はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

天災と伝染病① レプトスピラ症って、なんですか?

リンゴ台風以来の、「非常に強い」まま 上陸した台風でした。
関東は電車のダイヤ乱れくらいで済みましたが、
関西以西の被害は…
西日本豪雨といい、辛い毎日が続きます。
1号の友人が関空で働いていて、一時は連絡も取れなくなってとても心配しました。
もう、こんな被害が出ませんように。


こうした天災の後に、片付けが本格的に始まると、心配になるのが 病気のまん延です。
菌やウイルスはもちろん、時期的に 虫もたくさん出ますから、そういう意味でもとても心配です。
中でも、今回のように 大雨や洪水の被害があると、心配になるのが レプトスピラ症 という病気です。


レプトスピラ症は、らせん菌 という菌の一種が原因でかかる病気。
ネズミの腎臓などに住み着いている菌で、おしっこに混じって身体の外へ出てきます。
菌の混じった水や土に触ったり、あやまって飲んでしまったりすると うつってしまう病気で、わたしたち人間も どうぶつたちもかかる病気です。
上下水道が整備された日本では、かなり少なくなってきたとはいえ、自然の中で水辺のレジャーをする人にとっては、比較的身近な病気です。


そんな レプトスピラ症。
汚れた水や土を介して広がっていく という特徴があり、皮膚からもうつる病気。
ということは、実際に洪水が起きている間はもちろん、後片付けのときにも、油断はできません。
作業をするときには、必ず手袋を着け、マスクをし、できれば眼鏡も。
実際、過去の大雨災害や台風の後には、レプトスピラ症が流行してしまうこともありました。
油断は禁物です。


レプトスピラ症の症状は、いわゆる 風邪 のような症状といわれています。
そのまま気づかずに治ってしまう、軽症で済むこともあるかもしれません。
が、おそろしいのは それで済まなかった場合です。
肝臓がやられて 黄疸が出たり、腎臓がやられてしまう場合があるんです。
こうなってしまうと、命を脅かされることもあります。
日本よりも大雨や洪水の多い東南アジアなどでは、災害の後にレプトスピラ症が大流行し 亡くなる方も多くいるとか。


こんな おそろしいレプトスピラ症、人間では、あまり一般的ではないようですが、どうぶつたちには ワクチンがあります。
今のところ、日本では 猫さん用のものはなく、わんちゃん用のもののみが出回っています。
レプトスピラ症のワクチンには、複数のタイプがありますが、当院でおすすめしているのは、特に危険な2タイプを予防できるもの。
当院では、いつでも在庫を切らさないようにしていますから、水辺のレジャーに行く子はもちろん、川の近くにお住まいの方も、お気軽にお申し付けください。


あなたのご来院、お待ちしています。

獣医が教える、おうちシャンプーのコツ

お盆過ぎ、街に喧騒が戻ってきました。
通勤電車も、また満員に…
お休みでリフレッシュできた うらやましいあなたも、1号と同じく 休みなど幻想!と 駆け抜けたあなたも。
お疲れ様です。
平成最後の夏、引き続き、頑張っていきましょう。


お盆を過ぎると、暑い中にも 心なしか秋を感じることが増えてきます。
空の高さや青さ、風の温度…
秋の花粉症が始まる という方も、いらっしゃるかもしれませんね。


実は、どうぶつたちは、春よりも 秋の花粉症のほうが多い といわれています。
これは、秋の花粉症の原因となる植物は、春のものよりも 背の低い草のような形の植物が多いからなんです。


わたしたちは 目や鼻に症状の出ることが多い花粉症。
どうぶつたちは、皮膚に出ることが多いといわれています。
ですから、皮膚により花粉が付いてしまいやすい、草の形をした 植物の花粉に反応しやすいんですね。


花粉の季節には、目玉を取り出してゴシゴシ洗いたいとか、鼻の穴にホースを入れてジャブジャブ洗い流したい…なんて 思うことも多いもの。
目や鼻の場合には、実際にそうすることは難しいわけですが、皮膚なら話は違います。
シャンプーで洗い流してあげることができますからね。


今くらいの時期から、妙に体を痒がって噛んだり、引っ掻いたりするなあ?と思ったら。
もしかしたら、花粉症かもしれません。
水で洗い流すだけでも だいぶ違いますが、どうぶつたちの毛は 案外脂ぎっているもの。
症状に合わせ、適切なシャンプーで洗えば、花粉症の苦しみを かなり軽くしてあげられるんですよ。


人間用シャンプーでも、石鹸やボディソープでも、正しい量で洗い、きちんとすすげるならば 問題ないことも多いのですが。
どうぶつ専用品でないものは、どうぶつたちに合わない香料が入っていたり、適量の見極めが難しかったり、きちんとすすぎができていなかったりと、リスクもたくさんあります。
特に、既に症状の出ている子は、うまく洗えないともっと症状が悪化してしまうかも。
当院では、薬用シャンプーだけ お渡しすることもできますから、ぜひお仕事帰りに サクッとご来院ください。


おうちシャンプーをする場合、何よりも気をつけていただきたいのは すすぎがとにかく大事!ということ。
すすぎが足りないせいで、皮膚に残ってしまったシャンプーが 肌荒れの原因になってしまうことがとても多いんです。
すすぎは 毛の短い子でも5分。
長い子は、10分くらいかけてもいいです。
そのとき、体感でそろそろかな?とやると、ついつい短くなってしまいがちですから、必ずタイマーを使ってくださいね。
すすぎのときに、トリマーさんに教わったコツをひとつ。
すすぐときはシャワーヘッドを肌に直接当てましょう。
そうすると、シャワーの水圧で毛がかき分けられるので、より効率よく すすぐことができます。
シャワーヘッドをまず背骨に沿って 頭からお尻まで撫で、次にアルファベットのTを書くように、背骨からお腹に向かって撫でていきます。
全身くまなく シャワーヘッドで撫でていきましょう。
丁寧にやれば、5分はあっという間です。


秋花粉、こじらせると 飲み薬が必要になりますが、こじれる前なら シャンプーでも充分症状を抑えてあげられます。
掻いたり 噛んだり しているようなら、ぜひ一度 薬用シャンプーで洗ってみてください。
そのときは、できれば 症状に合わせて動物病院で選んでもらってくださいね。


あなたのご来院、お待ちしています。

スポーツドリンクはペットにもいいの?水中毒にご用心

つい 先日のこと。
某イベントのお手伝いで、着ぐるみに入って キャラになりきってきました。
身長の低い1号、あなたが入ると着ぐるみが一段と可愛くみえる!と、お墨付きをいただいてきましたよ。


それにしても、着ぐるみの中というのは暑いです。
中の人 になるにあたって、経験者のブログなどを読みあさって覚悟はしていましたが、だいたいその5倍は暑いように感じました。
たまーに、なら、サウナのごとく汗をかくので、むちゃくちゃデトックスできて悪くはないですが、しょっちゅうとなると…
1号は やはり着ぐるみよりも 本物の犬のほうが好きだな と思いました。


そんな、暑い暑い着ぐるみ。
何よりも大切なのは、やはり水分補給だそうで、1号もかなり飲みました。
スポーツドリンク。
汗をかく という表現では足らないくらい、汗をかきますのでね。
経験者の人たちが 「もういいかな、と思ってからあとひと口の「追いスポドリ」が大事!」と言う意味が よくわかりました。


そうやって、水分をガンガン摂取していると、ふと 頭をよぎるのは、水中毒 という言葉。
これは、汗をかいて体から 水分といっしょにミネラルやイオンが出て行っているのに 水だけを飲み続けると、ミネラルバランス、イオンバランスが崩れるので 体調を崩してしまう…というものです。


ミネラルやイオンというのは、細胞のかたちを保つためにとても大切なはたらきをしていますから、このバランスが崩れるということは、細胞のかたちがおかしくなってしまうわけです。
細胞は、レゴやブロックにたとえられることが多いのですが、レゴやブロック(細胞)のかたちが変わってしまうと、お城や飛行機(体や臓器)のかたちが保てなくなったり、機能が果たせなくなったりします。
いわゆる 多臓器不全 という状態になりますから、すぐに死につながる おそろしい事態なのですね。


少し前までは、あまり話題にはなっていませんでしたが、最近はよくテレビやネットニュースなんかで 取り上げられるようになってきました。
やはり、熱中症を避けようとするあまり、水をがぶ飲みして 水中毒になってしまう人が多いのですね。


テレビなどでは、水よりもスポーツドリンクを!とか、塩飴、梅干しなどもいっしょに取って、と 伝えています。
では、どうぶつたちはどうでしょう。
お散歩中、のどが乾いただろうからと水を飲ませると…あれ、いつもより長く飲んでいるんじゃない?こんなに一気に飲んで、大丈夫?
なんて、心配になったりしませんか。


わんちゃんやねこさんは、汗をかきません。
ですから、わたしたちのように 汗といっしょにミネラルやイオンが一気に出て行く ということはないんです。
言い換えれば、人間よりは 水中毒になってしまうリスクは低いんですね。
とはいえ、あまりにも一気に水を飲むと、やはりミネラルバランス、イオンバランスは崩れてしまいます。
それに、「こんなに一気に飲むと、水中毒になってしまうかも…まだ飲みたいけど止めておこう」と セルフコントロールすることができないので、暑い日や、走ったりなどして いつもより喉のかわいたときに、ついつい一気に水を飲み過ぎてしまう可能性もあります。


いちばん手軽な対策は、やはり ただの水ではなくて、ミネラルやイオンが含まれたものを飲ませること。
わたしたちがふだん飲んでいるスポーツドリンクは、どうぶつたちには濃すぎるので、水で薄めてあげるのがいちばんおすすめです。
そのときには、レモン味などのついていない、できるだけプレーンなものを、少なくとも、倍以上には 薄めてあげてくださいね。
1号家のシェパードには、ポ●リや●クエリアスをあげていました。
それと、糖尿病や 尿結石、腎臓、肝臓、心臓などに病気のある子は、かかりつけの先生に相談してから。
こういった病気のある子は、病気のせいですでに バランスが変わっていることが多く、薬や食餌で調節していることも多いんです。
そこへ、スポーツドリンクやイオン飲料などを飲ませてしまうと、またバランスが変わってきてしまいます。
飲ませてしまうと、病状が安定しなくなってしまう可能性がありますので、必ず先生に相談してくださいね。
尿結石の子は特に、ミネラルが芯になって 石が大きく、詰まりやすくなってしまったりしますから、注意が必要です。


こうやって気をつけていても、もし、水中毒や、熱中症かも!?と思うことがあったら。
それは、緊急事態ですから、ためらわず 近くの動物病院に駆け込んでください。
車で30分かけていつもの病院へ…ではなく、走って5分で着く 最寄りの病院へ。
こういった緊急時には、どこの病院へかかるか?より、いつ病院へかかったか?が、結果に直結しますからね。


暑い暑い夏。
それでも、一昨日の7日には 立秋を迎えており、季節はたしかに 秋、そして冬へと向かって進んでいます。
小さな工夫で、少しでも快適に、過ごしやすくしたいですね。
あなたのご来院、お待ちしています。

診る を考える。相模原事件によせて

戦後最悪といわれた、相模原障害者施設殺傷事件から、1年が経ちました。
節目ということで、様々に特番が組まれたり、改めていろいろなことを考えた方も多かったのではないでしょうか。


犯行の当初から、犯人は「私の考える『意思疎通がとれる』とは、正確に自己紹介をすることができる人間」と定義した上で、意思疎通がとれないと犯人が勝手にみなした人に対して「生きる価値なし」と身勝手に決め付け、殺害を実行に移しています。
犯人自身が属する側=大多数と、意思疎通ができないとみなした命に対して、「価値はない」だから「奪ってもよい」と主張しているわけです。
でもね。
彼は日本語では「正確に」自己紹介できるかもしれませんが、他の言語ではどうでしょう。
文科省の発表している 世界の母語人口で上位にランキングされている 中国語、英語、スペイン語で自己紹介されたとして、「正確に」言われていることがわかるのでしょうか。
言葉が通じないことを、意思疎通がとれないとみなすのならば、そして 意思疎通がとれない命を奪ってもよいとするのならば、日本語しか話せない人は 英語話者や中国語話者から いつ殺されても文句は言えないということになりはしませんか。
他にも、障害があるとはいわれていない子どもたちだって、年齢によっては 正確に自己紹介できません。
将来できるようになる ということならば、いま意思疎通がとれず「障害者」と定義されている人たちだって、現代医学の限界上そうなっているというだけのこと。
たとえば数年後、医学が飛躍的に進んだ結果、現時点で思いもつかないような方法で意思疎通がとれるようになる可能性だって、ゼロではありませんから、現時点でできなくても、将来できるようになるかもしれない という点においては子どもたちと同じです。
そもそも、正確に自己紹介するって何?ということからして曖昧なんですから、定義が定義になっていませんね。
出発点からしておかしいわけです。


犯人の主張に、1号は人として絶対に 同意はしません。
が、言わんとすることを理解することはできます。できるつもりです。
理解した上で、視野が狭すぎる、話を一般化しすぎだ と指摘したいのです。
もっと多様さを許容できなければ、待っているのは全滅か、独裁か…
いずれにせよ、「世界が平和に」なる未来は 期待できません。

 


翻って、当院で働く わたしたち獣医師の職務。
それは、どうぶつを診ることです。
ここまで読んでいただいた方なら、曲解される方はいないと信じていますが、診る相手とは 言語による意思疎通はできないわけです。


ではどうしているのか?というと、わたしたちは全身を診て 診察をしています。
たとえば、 「足のつま先に切り傷が」と言って来院した子でも、全身を診るんですね。
目が見えにくくないかな?頭や腰に病気があってふらついてしまったのかも?体が痒くて足元に集中していなかったんじゃない?
言葉で痛みや辛さを表してくれない相手だから、読み取るためによりいっそうの努力をするんです。


傷を治療するのは 当たり前。
でも、それだけではだめなんです。
なんで傷ができたのか?
目の前の傷や、いま悩まされている症状はもちろん、その原因になっている病気がないか。
あるとしたら、どうしたら治せるか、治せない病気でも、より良い状態にしたり 進行を食い止めてあげられるか。
当院の目指す治療は、そういったものなんです。


言葉による意思疎通は、簡単でわかりやすいかもしれません。
でも、それがすべてであるはずがない。
言葉で意思疎通できなくても、もしかしたら言葉よりずっと雄弁に、そして深く。
意思疎通する方法はあります。あると信じています。
そのために欠かせないのが、目の前の一匹を 真剣に診る姿勢。
何千、何万を相手にする 公務員や企業とは違い、わたしたち臨床獣医師の手が届くのは、きっと一生頑張り続けても 千にも満たない数でしょう。
それでも、それだからこそ、目の前の一匹に 全身で向かい合っています。
言葉では聞こえない、もしかしたらまだ起こっていない、「助けて」「痛い」「しんどい」を聞くために。

 


夏休み、当院で 実習をしたい、見学させてほしいというご連絡をいただくことが増えてきました。
当院では、いっしょに働く獣医師の募集を行っています。
こんな熱い思いで診察にあたっている わたしたちにも負けないくらいに熱いあなたと、いっしょに仕事がしたいです。
われこそは!というあなたは、ぜひ、042-323-4567まで、お電話ください。
お待ちしています。


事件で失われた命と、傷ついたすべての人に、安らぎが訪れますように。
 

熱中症になったら水風呂で治る、は大間違い!

暑い。
暑すぎます。
子どもの保育園は、この時期毎日プールという名目での 水遊びをしてくださるのですが、見守りの先生方が心配です。


そんな 今日このごろ。
「先生、犬が熱中症になったら、とりあえず水風呂に入れてやったら治るんでしょ?」
テレビから聞こえてきた声に、思わず顔を上げました。
聞かれた「先生」は、なんと答えたのか…
と思っているうちに、画面が切り替わり、スタジオのキャスターが大写しになり、話題は高校野球へと。
どうも、被災された方の避難所での生活を映したVTRに、たまたま 会話が拾われただけだったようで、結局、先生の回答は わからないままでした。


そんなわけで、あのとき 1号と同じようにテレビを見ていて、「犬が熱中症になったら、とりあえず水風呂へ入れてやったら治る?のかな??」と、思っておられるあなたのために、獣医師がお答えします。


答えはNO!!です。


確かに、水風呂へ入れて緊急的に体温を下げることは大切です。
あんまり冷たい水をいきなりかけると それはそれで良くないので、ぬるいシャワーから冷水シャワーへ切り替えるのが いちばんおすすめではあります。
が、シャワーや水に浸けたからって、熱中症が治ることはありません。
とにかく、体温を下げながら、一刻も早く病院へ連れていかなければなりません。


ときどき、体温が下がったら具合が良くなったようだから、と様子をみてしまう方がいらっしゃいます。
が、熱中症で 外から見てもわかるくらい 具合が悪くなってしまったどうぶつは、基本的に病院へ連れて行ったほうがいいんです。
これは、熱のダメージが内臓に及んでいることが多いため。
とにかく冷やすことで、とりあえず表面的には元気そうに見えるようになっても、少し経つと 調子を崩してしまうことが多いからなんです。


じゃあ、病院へ連れて行けば治るの?
と言うと、それも難しいところ。
よく言われているように、熱中症というのは、脳や内臓が ゆで卵になり 一部が死んでしまった状態です。
一度 ゆで卵になってしまったら、水に入れようが 薬を使おうが、元に戻ることはありませんね。
死んでしまったら、病院へ連れて行っても 生き返らせることはできません。
だったら連れて行っても無駄…ではないんです。
ゆで卵になり、死んでしまった部分は 元には戻りませんが、まだ死んでいない部分が その分まで働けるようにサポートしたり、死んでしまった部分をかさぶたのようにして 治していく体のはたらきを整えたり。
薬や手術で「治す」のではなく、呼吸や食事、排泄などの身体にとって欠かせないことを補助したり 呼吸器や点滴で代替してあげて、「治る」ことを手助けする。
体が回復することだけに集中できるようにする こういった治療は、「支持療法」といって、設備の整った病院でしかできないことです。


熱中症は、ダメージが目に見えず、検査結果に現れるのも遅いので、とても難しい病気です。
でも、どうぶつたちは わたしたち人間よりもずっと熱に弱いことがわかっています。
外出から戻ったら なんとなく元気がない…?
日中、お気に入りの場所に けっこう日が差している気がする。
そんなことがあったら、できるだけ急いで お近くの病院へ。
取り越し苦労や、心配しすぎだったら、良かったね、で終わりです。
でも、もしほんとうに 熱中症だったら…?
あれ?と思ったら、早めの受診を。
そして、そもそも あれ?と思ったりすることのないよう、エアコンを使い、お出かけするなら 涼しい時間帯まで待ってから。
それでも、お散歩中、やばい!と思ったら、当院の待合室へ お立ち寄りください。
涼しくしてありますのでね。

 

 

ねこさんの水分補給のためならば…尿結石、腎不全の予防にはこれ!

最悪の被害になりました。
西日本豪雨
1号の実家は名古屋ですが、両親とも岡山県出身。
特に、すっかり有名になってしまった 倉敷市真備町に住む伯母夫妻をはじめ、親戚ほぼみんなが被災し、いまも避難所生活をしていたり 浸水した自宅の片付けに追われたり。
身内はだれも命だけは取られなかったのが 不幸中の幸いではあるものの、リフォームしたばかりの家が全壊したり、何日もかけて植え付けした田んぼも畑も全滅したりと、生きているから良かった…だけでは 済まないものがあります。


そんな 避難所や、被災地での生活。
やはり、お手洗いが気になるからと、水分を取るのを控えてしまったり、避難所生活でなくても、そもそも 飲み水を手に入れるために 暑い中長時間並ばなければならなかったりするのだそう。
テレビでも多々呼びかけていますが、脱水や熱中症は、倒れないうちは大丈夫…ではありません。
喉がかわいたな と思ったら、もう黄色信号ですからね。
乾く前に水分補給、時間を決めて量も決めて飲む。
これが鉄則です。


さて、そんな 水分補給。
わたしたち人間は 言えばわかります。
飲んでね!と伝えれば、しぶしぶでも飲むでしょう。
でも、どうぶつたちは…?
特に、もともと砂漠にいたねこさんたちは、水分がないのが当たり前ですから、水を飲ませようとしても なかなか飲んでくれません。
かれらは、水を取らない代わりに、捨てるのも少しの水分で済むよう、ぎゅっと濃縮された尿を排泄するような体のつくりになっています。
この、濃い尿を作るため、腎臓が全力で頑張ります。
ねこさんは、腎臓が頑張りすぎてしまいやすい体のつくりなので、腎不全といって もう頑張れません… 状態になりやすいのですね。
他にも、濃いおしっこを作ると、尿結石といって、おしっこの成分が塊になって 体の中で詰まりやすかったりします。


腎不全、尿結石、どちらも予防できるのが、水分補給。
濃すぎるおしっこは、いいことはないのです。
そんなわけで、水を飲ませたい…けれど、飲んでくれない。
そんな方にまずやっていただきたいのは、お皿にお水を入れてあげること。
これは、給水ボトルよりも飲みやすいことが 解剖学的にも明らかですから、それだけでも取れる水分の量が増えます。


さらにもう一手…とお考えのあなたに おすすめなのが、お水に味をつけてあげることです。
たとえば、いつものカリカリフードを お水のお皿に数個。
他にも、お気に入りのオヤツや、市販の食欲の出るふりかけなんかもおすすめです。
ふやけたフードが飲み水の中でフワフワしてると汚らしいな…とか、日中に悪くなったらいやだな…と思ったら、表面だけふやけたら 本体は取り除いてしまってかまいません。
フードやジャーキーは、表面に 味や匂いのコーティングをしていますので、それが水にうつれば 十分なんです。


ごはんをふやかしたり、猫缶などを食べてくれる子なら、ここまで必死にならなくても ある程度食事からも水分補給はできます。
でも、カリカリ至上主義、というか、カリカリ以外は口もつけない というねこさん、意外にいるんですよね。
こういった、食べ物の好みがはっきりしているねこさんの場合、たとえいつものカリカリでも、ふやかして食感が変わるだけで 食べてくれなくなったりします。


わたしたちも、ただの水より、飲みやすく味付けしたスポーツドリンクやお茶のほうが 量は飲めるという方、多いと思います。
糖尿病などで、厳密に食事を管理している子は また話が変わってきますが、そうでない子はぜひ一度試してみてください。
お皿にお水と フードをちょこっと入れるだけですから、簡単です。


ねこさんは、夏場におしっこトラブルを起こす子 ほんとうに多いんです。
尿結石も、腎不全も、予防のためにはまず 水分補給!
あれこれ 試してみてくださいね。
そして、このオヤツやあのふりかけが好評だった!と、ぜひ 当院に教えてください。
全力でいろんな方に 拡散 いたしますのでね。
あなたのご来院、お待ちしています。

設定温度は25度以下!?それには理由があるんです

湿度の高い日が続きます。
台風の影響もあり、気圧も安定しませんね。
こういうときは、わたしたちだけでなく、わんちゃんやねこさんも 体調を崩しやすいもの。
特に、お歳の子や、持病のある子。
こういった子たちは、高温・高湿度にとても弱いですから、特に注意が必要です。


わんちゃん、ねこさんは、汗をかかない。
これはとても有名ですね。
汗腺 という汗をかくための穴がないので、汗をかかないんです。
この時期、満員電車で汗だくになって通勤しているわたしたちからすれば、うらやましくもありますね。


ですが、汗をかかない ということは、汗をかいて体温を下げることが一切できない ということ。
つまり、暑さが体にこもってしまいやすいんです。
違う言い方をすれば、とても熱中症になりやすい状態 ということになります。


電気代も気になるし、やっぱり節電したいから。
扇風機でいいでしょう?
そういう方も毎年いらっしゃるのですが。


冷房にかかる電気代、ごくふつうのリビングひと部屋だったら、ひと夏数万円にもなりません。
ところが、熱中症で動物病院に駆け込んだら?
ふつうにフルタイムで仕事している方の場合、帰宅して うちの子の具合が悪い、もしや熱中症!?と気づいたときにはもう夜。
たいていの動物病院は閉まっていますから、夜間病院などで緊急受診することになります。
夜間でも電話一本で診てもらえる、救急車で駆けつけてくれる病院もあり、本当に安心…ではあるのですが、やっぱり日中に受診するのとは 費用の桁が違います。
熱中症で間違いない ということになれば、症状にもよりますが、ほぼ間違いなく 血液検査と点滴はすることになるでしょう。
この時点で、体格にもよりますが、既にひと夏分の電気代とトントンくらいになります。
場合によっては、入院したり、点滴に通ったり。
持病のある子なら、酸素室などに入ることになり、さらにお金がかかるかも。
数万円の電気代をケチったばかりに、十万円近くのお金がかかったあげく お金で買えない健康までも損なうことになりますね。


扇風機でいい…のは、汗をかける人間だけです。
それも、汗をかいての体温調節が追いつく間だけ という条件つき。
扇風機は、涼しい風を出すものではなくて、空気を動かすものなんです。
その結果、からだの表面から熱をうばい、涼しくさせるという原理。
理科の授業などで、気化熱 ということばを習ったことを 思い出しますね。
汗をかけるのなら、からだの表面が 汗で湿った状態になりますから、そこへ風があれば 気化熱で体温調節できます。


でも、わんちゃん、ねこさんは汗をかけません。
扇風機を使っても、体温調節できるほど 気化熱の恩恵はないんです。
じゃあ…と、扇風機の前に 氷を取り付けてあげるのもいいですが、冷たい風がからだに直撃するのって どんなに暑いときでも辛いですよね。
しかも、毎日毎日氷を用意して、扇風機に取り付け、出かけて疲れて帰ってきたら 溶けた氷を片付けて…って。
手間!
暑さがさらに身にしみそうです。
その作業、時給換算したらいったいいくらになるのか…
氷水で すべって転んじゃうかもしれないし、水たまりで遊んで床が汚れたり傷んだりするかも。
それに、皮膚が湿ったせいで、皮膚病になっちゃうかも…
エアコンを使えば そこらへんのことに一切悩まされずに済むわけですから、やっぱり つけてあげていただきたいと思います。


帰宅して、なんだか様子がおかしいな?と 思ったら。
当院は、木曜・祝日は5時半まで、それ以外の日は夜 6時半まで受付しています。
それ以降は、ER府中 042ー306ー8052 の受診をおすすめします。

 

健康に暮らすには、病気の予防がいちばん大切です。

熱中症は、病気のなかでも、予防のできるもの。

エアコンピッ、で かんたんにできますから、ぜひ 今日この日から。

合言葉は 25度以下!でお願いいたします。