体の中で化学変化を起こします。
化学変化後の物質が 中毒の原因になるのです。
変化が始まる前に、体から排泄させてやらなければ 中毒に。
腎臓が回復不能なダメージを負って、症状が出始めてからでは、もうとっくに手遅れ。
死んでしまいます。

いま、日本製で出回っている保冷剤の中身は、まず間違いなく食品グレードの安全なもの。
特に、ケーキなどについてくるようなものは アイスや化粧品の原料にもなるくらいのものが使われていることがほとんどです。
でも、安い海外製品や、そういえばこれいつから家にあるんだったっけ?みたいなもの。
そういったものは、もしかすると 中毒を起こしてしまうようなものが 使われているかもしれません。

おるすばんをさせるとき、保冷剤を使うこと自体は 悪いことではありません。
クーラーを使っても、それだけでは足りないかも。
クーラーが外出中に壊れてしまうかも。
そういったことが心配で、保険の意味でも 保冷剤を使うことは理にかなっています。
ただ、使う前に一度、原材料を見てみてください。
裏やパッケージに、原材料の書いてあるものも多いはず。
エチレングリコール と書いてあるものは使わない。
これを守れば、中毒を起こして悲しい思いをすることはありません。

良かれ と思ってしてあげたことが 裏目に出ると、ほんとうにつらいですよね。
エチレングリコールを含む ソフトタイプの保冷剤は、もはや絶滅危惧種…とはいえ、ゼロではありません。
確認してから 使ってあげてくださいね。