はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

水害後の犬の散歩はちょっと待って!

恐ろしいことになってしまいました。
台風自体の風雨はもちろん、河川の氾濫による二次的な被害がひどかった 今回の台風19号
あの、東日本大震災などと同じ、激甚災害に指定されることになったそうですね。


当院の目の前を流れる、玉川上水も属している 多摩川も、下流の田園調布や二子玉川エリアで広く氾濫しました。
上流の奥多摩湖小河内ダムが決壊すれば、もっとずっとずっとずっと大きな被害が出た ということは理解できていても、それでも 緊急放水による被害があまりに大きく…
もっとどうにかなったんじゃないか、もっと準備をしておけたのでは、そうすれば緊急放水自体を防げたのでは、と、悔しい気持ちでいっぱいです。

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あの日、この白いフェンスのすぐ下まで水がきたようです


こういった水害のあと、実は恐ろしいのが 感染症
後片付けなどの最中に釘などを踏んでしまい、傷から感染する 破傷風はもちろん、特に恐ろしいのが レプトスピラという病気です。
当院ブログでも、何度か取り上げたことがありますね。

 

天災と伝染病① レプトスピラ症って、なんですか? - はい、栗本動物病院です。

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型にこだわる - はい、栗本動物病院です。

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ワクチン、それは秋 - はい、栗本動物病院です。

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ネズミなどの野生のどうぶつの糞尿が混じっている可能性のある水。

それはつまり、井戸水や湧き水、川の水に近い衛生状態の生水。
レプトスピラの病原体は、こういった水を介して広まっていきます。


水害があると、こういった水に触れる機会が高くなります。


この病気は、ワクチンがありますが、予防できる型は 限られます。
副作用のリスクとふだんの生活パターンでの感染リスクを天びんにかけ、打たない という選択肢をとっている子も 実は多いんですね。


そんなわけで、とてもリスクが高いのが この時期の散歩。
水が引いたからと、うっかり河川敷を歩いたりすると…
レプトスピラに感染してしまうかもしれません。


わたしたち人間でも、感染し発病すると、死んでしまうこともあるレプトスピラ
海外では、過去に、冠水後に大流行し、90人近くの方が亡くなったという報告もあります。
はじめは熱風邪のような症状から、どんどん悪化し、重症になるとエボラ出血熱のような症状をがあらわれる場合もあるとか。
犬たちも、感染し発病するとあっという間に弱り、数日のうちに死んでしまうこともある、とても恐ろしい病気です。


当分、お散歩に行くときは、水の来なかったところを選んで連れて行ってくださいね。


今からでも、ワクチンを打ちたい…!という、あなたのために。
当院で予防接種を受けていただけます。


あなたのご来院、お待ちしています。

ペットの抗体価検査、当院で受けられます

また大型台風が迫っているようです。

今回のは、5段階中6 とか、地球始まって以来のスーパー台風とか、とんでもない前評判が聞こえてきていますが、
みなさん、備えは万全でしょうか?

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こんな穏やかな日が早くきてほしい


1号のうんとうんと若いころ。
人生において、大きな失敗をしたことがあります。
獣医師として とかではなく、人としての 大失敗でした。
そのとき、院長と、当院の至宝・トリマーのU姐さんがそれぞれ1号に言ってくれたことがあります。
「失敗してそのまま放置すれば失敗のまま。でも、そこから学び取って次に活かせば、それは失敗から経験に変わる」
言い方はそれぞれでしたが、込められた気持ち、1号に伝えようとしていたことは二人とも同じでした。
論語にも、「過ちて改めざる、是を過ちという」とありますね。


被災は過ちではありませんが、学び取って次に活かすことができるという点では、考え方は同じだと思うのです。
19号の予想最大風速は、土曜の時点でも 45mなのだとか。
これは、風に吹き飛ばされた 子ども用傘が、家のガラス窓を突き破るレベルの猛烈さだそうです。
外にあるものは、とにかく室内へ取り込んでおきましょう。
そして、万一のため 浴槽に水をためておくことと、ノートパソコンやモバイルバッテリーに 充電をしておくことをお勧めします。


さて。
そんな 今日このごろ、ときどき受けるお問い合わせがあります。
「今度の春の異動で、海外転勤になりそうです」
ブログなどをご覧になり、1号が海外へ犬たちを連れていき、連れて帰ってきたことをご存じの方が、このようにしてお問い合わせをしてくださるのです。
渡航前に、血液検査をしないといけないようなのですが、先生のところではやってもらえますか?」


結論から申し上げましょう。
当院で受けていただけます。


血液検査は、当院で採血をし、検査会社へ送ります。
当院で検査を行うわけではありませんので、今日血を取って すぐ明日結果をお渡しする、ということはできません。
曜日によりますが、概ね1週間から10日くらいはかかります。


その他、狂犬病のワクチンや、マイクロチップなど、他の処置が必要な場合もあります。
行き先の国によっては、抗体価検査のほかに、駆虫やまた違った検査も必要な場合もあるようですから、まずは一度ご連絡を。


手続きなど、代行している業者さんもいますが、代行料がすごく高額だったり、相手の国への入国はサポートしてくれても、日本での処置まではサポートしてくれなかったり。
逆に、日本での手続きが終わったら、検疫所の前でハイさようなら、とか、検査時間など 問い合わせればすぐにわかることを、平気で嘘をつくような、とんでもない業者さんもいるようですよ。
インターネットで経験談などを検索すると、いろいろな話が見られます。


でもね。
1号の個人的な経験ですが、輸出入や動物についての知識がそこまでなくても、飼い主さんでもじゅうぶん手続きはできるように感じました。
基本的に、行き先の国の条件を行き先の国に確認し、求められる処置を行って、その処置を証明する書類を準備すればよいだけです。
並行して、日本の動物検疫所に輸出検査の申し込みをし、出発日当日かその前日までに 検査を受ければよく、申し込みのときに足りない書類があれば 動物検疫所から 案内がきます。
輸出検査の申し込みは、動物検疫所のホームページに載っている書類を書いて写メをすればいいだけ。
とても簡単なんですね。


抗体価検査をはじめ、当院で可能な処置はサポートしますので、まずは インターネットで条件を調べるところからやってみましょう。
案外いけるかも?と、お感じになると思いますよ。


海外転勤をする場合、だいたい 転勤する本人はテンションが上がってカーッとのぼせています。
行った先であれもしよう、これもやってやろうと張り切るんですね。
でも、家族として帯同される方は 比較的冷静。
冷静な分、準備や後始末に追われます。
こういったときに、へんな業者に騙されたり 嫌な思いをすると、渡航後にも 引きずってしまいがち。
日本での最後の記憶が こういった記憶になってしまうわけですから。
1号が某国で会った人たちも、皆渡航前のいろんな思い出を 昨日のことのように語ってくれました。


それに、自分で条件を調べたり、準備をすることで、現地で何かあっても すぐに対応ができます。
その意味からも、どうしても時間がない!とか、どうしても空港までの足がない!といった場合をのぞき、できる限り 自分で準備をすることをおすすめします。
そして、必要な処置は ぜひ当院にご相談ください。


海外に住むチャンスというのは、誰にでも訪れるものではありません。
多少の無理 くらいでどうにか状況が許すのであれば、ぜひ 着いて行ってみてください。
帰ってくるのはいつでもできますから、まずは 行ってみることをおすすめします。
そのとき、どうぶつを連れていけば、現地でものすごく心の支えになってくれます。
どうぶつをきっかけに友達ができることもありますし、友達とまではいかなくとも 現地の人との会話のきっかけにはなったりします。
海外転勤、どうぶつの輸出入、怖いですが、どきどきしますが、でも、行ってよかった!やってよかった!と思えますよ。
経験者である 1号が保証します。


そのために必要な処置は、当院で。
あなたのご来院、お待ちしています。

皮下点滴には何が入っているのか

日に日に、夜明けが遅くなってきていますね。
毎朝綺麗な朝焼けを見られてうれしい1号です。

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羽田空港の夕焼け


夜明けが遅くなり、冬が近づくと、着実に増えるのが皮下点滴。
それは、腎不全 という病気に関係しています。

 


腎不全は、腎臓の機能が落ちる病気です。
腎臓の機能というのは、体内の老廃物を濾しとり、少しの水に溶かして身体の外へ排泄する という機能。
言い換えれば、おしっこの濃さを調節するのが 腎臓なんですね。


これがうまくいかなくなるのが、腎不全という状態です。


ですから、腎不全になると、おしっこの濃度が下がります。
言い換えると、薄いおしっこをたくさんするようになるということ。


するとどうなるか。
おしっこでどんどん出て行ってしまうから、身体は水不足の状態になります。


つまり、脱水になってしまうんですね。


脱水予防、
言い換えると 脱水による 身体へのダメージを減らすため、
わたしたちは 皮下点滴 というケアを提案することがあります。


これは、体液と近い組成の水を滅菌したものを、身体の状態に応じた量 背中に入れてあげるというもの。
入れたてのときは、ラクダのこぶのような見た目になります。


皮膚の伸びるねこさんですので、痛みはほとんどなく、何度か経験していれば気にすることもほとんどありません。
体格にもよりますが、当院の患者さまは一度に250mlを入れて、中1日か2日くらいで通うか、お家で処置をしていただくか。
ねこさん本人の協力が得られれば、かもいやハンガーなどに引っかけて一人でもできます。
難しいものではないので、お家で自分でされている方も多いですよ。


そして、本題。
あれには何が入っているのか。


当院では、水分+体液に近い組成にするために必要最低限のミネラル分だけ というときと、ビタミン剤などを足している場合があります。


まず、ベースとなる水分を、皮下点滴でケアをしたい病気の症状、その子の体質などに応じて、ミネラルの割合や成分などの違う何種類かから選びます。


次に、ビタミン剤を入れるかどうかを考えます。
石のできやすい子など、体質によって使えないことがありますし、
肝臓も弱っている場合など、量に加減が必要な場合もあるので、慎重に決めています。
使える場合には、マルチビタミンなどを使い、身体への負担を抑えつつ、できるだけ多くの栄養を入れるようにしています。


最後に、強肝剤や薬などをオプションで加える必要があれば、加えたりもするのですが、
脱水が起きるくらい 腎臓が弱ってきているときには、使ったほうが却って体調を崩してしまうこともあるので。
加えるかどうかは、ビタミン剤よりもさらに慎重に決めています。

 


皮下点滴 と一言で言っても、中身は病状によって違います。
水分だけの ごくシンプルな処方にして 負担を最小限に抑えて状態の改善を目指すときもあれば、少し身体へ負担をかけてでも いろいろな栄養を加えて大きな改善を目指すときもあります。
これ、何が入っているのかな?と思ったら、ぜひ 聞いてみてくださいね。


あなたのご来院、お待ちしています。

international safe abortion dayによせて。避妊・去勢手術のすすめ

ラグビーワールドカップ、盛り上がり続けていますね!
奇跡の再来、1号は電車の中で知りました。
興奮を抑えきれず、試合終了とともにガッツポーズをしながら立ち上がった大柄なスーツ姿の男性が 同じ車両に2名いたのです。
ホーム戦はやはりサポーターの力が大きいですよね。
このまま、いいところまで行ってほしいな!と思います。

 

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アイルランドといえば、のシャムロック。


そんな今日。
9月28日は、international safe abortion dayです。
https://safeabortion.jp/
安全な中絶・流産を考える という日です。
中絶と流産って、まったく違うようですが、お母さんの身体から赤ちゃんを出すという点では 医学的に同じ。
だから、その安全な方法について、考えよう という日です。


中絶、流産は、何も人間に限りません。
外へ散歩に出ていた飼い猫、帰ってきたらどうも妊娠しているようだから、中絶を…と連れて来られたり。
家で飼っている犬、どうも親子とか兄弟で近親交配してしまったようだから、中絶を…と連れて来られたり。
診察にいらした方に、話の流れで こういうこともあるんですよ、とお伝えすることがあります。

想像もつかない!とおっしゃる方も多いのですが、案外多いんです。


こういったことを予防でき、また、一部の病気を予防できる方法。
それが、避妊・去勢の手術です。
病気になる前、健康なうちに行うことで、手術のリスクは最小限になります。


そうは言っても手術だし。
麻酔が怖い。
いろいろな心配もわかります。
でもね。
手術による医療事故って、確率としてはとてもとても低いんです。


どうぶつよりもずっと母体数の大きな人間で、2017年に全国で報告されている医療事故の合計は370件。
2016年は406件でした。
このうち、お産を含む手術が原因の事故は、それぞれ2017年は117件、2016年は224件。
つまり、手術による医療事故は、お産を含めてもすべての医療事故の半分にも満たない数なんです。
そして、ここでいう手術は、ケガや病気、お産といった、基本的に健康でない状態で行う手術も含めています。
つまり、事故が起きた中には、もともと事故の起こるリスクが、避妊・去勢の手術よりも高い状況での手術も多く含まれているということなんです。


手術による医療事故はとても悲しいこと。
絶対にあってはならないことです。
当院では、幸運なことに、開業してから今までに30年以上、たくさんの手術を行ってきましたが、一度も事故が起きたことはありません。
それは、毎回毎回細心の注意を払って手術を行うことと、麻酔の専従者が麻酔管理に専念するというごく基本的なことによって成り立っていると思っています。
今までも、これからも、このごくごく基本的なことをずっと続けていきます。
わたしたちは、当院を選んでくれた方に、悲しい思いをさせたくありませんからね。


このように、手術による事故自体の数の少なさ、そして 当院では30年以上、毎年たくさんの手術を行ってきましたが、今までに事故が起きたことは一度もないという実績。
事故の起こるリスクは、非常に少ないということが伝わりましたでしょうか。


その一方、避妊・去勢をしないことによるリスク。
これはどれくらいあるのか。


結論から言うと、100%病気になると言われています。
先生によっては、どうぶつは避妊・去勢をしないことによって100%かかる病気で死ぬ。そうならなかったとしたら、その前に寿命が来たからだ、とすら。


リスクの低い手術事故を恐れて、そのままでいれば100%病気になる避妊・去勢をしないことが、どれだけ危険なことか、伝わりましたでしょうか。


確率がどれだけ低くても、事故に遭ってしまったら悲しみは同じ。
それも、よくわかります。
だから、当院では、今までも これからも 事故の可能性を最低限にする 基本的なことをずっと続けていきます。
他院さんから 難しい手術を紹介されるのは、それだけの実績と信頼の 証でもあるんですよ。


あなたのご来院、お待ちしています。

 

 


 

ラグビー選手に多いケガ。実は、犬にも多いんです!

今日はラグビーワールドカップですね!

電車の中でも、各国のユニフォームに身を包んだサポーターをたくさん見ました。

やはり元ラガーマン、現役ラガーマンが多いようで、大柄な方が多かったです。

でも、さすがスポーツマンでみなさん紳士。

子どもやお年寄り、妊婦さんに席を譲ったり、荷物を運ぶのを手伝ったりと、心が温かくなる場面をいつもよりも多く見かけました。

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心温まる、ふるさとの光景です


そんなスポーツマンのみなさんが激しくぶつかり合うのが、ラグビーというスポーツ。

防具をしているとはいえ、避けられないのがケガですね。

その中でも、タックルやスクラムを組むラグビー選手に、特に多いケガといえば。

靭帯のケガです。

競技中、足首やヒザなどがありえない角度で曲がるのを見ると、あーーーー…という声が出てしまう方も多いと思います。

 


実は、このケガ、わんちゃんにも多いんです。

ラガーマンは足首のケガが多いですが、わんちゃんに多いのは膝。

前十字靭帯を傷めてしまうことがとても多いんです。

 


前十字靭帯は、他にもサッカーや相撲、バスケットボールなどでも傷めることが多い場所です。

犬では、フリスビーや障害などのアジリティをやる子やドッグランなどで激しく遊ぶ若い子に多いケガ。

これらに共通するのは、素早く・かつ勢いよく、向きを変える という動きがあることです。

 


こういった動きをすると、なぜ前十字靭帯を傷めやすいのか。

それは、前十字靭帯は、太ももとすねをつないでいる靭帯だからです。

 


太ももとすねは、膝で繋がっていますね。

太ももには大腿骨、すねは脛骨と腓骨という骨があります。

それぞれ、向かい合う面には溝があり、その溝の中を膝蓋骨…いわゆる、ひざのお皿が滑車のように動くことで、膝関節を曲げることができます。

この溝のある面同士がきちんと向かい合うよう、骨どうしを繋げているのが十字靭帯。

膝の前面にあるのが「前十字靭帯」です。

靭帯は、大腿骨の右側と脛骨の左側、大腿骨の左側と脛骨の右側というように、クロスするように骨どうしを繋いでいます。

だから「十字」というのですね。

 


ここの靭帯に大きな力が加わると、靭帯が伸びたり、切れたりします。

伸びてしまうと、溝と溝との間隔が広がってしまうので、滑車=膝蓋骨が外れてしまったり。

それよりも大きな力が加われば、切れてしまうこともあるんです。

これが、前十字靭帯断裂という状態です。

 


この靭帯が切れているということは、太ももとすねが繋がっていない状態。

切れてしまうとものすごい痛みで、歩くどころではないそうですが、物理的にも歩ける状態ではなくなります。

 


これを治すためには、手術や体重コントロール、リハビリなどが必要になります。

スポーツ選手のように、競技が出来なければ生活もできなくなってしまうことのない犬の場合、ケガの状況などにもよりますが、当院では、手術は最後の手段。

関節の中をいじる手術は、感染のリスクがとても高く危険ということ。

手術後はしばらく歩けなくなり、犬自身はもちろん、飼い主さまの生活がとても大変になってしまうこと。

手術後のリハビリはかなり難しいこと。

こういった理由から、手術をするのは、どのリスクよりもメリットが大きい場合に限って行なっています。

 


それでも、当院は近隣の他院さんから紹介を受けて執刀することもあり、手術の件数は多いほうです。

走っていて、キャンッ!という悲鳴とともに、足を上げて地面につかなくなったら、前十字靭帯を傷めた可能性があります。

痛み止めなどのお薬をできるだけ使わない治療をご希望の方から、積極的に手術をご希望の方まで。

ぜひ一度、当院にご相談ください。

 


あなたのご来院、お待ちしております。

他人事ではありません。同行避難への備えは今すぐに!

ひどい台風でした。
怖い思いをした方、今困っている方が早く元の生活に戻れますように。

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今回の台風、いちばん困っているのは やはり停電ではないでしょうか。
中でも被害のひどかった千葉では、未だに電気の来ないところもあるようですね。
電気がないということは、エアコンも冷蔵庫も 扇風機さえ使えないということ。
1号も、いろいろあってこの夏、お盆くらいまでエアコン無しでの生活でした。
エアコン無しで夏を乗り越えるのは、ほんとうにほんとうにしんどいですよね。
台風通過後、恨めしいくらいの晴天に夏日が続いていますから。
可能な方は、ぜひ 避難、避暑をしていただきたいなと思います。


そんなとき、やはり気になるのは 受け入れ先ですね。
当院が公式情報として見つけられたのは、稲毛記念館のみ。


熊本地震や三宅島の噴火の時などには、地域の獣医師会でも 避難所が整備されたこともありました。
この後、受け入れ先が増える可能性もあります。
なお、基本的に、避難は同行避難といって、飼い主さんと同じ施設に避難することになりますが、一緒にいられるとは限らないようです。
詳しい情報は直接確認してみてください。


他にも、受け入れができない避難所しかない地域の方のため、預かりを行っている個人や団体もあるようです。
料金や体系などを確認した上で、落ち着くまで こういったところに預かりをお願いするのも 方法かもしれませんね。


こういった、同行避難のときに、欠かせないのが ペットシーツとクレート(ケージ)、それに いつものフードです。
それから、少しでもリラックスできるよう、お気に入りのオモチャやいつものベッド、よく食べるオヤツも…とやっていると、たいへんな荷物になってしまいます。
最低限の3点セットを持って 早めに避難をしてください。


千葉県は、首都圏であり大きな空港も近いのに、広い土地が確保しやすいため、競馬学校もありますし、豚や牛の畜産農家も多く、犬や猫のブリーダーさんも多い地域です。
動物が身近にたくさんいる地域なのですね。
こういった災害のとき、人間はもちろん こうした動物たちも、身の安全を確保できるように、いま実際に被災され困っている方へは 支援を。
そして 被災していない私たちは、いつか自分たちが被災してしまった場合に備え 準備を。
どちらか一つだけではなくて、どちらも 行なっていきたいですね。


まずは、ペットシーツと フードの小袋を非常用持ち出し袋に 入れるところから。
当院では、小袋の処方食も、取り扱いがありますよ。

 

あなたのご来院、お待ちしています。

車酔い?いいお薬、あります

来週、久しぶりに飛行機に乗るので、ちょっとワクワクしている1号です。
国内線 ですけどね。

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いつかはハワイ…!


実は、けっこう車酔い体質の1号。
車なら、助手席に座らせてもらうことで 回避できるのですが、飛行機となると そうはいきません。
ミントの飴をなめるとか、ひたすら歯磨きするとか、梅干しの種をおヘソに貼るとか、さまざまなことを試してみましたが、結局 いちばん効くのは、酔い止めを飲むか寝てしまうかだな…と悟りました。


どうぶつたちも、実は 車酔い体質の子がけっこういます。
そもそも、どうぶつたちは、自力での移動に特化した身体のつくり。
何かに乗せられ、移動するということには不向きです。
特に、車の場合、空気がこもりやすいもの。
電車や自転車に乗せられるのとは、わけが違います。


この秋は、3連休が2回もあります。
増税前、長距離旅行のチャンス!と、楽しい計画にワクワクしている方も多いのでは。
最近では、ペットも泊まれるホテルやコテージ、ペンションも増えてきましたからね。
そんなとき、移動中に車酔いしてしまうと、かなりかわいそうなことに…
どうぶつの場合、ヨダレがダラダラと出てしまい、最後に吐く というパターンが多いので。
自分自身はもちろん、ケージもかなり汚れてしまい、この先どうしたら…と 途方に暮れることも。
当院でも、通院のため 車に乗せたら、緊張して酔ってしまい、到着したらヨダレがダラダラ…という子 ときどき見かけます。
体調や状況にもよりますが、そのまま お預かりしてシャンプーになることも。
ついでに、ケージも洗って干しておく…なんてことも あったりします。


こういったことを避けるため、当院がお勧めしているのが、酔い止めの飲み薬。
眠くなりやすいタイプと、なりにくいタイプがあります。


眠くなりやすいほうは、公共交通機関を使う方や、はしゃぎすぎたり 怯えすぎたりしてしまう子によく使います。
当院でお出しするのは、アレルギーの治療に使うこともあるお薬。
皮膚の調子の悪い子にもお勧めです。
秋花粉の時期でもあり、行き先でかゆーい!!となるのを避ける目的でも、お勧めできます。


眠くなりにくいほうは、効き目の強さがいろいろ選べますが、当院では 一般的な強さのものをお勧めしています。
抗がん剤を使うときにいっしょに使うくらいの強力な吐き気止め というものもありますが、車酔いにそこまでしなくても…という考え方です。
そのクラスになると、かなり高いですし、車酔いの吐き気くらいなら、そこまでのものを使わなくても 充分効くものがありますから。


人間でもそうですが、こういった薬には 相性があります。
かなり、あります。
ですので、お薬飲んだから大丈夫!と、いきなり 東京から山口県下関まで!(約1000km)とか、東京から岩手県中尊寺まで!(約450km)とか、むちゃくちゃなことは あまりお勧めしません。
まずは、東京から栃木県日光までとか、東京から静岡県伊豆まで(どちらも約150km)くらいから 試してみていただくことをお勧めします。

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箱根(約90km)も、いいですよー


車酔いは辛いですよね。
そして、酔わない人はまったく平気なので、わかってもらえず 辛い思いをするときもあります。
誰かに効いたことが 自分には効かずに、辛いこともありますね。
車酔いのせいで、旅行へ連れていけないのも、連れていって楽しめないのも辛いので。
対策をして、楽しくでかけましょう。


普段から通院していただいている子で、体重がわかっていれば、本人は来院しなくても お薬をお渡しすることもできます。
お仕事帰りに お気軽にお立ち寄りください。
あなたの来院、お待ちしています。