はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

獣医師のお勧め、乗り物酔い対策3選

平昌パラリンピックが開幕しました。
さっそくメダルラッシュに沸いていますね。
パラアイスホッケーでは、悔しい結果になりました…が、レジェンド 福島選手、ただでは起きないと信じています。

さて、3月といえば 異動の時期ですね。
引っ越しのある方は、そろそろ荷造りや準備が 佳境を迎えているころかと思います。
引っ越ししない方、今回は異動のない方も、身の回りがなんとなく 慌ただしくなってきたのではないでしょうか。

引っ越しの準備で、意外に忘れがちなのが、乗り物酔い対策だそうです。
空港やサービスエリアでは、この時期、酔い止めのお薬が いつもに増してよく売れるのだとか。
引っ越しって、ギリギリまで荷造りや手続きに追われるんですよね…
それで、いざ出発してから うッ てなるという。
わかります わかります。
(T^T)

さらに忘れがちなのが、小さい家族の 乗り物酔い対策。
車酔いする子は、ほぼ間違いなく 飛行機酔いもします。
電車は 比較的大丈夫な子が多いですが、引っ越しのただならぬ気配や 慌ただしい雰囲気に飲まれ、ふだんなら平気なのに 吐いちゃうことも。
酔い止めもありますから、そういったものを使うのは そりゃいいのですが、すっかり忘れてた!今日出発なのにー!!
そんなときに、試してみてください。
わたしたち 獣医師の乗り物酔い対策はこんな感じです。
簡単なツーステップですから、ダメ元でぜひおためしを。

まず、乗り物酔いする子も、しない子も、長距離・長時間の移動は 朝ごはん抜きにします。
乗り物が車でも、飛行機でも同じです。
食べさせると、吐くリスクが跳ね上がるからです。
このようにお伝えすると、お腹が空きすぎて吐いてしまいませんか?と心配される方もいらっしゃるのですが、大丈夫。
それより、お腹がいっぱいだったり、軽く食べたあとのほうが、吐きやすいです。
なぜかというと、市販のわんちゃんやねこさんのごはんには、油が多く入っているから。
仕上げに 美味しい匂いのする油を吹きつけて作るのですから、当然ですよね。
食べさせてしまうと、この油が、移動中に緊張して動きの悪くなった胃の中に長く留まるので、吐いてしまうんです。
それに、ご飯を食べさせていなければ、仮に吐いてしまっても 出てくるものはヨダレや胃液だけ。
ケージも本人も そんなに汚れずにすみます。
でも、食べたものを 吐いてしまった場合、最悪 着いてお風呂に直行!しなくてはならないかもしれません。
疲れてもいるし、引っ越し業者さんに荷下ろしをしてもらわないとならないのに、お風呂に入れている場合ではありません。

そして、タオルをかじらない子限定・様子をときどき確認できる車移動限定ですが、ケージにタオルをかけて覆います。
外が見えると 緊張したり興奮したりで吐きやすくなるからです。
ただ、タオルをいたずらして飲みこんでしまう子や、ご家族の顔が見えないと より緊張してしまう子はこの方法はだめ。
ふだん そういったことをしなくても、移動中ヒマだと 思わぬことをする子もいますから、様子をときどき確認してくださいね。

このように、興奮・緊張を抑えてあげるのが、わんちゃんやねこさんの乗り物酔い対策の基本。
これに加えて、少し時間の猶予があれば、乗り物酔いのおくすりを手に入れておくことをおすすめします。
当院では、飼い主さまのご希望や 移動時間の長さ、乗り物酔いのひどさなどで 何種類かを使い分けています。
当院にかかったことのある方、体重が 大きく変わっていなければ、わんちゃんやねこさんのご来院なしで おくすりだけお渡しできます。
引っ越し前の忙しいときに、時間を作っていやがるわんちゃんやねこさんをケージに入れて連れてきて待合室でしばらく待って…なんて、ぜったい無理ですよね。
当院なら、比較的遅くまでやっていますので、お仕事帰りや お買い物ついでに、お立ち寄りいただけます。
電話でお申し付けいただければ、事前にご用意しておくことも可能。
数分でサクッと手に入ります。
病院の酔い止めですから、効き目はひと味違いますよ。
まずは、お気軽にご相談ください。

花粉症の季節です

平昌オリンピックが閉幕し、次は パラリンピックですね。
パラは6競技あるそうですが、やはり1号が楽しみなのは アイスホッケー。
中でも、ゴーリーの福島選手!
ホッケーは、NHLのトップ選手では 時速200km前後でのシュートがガンガン飛んでくる競技。
新幹線のぞみよりちょっと遅いくらいの速さで、硬いゴムがあの小さい枠をめがけて飛んでくるわけです。
それを 体を張って止めるポジションが ゴーリーなのですが、福島選手は 1956年生まれ。
なんと、御年 61歳の 現役プレーヤー、現役パラリンピアンなのです。
しかも、平昌パラの予選では、ほぼ一人でゴールを守りぬく 活躍ぶり。
そんな選手がいる というだけで、パワーをもらえそうですよね。
1号も、おとななのに 溶連菌に感染してバッタリ倒れている場合ではありません。

そんな 平昌。
日本にくらべ スギの数が少ない韓国では、花粉症に悩む人も 少ないといわれています。
花粉症があまりにもひどいと、辛さのあまり、この時期日本から出たい…お隣の韓国はどうだろう…などと真剣に検討される方もいらっしゃるとか。
1号も 30年来の花粉症患者ですので、国外脱出したいお気持ちはよくわかります。
が、花粉症はもともと スギだけではなく、いろんな植物の花粉が原因になりうるもの。
スギやヒノキなど、いわゆる樹木はもちろん、ブタクサやヨモギなどといった いわゆる草でも、花粉症を発症することがありますし、そういった植物は 比較的どこに行っても生えているようです。
日本でのスギのように、逃げ場がない!というほどのことには さすがにならないようですが。

わんちゃんやねこさんの場合、わたしたち人間のように スギやヒノキなどの樹木に反応する子は 比較的少ないといわれています。
そのかわり、ブタクサやヨモギなどの 草に反応する子がそこそこいるようです。
わたしたちより身長が低いですし、草むらにもどんどん入っていってしまいますから、こういった植物の花粉が 皮膚についたり、鼻や口に入ったりして、身体に取り込まれてしまいやすいんですね。

わたしたち人間の花粉症では、症状の定番といえば まずは鼻水、目のかゆみ、喉のイガイガですが、
わんちゃんやねこさんの場合は、皮膚の痒みや 赤みとして症状の出る子が多いので、まさか花粉症とは 思わない方も多いです。
どうぶつの場合も、花粉症は人間と同じくお薬を飲んで 症状を抑えるのが基本ですが、軽い場合は 薬用シャンプーで皮膚についた花粉を洗い流すだけでかなりよくなることも。
皮膚の状態によっては、薬用シャンプーでさえも 刺激になってしまうこともありますので、とにかく洗えば必ず良くなる!とは言い切れないのですが、一度 ご相談ください。

動物病院は保険が効かないから高い、一時的なものだからかわいそうだけどお散歩を減らしたり、基本的にがまん。飼い主も耐えてます。
そんなふうにおっしゃる方もおられます。
が、動物病院で高!と思われるのは実は 手術や検査などがほとんど。
お薬の値段は、人間の病院とそこまで大きく違わない病院も多いんです。
花粉症の原因は何の植物?なんて、くわしい検査をすると、家賃かと思うほど高くなってしまう場合もありますが、原因はどうあれ、とりあえず症状を抑えてあげたい とご希望をお伝えいただければ、そこまでたいへんなことにはならないはず。
詳しい検査を強く勧められると断れないから…と心配される方もいらっしゃいますが、詳しい検査は実はかなり特殊な病院でないと受けられません。
また、セカンドオピニオンでのご来院などでなければ、通常はいきなりそういった高度・高額な検査は おすすめしないもの。
尻込みして、がまんさせたりせず、気軽にご来院いただきたいと思います。

あなたのご来院、お待ちしています。

秋田犬のプレゼント

花粉症について、熱い記事を書いていた ここ最近の1号。
ですが、聞き捨てならないニュースが飛び込んできました。
ごうがーい!ごうがーい!!

というわけで、秋田犬について。
平昌五輪のフィギュア女子金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手に、プレゼントとして秋田犬の子犬が送られたそうですね。
いままでの日本の傾向からして、これを機会に 秋田犬が流行してしまわないとも限りません。
事前に警鐘を鳴らしたいと思い、この記事を書いています。

先にお伝えしておきますが、1号は秋田犬が大好きです。
嫌いで悪口を言っているわけではありません。
が。
秋田犬は、特殊な犬です。
アリーナ・ザギトワ選手のように、写真を見て一目惚れ→飼いたい→飼う!となっている人。
ちょっと待ってください。

まず、秋田犬のあのフサフサモコモコ。
あれは秋田の厳しい寒さに耐えられるように生える毛です。
マタギといわれる猟師といっしょに、雪深い山に入って夜を過ごすような生活をする犬のための毛です。
東京の夏には耐えられません。
東京で秋田犬を飼うのなら、かれらが快適に過ごせる冷房代を出す覚悟が必要です。
電気は最大アンペアでは足りませんから、業務契約になるでしょう。
1台では、壊れた時即命に関わりますし、おそらく冷房性能が足りませんから、大きなエアコンを複数台設置しなくてはいけません。
買ってきてつけられるようなサイズでは厳しいですから、おうちをリフォームする覚悟も 必要ですね。

つぎに、秋田犬は大きくなります。
日本犬最大の犬種が秋田犬なのです。大人になったら30kg超えは当たり前の大型犬です。
大型犬が本気を出したら、そこそこ鍛えた男性でも引っ張られます。秋田犬は猟犬ですから、本気になると見境がなくなるところがあります。
制御できない人が飼うと、たいへんなことになるでしょう。
また、秋田犬に限りませんが、大型犬は病院通いが多いです。
時間的にも、費用的にも、体調を崩したときにきちんと病院に連れていける人でないと、お互いが不幸になります。

たとえば、都内在住で小学生ふたり、日中パートのおかあさんと終電まで働くおとうさん。家は持ち家で小さい庭、週末は家族で遊びに行ったり、のんびり家で過ごしたり。
そんな家庭で、覚悟も準備もなく 秋田犬を飼ったら どうなるでしょう。
まず、子どもたちは二人とも ケガだらけになります。
犬に倒されたり、突き飛ばされたりがしょっちゅうです。
二人のうちどちらかは、骨折レベルのケガを何度もするかもしれません。
それから、おかあさんのパート代は、全部病院代で使い果たすことになります。もしかすると、おとうさんの残業代も。
子どもたちの病院代、犬の病院代、犬がケガをさせた人の病院代も払うことになるかもしれませんから。
そして、終電まで働くおとうさん。
週末は犬を連れて病院通いが定番になります。
おとうさんしか犬を制御できませんから、週末家族で遊びに行くのも 家でのんびりももうできません。
そして、犬自身。
おとうさんのいない平日は、危ないので散歩にはいけません。
仕方なく庭に放されていますが、狭いのでヒマを持て余し、吠えたり家屋をキズだらけにしたり。
こんなはずじゃなかったのに。
微笑んでいるみたいな顔で、おかえりなさいとそっと迎えに来てくれる大きな犬。
フワフワの毛に顔をうずめると、温かい舌でそっとなめて愛情を伝えてくる。
ああなんてかわいいんだろう、秋田犬ってほんとうに最高。
そうなるはずだったのに…

秋田犬はもちろん、犬を飼おうと考えている みなさん。
もう一度、よく考えてください。
かわいいだけでは犬は飼えません。
散歩、しつけ、うんちやおしっこの始末、ごはんの世話、ワクチンの接種や登録に、毛の手入れ、健康管理。
ありとあらゆることが すべて飼い主の責任です。
暑くても、寒くても、雨の日も、雪の日も、花粉やPM2.5のひどい日も、足を骨折している日も、インフルエンザにかかって一家全滅した日も。
それでも犬の世話ができますか?
犬を飼うこと、犬と暮らすこと。
そこに、そこまでする価値を見いだせる人だけが、犬と暮らせるのです。
かわいいから。
犬を飼ってみたいから。
犬がいる暮らしってなんか素敵。
そんな理由で、不幸な犬を作ってはだめです。

犬を誰かにプレゼントしようとしている方。
犬をプレゼントすることは、もらった人の人生の一部を あげた犬のために使うことを強制することです。
もう一度、よくよく考えてください。

繰り返しになりますが、当院も1号も ザギトワ選手はもちろん、彼女に秋田犬を贈った人を 批判する意図はありません。
ただ、犬が、中でも 大型犬が好きでたまらないから、不幸になる犬や 犬のせいで悲しい思いをする人をなくしたい。
そう願っています。

セカンドオピニオンのその後で

平昌オリンピック、盛り上がっていますね!!
連日のメダルラッシュのおかげで、選手本人はもちろん、喜んでいる人の顔をテレビでたくさん見かけるようになり、嬉しい1号です。

今回は、前回の 「セカンドオピニオンの流儀」の後編をお届けします。
というのも、コメントや お声がけをいただいたから。
セカンドオピニオンに興味があるという方は多いのですが、その後どうなるの?と疑問に思われる方も多いようですね。
紹介先の病院、一度や二度行くのは都合がつくけれど、毎週通うとか、これからはずっと紹介先で ということになると正直きついから、セカンドオピニオンを取りたいけれど取れない…といったご相談もありました。

実は、セカンドオピニオンというのは、ご紹介してハイ終わり…とはならないことがほとんど。
受ける病院は、たいてい広くて大きいので、通いにくい場所であることが多いです。
都内の比較的便利なところにある病院でも、駐車場がまさかの3台とか、けっこうあります。
また、先生もたくさんの受診希望の患者さんを待たせておられることが多く、先生でないとダメな診断や処方はともかく、経過を観察するための定期通院や、決まったお薬のお渡しは、紹介元の病院でというのが基本。
セカンドオピニオンから、完全に紹介先へ転院となることのほうが、ずっと少ないのです。

そんなわけで、ご紹介先の病院さんを受診され、他の先生のご意見を聞いたり、手術や放射線治療などの高度医療を受けたりしたあと、定期通院や決まったおくすりの処方などは、当院で行うことが多いのですが、
「紹介先の先生はどんなご意見でしたか」
「どんな薬を処方されましたか」
「治療方針はどのようになりましたか」
など、当院に戻ってこられた患者さまにお聞きすると、「先生が連絡するとおっしゃっていたので…」とおっしゃる方がときどきいらっしゃいます。
確かに、そうなのですが、ご紹介先の先生は多忙でいらっしゃることがとても多いです。
病院にもよりますが、海外でのセミナー、雑誌の記事や書籍、論文などの執筆、学会出席、講演と、たくさんの受診希望の患者さんの診察・治療のほかにも、さまざまな仕事を抱えておられる先生がほとんどです。
こういった先生に診ていただくと、やはり紹介もとの病院=当院などへの連絡はどうしても後回しになりがちなんですね。
セカンドオピニオンで受診されたら、おくすりの内容や治療方針など、ぜひよく聞いてきていただきたいなと思います。

 

ご協力、よろしくお願いいたします。

セカンドオピニオンの流儀

今週月曜日に放映された、「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
http://www.nhk.or.jp/professional/2018/0129/index.html
戌年ということで、ワンちゃんスペシャルと題し、犬に関連したプロフェッショナルたち3人の 特集回でした。

全国4万人近くの獣医師の中から取り上げられていたのは、小林哲也先生。
公益財団法人 日本小動物医療センターの理事長、埼玉の日本小動物がんセンターのセンター長を兼任され、日本獣医生命科学大学の非常勤講師でもあります。
この 日本小動物がんセンター、埼玉県所沢市にあり、当院からもセカンドオピニオンでご紹介したことが何度かあります。
小林先生と直接お話ししたことはないのですが、1号の同級生や後輩も勤務していて、勝手に親近感を覚えている病院さんでもあり、「日本小動物がんセンターでセカンドオピニオンを受けたい」といったお申し出があると、張り切って予約を取ってしまいます。
他にも、当院からセカンドオピニオンでご紹介することの多い病院さんといえば、武蔵境の日本獣医生命科学大学や、東京農工大学、ER府中など。

ただ、セカンドオピニオンで 日本小動物がんセンターや大学病院をご紹介することは、昔より多くはなってきましたが、まだまだ少ないのが現状です。
がんや難病をかかえる子と暮らす方のブログなどを拝見すると、
かかりつけ医に セカンドオピニオンを取りたい と言うと、わたしの診断が信用できないのか!?と思われるのではないか?
そんなご心配をされている方が多いようですね。
実際、当院でも、「セカンドオピニオンを取りませんか」とおすすめすると、「先生から勧められるとは思いませんでした」と驚かれる飼い主さまもいらっしゃいます。

当院では、セカンドオピニオンについて、「当院とはちがった見方での意見をもらえる」というふうに考えています。
そこに、優劣は存在しないんですね。
当院は わんちゃんやねこさんの診療に関して豊富な経験があります。ひとつひとつの症例に真摯に向き合っていくうちに、当院のカラーというものができていくので、経験のぶんだけ 当院の独自色は濃くなります。
高度診療施設をはじめとした他院さんで診ていただくことで、この当院のカラーに影響されない(他院さんのカラーには影響されていますが)診断を受けられます。
番組の中で、小林先生も同じようなニュアンスのことをおっしゃっていましたが、当院も 治療方針はわたしたち獣医師が決めるものではないと考えています。
あくまで、飼い主さまご自身が決めるもの・・・という考え方なんです。
その、治療方針を決めていただく 手がかりのひとつとして、わたしたちがお示しできるのが、病名や 獣医師としての意見です。
なので、手がかりは多い方がいい。
当院はこういう考え方なので、セカンドオピニオンを取っていただくことには大賛成ですし、こちらからお勧めしたりすることもあるんです。

セカンドオピニオンを、より権威のある病院で診断名を答え合わせすること のように捉えられている方もいらっしゃるかもしれませんね。
そういう方は、思い悩んだ挙句、かかりつけ医にはなにもいわずに そっと転院するようなかたちで セカンドオピニオンを取りに行かれることも多いようです。
でも、そういった形でのセカンドオピニオンはあまりおすすめしません。
というのも、費用も時間も 無駄になってしまうことが多いからです。

セカンドオピニオンのためには、通常、紹介状をご用意します。
症状や病気の経過、検査の情報、お薬の合う・合わないなどの体質といったさまざまな情報を、紹介先の病院さんに伝えるためのものですが、これがない状態で受診してしまうと、検査をぜんぶやり直さなくてはならず、内容によっては数週間・数万円かかることもよくあります。
症状や病気の経過、投薬などは、飼い主さまの日記や記憶などで辿れると思いがちですが、検査結果や投薬と連動することも多く、肝心な情報が漏れてしまっては意味がありません。
せっかくセカンドオピニオンを取るのなら、最短時間・最小の費用でいきたいですから、間違いのない 紹介状を持って受診されることをおすすめします。
他院さんについては よくわかりませんが、セカンドオピニオンに関する 当院の流儀は こんな感じです。

ファーストオピニオンから、セカンドオピニオンまで。
あなたのファーストコンタクト、お待ちしています。

コリネバクテリウム・ウルセランス?あたらしい伝染病のはなし

2018年になりました。
元号が1年間ずっと「平成」の最後の年です。
「平成」のうちにやりたいこと、行ってみたいところ、いろいろなことを実現していくような年にしたいですね。


さて、そんな 平成30年。
1月に厚生労働省から、衝撃的な発表のあった、ひとつの病気があります。
「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」という病気です。
これは、赤ちゃんが生後3ヶ月になってから何度か打つ「四種混合ワクチン」で予防できる「ジフテリア」という病気や、1歳になるまでに打つ「BCGワクチン」で予防できる「結核」という病気に近いもの。
原因になる菌が親戚同士にあたります。
この「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」という病気、平成25年から29年の5年間に わかっているだけでも日本で25例かかった人がいる病気です。
概算で1億3千万人近くが住んでいる この日本で、たった25例?0.00002%の人がかかる病気なんて、大したことないんじゃ・・・ と、あなどってはいけません。
この病気は 結核ジフテリアとはちがい、そもそも報告義務のない病気。
にもかかわらず、症状や状況などから、診察した先生などが「これは 報告しておいたほうがいいだろう」と判断して 報告されたもの。
つまり、よくある症状・ありがちな状況ではない。言い換えれば、お医者さんが「おやっ?」と思うような病気 ということなんです。
厚生労働省の発表は、この病気で、平成28年に亡くなった方がいらっしゃる というものでした。
彼女は、3匹の外猫さんにエサをあげていたことがわかっており、この子たちに接触したときに 菌に感染したと考えられています。


そもそも この菌は、ジフテリア結核とは異なり、常在菌=どこにでもいる菌 です。
どちらかといえば、人間の暮らす環境よりも、牛など家畜の暮らす環境に多くいる菌で、牛の乳房炎などの原因になることが多いので、わたしたち獣医師にはなじみのある菌です。
(余談ですが、獣医学部の現5年生、来年度に繁殖学の試験を受験予定の学生さんへ→Corynebacterium ulceransは、みなさんが受ける試験で出題される可能性が例年より高いように思いますので、押さえておいたほうがいいかもしれません。Corynebacterium属菌といえば、牛の乳房炎ですよね。乳房炎は畜産業に与える経済的影響が多いですし、もともと出題頻度の高い分野でもありますから、みなさんふつうに押さえてはいると思いますが。今回こうして話題となった菌ということで、例年よりも取り上げられやすいと思います。ただのOBのカン、ですけどね)
じゃあ、牧場や農場にいくときだけ 気をつけていればだいじょうぶなの?というと、そうではありません。
わんちゃんやねこさんの 皮膚病のあるところからも、比較的よく取れる菌ですし、風邪っぽい症状のある子どうしで 菌をうつしあってしまうこともあります。
中でも、外猫さんは ケンカ傷や擦り傷があることも多く、おうちから出ない子にくらべて 皮膚病や風邪をひくことが多いので、菌を持っている可能性が高いんですね。


厚生労働省も、
・外で出会った子はもちろん、ペットや牧場で飼われている家畜も含め、どうぶつに触った後は、手洗い・うがいなどをして清潔にする
・キスや食べ物の口移しなどの、濃厚な接触を避ける
など、心がけたほうがいいことを呼びかけています。
ごく普通のことではありますが、かわいいとついキスしてしまったり、冬場で水が冷たいと ついつい手洗いが雑になってしまったり。
いたずらに恐れたり、神経質になったりする必要はありませんが、亡くなった方がいるとなると、やはり気をつけたほうがいいことは間違いありませんから。


2018年を ハッピーに過ごすために。
憂いは少しでも 減らしておきたいですよね。
うがい、手洗いを徹底しつつ、健康管理に努めましょう。
小さな家族の体調不良は、当院へご相談くださいね。
あなたのご来院、お待ちしております。

まさか!?猫さんがわんちゃんを逆転!

戌年目前の この時期に、驚きのニュースが飛び込んで来ました。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017122201001637.html

一般社団法人 ぺットフード協会 http://www.petfood.or.jp/index.html というところが発表したニュースで、実態調査の結果、猫の飼育数が犬を60万匹上回ったというのです。
ここ数年の傾向として、ねこさんの飼育数は減っていないのに対し、わんちゃんは減っており、今年ついに逆転したのだそう。
わんちゃんは、ねこさんに比べて散歩などの手間や費用がかかる、集合住宅で禁止されているなどの理由で、飼う人が減ってきているのだとか。

1990年代以降、ペットブームといわれた日本では、漫画「動物のお医者さん」の影響で大流行したシベリアンハスキー、芸能人が飼っていると流行り出したダックス、CMがきっかけで大ブームになったチワワ、トイプードルなど、数年単位で 特定の犬種が大流行してきました。
たしかに、最近は、いっときほど 同じ犬種の子犬ちゃんが毎日毎日何家族もどんどんどんどん来る というようなことは少なくなったな・・・
と感じていましたが、ついに ねこさんと逆転したんですねえ。
今は空前の猫ブーム、などと報じているマスコミもあるようで、そういった報道によれば、アメリカン・ショートヘアーやスコティッシュ・フォールド、マンチカンなど、いわゆる「鼻ぺちゃ」のねこさんが今は人気なのだそう。
わんちゃんの大ブームほどの流行っぷりではない気はしますが、たしかにペットショップの店頭などでは 鼻ぺちゃのねこさんを多く見かけます。

ねこさんは、比較的「流行っているから」という理由で飼う方は少ないように思いますが、その分「飼いやすそう」「手がかからなそう」と気軽に飼い始めてしまう方が多いように思います。
わんちゃんは そうはいってもお散歩やお世話のことなど、いろいろ考えて飼い始めるという方がほとんどですが、ねこさんはいまだに「飼ってて手に負えなければ、外へ行けるようにしてやればいいや。運動もできるし、自分で狩りもするだろうし」と、安易に飼い始める人が一定の割合でいます。
そういった人は、「むしろ、外へ出かけられない方がかわいそう。狭い家の中でなく、外で自由に遊べるほうが猫も幸せだろう」とまで言い出すことも。
でも、外へ出るほうが、ねこさんにとっては危険なんです。
交通事故に遭ったり、知らない猫と喧嘩になったり。
おかしな人に捕まって酷い目にあわされるかもしれません。
変なものを拾い食いして、病気になるかもしれません。
寒いから暖を取ろうと、車のエンジンルームに入り込んで 大怪我をするかもしれません。
どれもこれも、家の中から出なければ起こらないことですよね。

これからも、わんちゃんの飼育数が減り、ねこさんは増える傾向は続きそうです。
何かペットが飼いたいし、ねこさんは手軽そうだから と飼い始めるのでなく、いろいろ考えた結果ねこさんが一番飼いたいから!と 飼い始める人が増えてほしいなと思います。

そうして、飼い始めた かわいこちゃんの健康管理は、当院にお任せください。
あなたのご来院、お待ちしています。