はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

秋になったらなんだか痒い!?それは花粉症かも!

台風が過ぎて、すっかり秋の空気です。
暑さも湿気も少しずつ落ち着いて、だんだんと冬に近づいていきますね。
過ごしやすくなってきた今、は、ハ、ハックショーン!!!!

実は、秋こそ花粉の季節なんです。(鼻をかみながら)

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某国の秋。

1週間くらいしかない 貴重な秋です。

今年もう初雪が降りました…

 

春の花粉は、どちらかというと、スギやヒノキなど、背の高い木から降り注ぐようなものが多いんです。
風とともに、ざあっと舞い散る黄色い粉…
ああ…
想像しただけで、目がかゆい……
それにくらべ、秋の花粉は、草によるものが多いので、どうぶつたちにとっては おさんぽなどで 体についてしまいやすいんですね。

どうぶつたちの花粉症の症状は、わたしたち人間のように 目や鼻、のどといった呼吸器に出るよりも、皮膚に出るほうが多いといわれています。
特に出やすいのは、お腹や腕の内側など 皮ふの柔らかそうな部分。
それから、鼻の湿ったところと乾いたところの境目のあたり。
目頭や耳のうしろに症状の出る子もいます。
じんましん?あせも??みたいなブツブツが出る場合もあれば、とびひのような 痛痒そうな汁が出てしまうことも。
すりきずのかさぶたのようなものが あちこちできてしまう子もいます。
まさか花粉症とは思わず、すりむいたのかな?まあかさぶたができているし治っていくでしょう と放っておくうち、どんどん増えてしまった…なんてこともよくあるんです。

こうしたとき、わたしたちは、もちろん飲み薬や塗り薬を使います。
でも、同じくらい大切なのが、薬浴。
温泉療法ではなく、皮ふについている花粉を 物理的に洗い流すことで、症状を改善しようというものです。
一般的にいって人間用にふつうに売られているシャンプーは もう症状が出てしまっているどうぶつたちの皮ふには少々強すぎ。
処方されたシャンプーを、処方されたとおりの用法・用量で使うのがおすすめです。

当院では、心臓などに持病があって おうちでシャンプーできない子の薬浴を受けていただけます。
また、皮ふの症状があまりにもひどい、ダニなどにひどくやられてしまったなど、一般のサロンさんでお断りされてしまった…という方も、ご相談ください。

ときどきいただくご相談ですが、皮ふの症状があるときのトリミングはどうしたらいいの?というもの。
これは、どんなライフスタイルなのか?によって お答えが変わってきます。
週に何度もシャンプーや濡れタオルなどで拭いてやれる、という方は、短くしましょう。
サマーカットくらいでもいいです。
時期的に全身サマーカットはちょっとなあ…、と思われるようなら、せめて症状のひどいところやお腹だけでも、うんと短く。
そうすれば、洗い流したり拭いてやるのがラクになります。
手間がなくなりますから、続けやすく早く治るといういいサイクルに。
そのいっぽう、仕事や育児・介護が忙しすぎてそんなには難しい…頑張っても週1回拭いてやるのが精一杯…という方は、毛質にもよりますが 少し長さを残したほうがいいです。
毛が短いということは、そのぶん花粉が皮ふに付きやすくなりますから。
少し長さを残すことで、そのリスクを下げてあげましょう。
具体的には、8mmとか10mmくらいでしょうか。
毛質にもよりますから、トリマーさんとよくご相談ください。
ただし、毛が長いぶん、拭くのも洗うのもたいへんになります。
週1回、多少たいへんだけど頑張って拭いてやるという方はぜひこちらで。
たまに、二人の先生に真逆のことをいわれた…と、お悩みの方がいます。
短くしろといわれたり、長くしろといわれたり、どちらにしたらいいんでしょう?というお悩みです。
それはたぶん、先生たちに、どれくらいの頻度で皮ふのケアができるのか…ということがちゃんと伝わっていないんですね。
マメに洗えるか、どうか?ということを伝えていただけば、きっともう悩む必要はありませんよ。

それでもまだ…という方は、ぜひ一度ご来院ください。
あなたのための皮ふのケア、いっしょに決めていきましょう。

秋は旅行シーズン。ペットを連れてお出かけしよう!

前回の記事が 下書きになったまま投稿されてなかったことに つい先日気づいた1号です。
(T^T)

気を取り直して参りましょう。
今週末から、シルバーウィークに入るという方も いらっしゃるのではないでしょうか?
真夏は 夏休みなどのため どうしても混みあいますし、暑さのせいで事故のリスクも高くなるので、わんちゃんやねこさんと旅行したい…という方は 実は少なめ。
その代わり、ペットホテルが混みあいます。
そのいっぽうで、シルバーウィークに代表される 秋は、ほどよく涼しく 学生さんの夏休み期間も終わっているため、ペット連れでの旅行のチャンスなんです。

ペット連れの旅行に、動物病院としておすすめしたい持ち物が、かかりつけの先生からのお手紙。
診断書…とまではいかないけれど、いままでにかかった病気、かかりやすい病気、お薬の合う・合わないなどを書いてもらうのです。
最近では、ペット保険や ペットショップなどで、わんにゃん母子手帳なんて言い方で 配られていたりもします。
こういった資料があると、旅先で急に体調を崩したときに かかりつけでない病院へ飛び込みで見てもらっても安心なんです。
持病のある子、中でも 発作持ちなど、急に体調を崩す可能性があって、しかも はやく治療しないと命に関わる子の場合、こういったお手紙は特に大事です。
カルテを写メやコピーさせてもらう…とかでもいいのですが、カルテは先生独自のクセがあったり、電子カルテでも独特のシステムを見慣れていないと、ほんとうの緊急時には役に立たないことが多いんです。
他の先生に見せる前提で書いてもらう お手紙のほうが、緊急時の参考にできますから、おすすめです。

そして…
ペット連れでの旅行は、そうでないときより、少しだけ注意が必要です。
移動手段別に 見ていきましょう。

<h1>飛行機・海外編</h1>
国境を超えるような長時間のフライトは、どうしてもペットたちに負担がかかります。
乗り物酔いする子はもちろん、発作や腰痛、関節痛などのある子はまず症状が悪化します。
最悪、到着するやいなや現地の動物病院に駆け込むことになるかもしれません。

さらに、輸出・輸入という特別な手続きが必要です。
これがねえ…
日本から出るのはわりとかんたんですが、経験上帰ってくるのがものすごくたいへんなんです。

出発前にイチから準備すると、まず2ヶ月はかかります。
1号は手続き代行の業者さんを使わず、ぜんぶ自分でやりましたが、費用はかるく6ケタいきましたし、日本でも現地でも病院に何度もいくことになります。
注射や検査も多いうえ、帰りに現地の空港で検査を受けなければならず、予約したり長く待たされたりあちこち行かされたり…と、いろいろだいぶたいへんです。
獣医師ですから知識もあるし、2年住んだ国から日本への帰国 という状況でしたから、土地勘もある、さらにことばもそれなりに話せる。
そんな状態の1号でも、めちゃくちゃたいへんでした。
二度とやりたくない というのが本音です。

輸出・輸入の制度も現地のこともよくわからない、現地のことばでまくし立ててくるネイティブと互角に会話ができない、そんな状態でやることではありません。
なんせとにかく手間がかかるし、手違いで必要な書類が揃っていなかったりしたら、返送されたり殺処分されてしまう可能性があるので、プレッシャーがすごいんです。
旅行を100%楽しむことは難しくなります。

ペットと一緒に海外旅行する予算で、ペットホテルはもちろん、飼い主さまのホテルのランクをかなり上げられますし、なんならオプションでトリミングやツアーをつけても余裕でお釣りが来ますから。
数年単位の移住はともかく、ペットと海外旅行☆は止めておきましょう。

<h1>飛行機や鉄道・国内 編</h1>
移動時間・距離が長く、途中休憩も取りにくいので、そこに注意が必要です。
特に飛行機は、海外ほどの長時間フライトにはなりませんが、やはり気圧の上下があるため、負担がかかります。
持病のある子は、お薬を多めにもらっておいたり、旅行先の近くに 動物病院がないか、調べておいたほうが安心です。

飛行機は、客室内にいっしょに乗り込める路線と、スーツケースなどといっしょに預けなければならない路線があります。
ケージの大きさや材質に、航空会社独自のルールがあることも。
さらに、予約の枠がいっぱいだと、乗せてくれない可能性もありますし、ひと便に数席分しか枠はないことがほとんどですから、予約は早めにしたほうが安心です。

空港近くで働く友達によると、ペットの搭乗に予約が必要と知らず、搭乗口で大揉め→飛行機に乗せてもらえず駆け込みでペットホテル、というパターンが時々あるのだそう。
ケージのルールも知らなくて、慌ててケージを買っていく方もいるのだとか。
せっかくの旅行、出発前にケチがつくのは避けたいですよね。
予約、準備は万全に!

<h1>車・国内 編</h1>
いちばん自由が利くので、人気の行き方ですね。
最近は、サービスエリアにドッグランが併設されていることも多く、マメに休憩を取りながら進めるのも いいところです。

車といえば、車酔いがやっぱり一番心配。
特に、止まったり進んだり曲がったりを繰り返す市街地や、高速でも混んでくると酔いやすくなります。
車内の換気をしたり、朝ごはん抜きで車に乗せる、休憩をしょっちゅう取るなどの対策もありますが、
酔い止めのお薬を試したことのない方は、一度ご相談ください。
いいお薬、あります。

そして、サービスエリアのドッグランを使おうかな とお考えの方に 注意。
ドッグランには、ワクチンを打っていないと入れないところがあります。
狂犬病と混合、両方とも証明書を持っていきましょう。
なくしてしまった!という当院患者さまは、再発行もできますので、ご相談ください。

また、ああいったところのドッグランは、特にダニやノミ、病気をもった蚊などが多いもの。
山を切り開いたりして作りますから、もともと虫のたぐいが多いエリアです。
そこにわざわざ土や原っぱの場所を作って、ドッグランというふうにしているわけですから。
きちんと対策をしていかないと、危険なんです。
ただダニやノミがつく、蚊に食われるだけでは済まず、SFTSフィラリア、瓜実条虫などの病気をうつされてしまうかも。
ネクスガードスペクトラ、フロントライン、カルドメックなどの対策をお忘れなく!

 

 

SFTSって、なんですか?その2

いきなり涼しくなりました。
気温や気候が いきなり変わったり、台風など低気圧で 体調を崩しやすくなります。
9月は新学期、年度の後半に突入と、学生さんも 元・学生さんも、無理をしがちな時期ですが、たまにはゆっくり休みましょうね。
(鼻水を垂らしながら)(1号もまた鼻風邪の気配がします…)

さて。
先日の記事(http://kurimotoah.hatenablog.com/entry/2017/08/22/155903)に、大反響をいただいています。
某時事問題のときに続き、当院ブログ、たくさんの方にお読みいただいているようですね。
いつもありがとうございます。

この記事に関連してなのかはわかりませんが、先日 twitterでちょっと気になるツイートがありました。
ツイート主さんが消されてしまったのか、引用することができないのですが、「野良猫からSFTSをうつされて亡くなった方がいるそうで怖い。もし近所の野良猫から病気をうつされてしまったら…猫を駆除してほしい」といった趣旨のもの。
こ、これは…!
わたしたち獣医師が、SFTSの報道を目にするたびに 心配してきたこと。
それが、現実になってしまおうとしている…
そう感じて 記事にすることにしました。

SFTSが猫さんからうつった?というニュース。
あれは、まだ推測です。
事実としてわかっていることは、
①人間のSFTSと似たような症状で病院にかかったわんちゃん、ねこちゃんの血液やうんちから、SFTSのウイルスが見つかった。
②体調を崩したねこちゃんに咬まれてしまったことのある方のなかに一人、SFTSで亡くなった方がいる。
この二つだけなんですね。

SFTSは、まだ新しい病気です。
わかっていないことがたくさんあるのです。
順番に お話ししますね。

①について。
わんちゃん、ねこちゃんがSFTSにかかるのかどうかは、まだはっきりとわかっていません。
わんちゃん、ねこちゃんたちの体調不良の原因が、SFTSなのか、
別の原因で体調不良の子の体内から、たまたまSFTSのウイルスが見つかっただけなのか、まだわかっていないのです。
獣医学科の学生は、微生物学の講義で必ず習うのですが、コッホの原則というものがあります。
SFTSをはじめとした、伝染病のことを考えるとき、必ず押さえておかなければならない4つのポイントのことです。
ある伝染病に、1.特定の微生物が必ず関係していて、かつ、2.その微生物が分離でき、3.分離した微生物をほかの感受性のある動物に感染させると同じ病気にかかるうえに 4.同じ微生物がまた分離できること。
テロ事件でいえば、事件のたびに1.あるテロ組織がいつも犯行声明を出し、2.そのテロ組織は(他のテロ組織といつも一緒に事件を起こすわけではなく)独立して事件を起こす組織で、3.同じような状況を作ってやるとまた同じような事件が起きるうえに4.同じテロ組織がまた犯行声明を出す…というようなもの。
いまの状況は、事件は起きたし、現場に組織の人間がいたこともわかっているものの、犯行声明もまだ出ていないような状況。
ほんとうにテロなのか?それともただの事故なのか?
それもわかっていないという状況なのです。

②について。
ねこちゃんに咬まれたことと、SFTSで亡くなったこととの間に、因果関係があるのかどうかはわかっていません。
亡くなった方が、ねこちゃんに咬まれる前に、どこかでマダニに咬まれてSFTSにかかっていたかもしれないからです。
さきほどの、テロ事件のたとえを使えば、
テロ事件に巻き込まれて亡くなった方のなかに(=SFTSで亡くなった方のなかに)、テレビなどでテロ組織を批判してきた方がいて(=ねこちゃんに咬まれた方がいて)、その方が組織に暗殺された(=ねこちゃんからSFTSをうつされた)のか、テロ事件の現場に偶然居合わせた(=マダニからSFTSをうつされた)のか、まだわかっていないという状況です。

そう。
SFTSが ねこちゃんから人間にうつるという証拠はまだ見つかっていません。

これを短絡的に結びつけてしまい、猫さんからSFTSがうつる→野良猫は危険→駆除しなきゃ!という方向に進むことが どれだけ恐ろしいことか。
たしかに、SFTSは恐ろしい病気ですし、ねこちゃんに咬まれてうつされた可能性があるというのは 間違いのないことですから、
飼い猫ちゃんのダニ対策、外猫さんにむやみに触らない、ダニの駆虫をしてからでないと家には入れない。
そういった対策は、当然しっかりしなくてはいけません。
それは当然のことなのですが、そのいっぽうで、過剰に怖がったり 野良猫さんを駆除しようとしたりするのは 明らかにやりすぎです。
それは、テロリストにイスラム教徒が多いから、イスラム教を信仰する人の多い国から来た人の入国を禁止する とかいうことと同じなのです。

SFTSは怖い病気ですが、怖がり方をまちがえてはいけません。
そして、正しく対策すれば、それほど怖がる必要のない病気です。
正しい対策とは、ダニに咬まれないようにするということ。
草むらに行く時には、素肌を出さないこと。
そして、飼っているどうぶつには 動物病院で処方される薬をきちんと毎月使うこと。
ダニ対策をしていないどうぶつには、むやみに触らないこと。
この3つをきちんと守れば、SFTSを怖がりすぎる必要はないんです。

最近、ニュースなどで SFTSの話題がよく取り上げられます。
でも、いたずらに怖がらせ、危険危険と叫ぶばかりのものも多い気がします。
限られた時間で伝えると、どうしてもそうなってしまいがちですが、せめて当院ブログをご覧いただいているみなさまには、正しいことを知ってほしいと思います。

それでも、怖いという方は、ぜひお気軽に ご相談ください。
わたしたちの知識 お伝えいたします。

SFTSって、なんですか?ほんとうにおそろしいマダニ対策

このまま夏が終わるんじゃないか…と言われはじめた 今日このごろ。
例年より 熱中症などで具合を悪くする方が少ないとすれば、喜ばしいことですね。

そんな日々ですが、密かに…そして、確実に、亡くなる方の増えている病気。
それが、SFTSです。
先日、NHKのニュースなどでも取り上げられていましたね。

SFTSとは、重症熱性血小板減少症候群という病気のこと。
伝染病の中でも 危険性の高いものとして、4類感染症に指定されている ハンタウイルス病や、エボラ出血熱と同じ出血熱に分類される クリミア・コンゴ熱などと近いウイルスによって引き起こされる病気です。
致死率は1割〜3割に達する、つまり 患者さんの10人に3人が亡くなってしまう おそろしい病気です。
初めこそ 熱が出たり、吐いたり下したりといった、一見なんでもなさそうな症状なのですが、血液を検査すると とても恐ろしい状態になっていることが。
ウイルスにやられ、血小板 という、かさぶたをつくる細胞や、白血球 という、ばい菌と戦う細胞が減ってしまっていることがあるのです。
実は、この病気には、まだ治療法は見つかっていません。
点滴などで、体に栄養を送りながら、患者さん自身が病気に打ち勝つのを待つ…というのが、いま行われている「治療」なんです。

こういった病気には、かからないようにするのが一番大切です。
SFTSの場合、マダニというダニに刺されるとうつることがわかっていますから、マダニに刺されないようにすればいいわけですね。
具体的には、
・草むらや野山など、マダニのいそうなところに近づかない
・近づく場合、長袖長ズボンや長靴、長い靴下や手袋で素肌を出さない
こういったことが大事になります。

ですが。
わんちゃんやねこさんには、そういった対策ができません。
彼ら自身が、マダニに刺されてしまったり。
草むらや藪で、マダニを体につけて帰宅したり。
そんな可能性があるわけです。
ということはつまり、わんちゃんやねこさんを飼っている方は、SFTSで死んでしまっても仕方がない…

そんなはずはありませんよね。
要は、マダニに刺されなければ、マダニをおうちに持ち込まなければいいのです。
そのためには、マダニ対策が重要です。

具体的に、当院がおすすめしているのは、まずはフロントライン。
これは、背中につけるタイプのおくすりで、一度つけると1ヶ月間、マダニ対策ができます。
ですが、これはただつけておけばいいというわけでもないんです。
たとえば、シャンプーして きちんと乾かさずにつけると効果が落ちます。
プロは皮膚までしっかりと乾かすので 大丈夫なのですが、おうちシャンプーでは まず間違いなく皮膚までは乾かせませんから、おうちシャンプーの直後につけると 効果が落ちてしまうんですね。
また、つけた直後に 体をこすりつけたりしてしまうと、それも効果が落ちる原因に。
フロントラインには アルコールが入っているので、気にして体をこすりつけたり 転がったりする子も多いんです。
こんなふうに、フロントラインは意外と 100%効果を発揮させるのが難しいのですね。

そこで、数年前から 当院では新たなおすすめとして、ネクスガードをお出ししています。
これは、ジャーキータイプの食べるおくすり。
食べるおくすりですから、つけたのに効いてない!?がないので安心です。
これも、1ヶ月間ダニ対策ができるタイプで、ノミだけでなく フィラリアの対策もできるものですから、予防がひとまとめにできる という面でもおすすめなんです。

テレビなどでは、すごい山奥に行かなければ大丈夫…なんて言っている番組もあるようですが。
マダニは、ごく身近にいます。
登山やキャンプなど、アウトドア派の子だけでなく、小金井公園を散歩したり、五日市街道を歩いたりしているだけでも、マダニがついてくることがよくあります。
ですから、必ず対策を。
病気になってからでは遅いのです。
費用は、体重にもよりますが、大型犬用のいちばん高いものでも 一日分に換算すると缶コーヒー1本分くらいですし、小型犬用の安いものなら ガリガリ君1本分くらい。
それで、致死率3割のおそろしい病気を防げるなら、安いものですよね。

SFTSが出てから、おくすりが取り寄せになっている病院も多いようですが、当院は今ならすぐにお渡しできます。
どうせ買うのなら、メーカー保証のしっかりした 国内製品を、まちがいのない動物病院から。
怪しい海外通販やよくわからない並行輸入品、必ず効果があると明記されていないPB品などで 無駄な出費をしないでください。
当院のかかりつけの方で、検査が終わっているなど 一定の条件を満たしている子は、飼い主さまだけのご来院でも おくすりをお渡しできます。

あなたのご来院、お待ちしています。

お尻が臭いのは当たり前?お尻周りのトラブルが増えています!

立秋ですね。
地方によっては、8月七夕といって、また短冊を書いたりするところもあるようですね。
1号も、今年は チャレンジしてみようかと思います。

さて。
今回は、お尻の話をいたしましょう。
お尻、臭いのが当たり前だと思っていませんか?
実は、においの強さや種類、におうタイミングによっては、病気のサインであることがあります。
ずーーーっと臭いがしている。
腐ったザリガニのような、動物園のような臭いがするようになった。
今までそんなには気にならなかったけれど、この夏急に臭いが強くなったようだ。
そんな場合は、特に注意が必要です。

お尻の中には、肛門を時計の文字盤に見立てたとき、4と8のあたりに、肛門腺や肛門のうといわれる袋があります。
この袋に、うんちのばい菌が穴から入り込み、袋の中で膿になってしまうことがあります。
夏などは特に ばい菌が増えやすい状態ですので、膿がひどくなり、穴が詰まって出なくなってしまうことがよくあります。
穴が詰まってしまっても、膿はどんどん出ますから、袋がどんどんいっぱいになってきてしまうのですね。
いっぱいになりすぎると、何が起きるか?というと、袋が破裂してしまいます。
お尻の中にある袋がはじけてしまうわけですから、当然ものすごく痛いです。
それだけでなく、中に貯まったばい菌と膿が 周りに飛び散ります。
すると、それはばい菌のエサになります。
ばい菌は爆発的に増え、皮膚の下で肛門の周り一帯がひどい炎症を起こすのです。
破裂や炎症の度合いによっては、肛門の周りに大穴が開いてしまうこともあります。
穴は開かなくても、想像を絶する激痛ですよね。

こうなってしまうと、自然治癒はほとんど無理。
というか、自然治癒を目指すほうが 痛い時間が長引いて、かえってかわいそうです。
当院では、まず生理食塩水というしみない水で傷の中や周りをよく洗い、抗生物質を使ってばい菌を抑えます。
これだけでも、かなりスッキリして体調がよくなる子は多いのですが、抗生物質なしでは、お尻に穴が開くほどの傷はまず治らず、悪化するばかりですから、おくすりをかならず飲ませるか、長く効く注射をします。
お尻周りの傷が小さい子は、これだけでも大丈夫な場合も。
傷が大きい子や、深い子は、麻酔をかけて縫って治します。
ばい菌が大暴れしている間、傷を洗ってすぐのときには、大丈夫かどうか判断がつかないことも多いので、かならず再診を受けましょう。

実は、お尻周りというのは、わんちゃんたちにとってとても重要な部分。
あいさつをするとき、かならずお互いに嗅ぎ合うことからも よくわかりますよね。
なので、お尻周りのトラブルを隠す子はとても多いです。
が。
その、隠す行動も、臭いとともに飼い主さまの気づくきっかけになります。
最近、やたらお尻をなめているところを見かける。
ベッドやソファに、妙にお尻をくっつけて座っている。
そういえば臭いが…?
そんな方は、ぜひお早めにご来院を。

本来、この袋の中身は、うんちできばったときなどにスッキリと自分で出せるべきもの。
自分で出せれば、多少うんちのばい菌が入り込んだところで、お尻が爆発するほどの事態にはまずなりません。
でも、歳をとってきばる力が弱まってきたり、太っていたり腰が痛かったり、いろんな事情でうまくきばれない子もたくさんいます。
そうすると、出せずにどんどん溜まり、そこに入り込んだ菌が大暴れ…という事態に。
夏は、冬にくらべて菌が暴れやすかったり、膿の悪化が早かったりと、お尻周りのトラブルが起こりやすい時期です。
爪切りなどと同じ、お手入れのひとつとして、ぜひ肛門腺絞りも忘れずおこなってください。

当院でも、もちろん対応していますから、どうぞお気軽にお申し付けください。
そして、もし不幸にして お尻周りのトラブルを抱えてしまったら…、
できるだけお早めのご来院を 強くおすすめします。
自然治癒は まず望めないのがお尻です。
あなたのご来院、お待ちしています。

部分カットで、快適な夏を!!

先週、久しぶりに熱を出して寝込んだ1号。
暑いなかにも さらに暑く、氷枕を3個ローテーションして フル活用しました。
そのときにつくづく感じたのは、髪の毛の扱い方で体感温度が変わるということ。
1号はいま、鎖骨くらいのミディアムヘアにしているのですが、髪の毛をきちんとかき分け 氷枕をタオルでくるんだものに直接地肌が触れるようにしてから寝ると 体感温度が明らかに下がったのです。
後頭部 というより、頭と首の境目、いわゆる えりあしの部分に氷枕がくるようにしたのも 良かったかもしれません。

実は、わんちゃん、ねこさんも同じ。
冷たい床などに直接地肌が触れるようにすると、体感温度はかなり下がります。
汗をかいて熱を逃がせない彼らですから、こうやって 少しでも放熱の効率を上げてあげることがとても大切なんですね。

いちばん涼しくしてあげられるのは、やはりサマーカットなどで 全身短く整えること。
でも、長いスタイルが好きな方や、シェパードなどのように ふつうサマーカットにしない種類の子は、部分カットもおすすめ。
体感温度はかなり近いところまで下げてあげられる…といわれています。

部分カットするなら、
・おなか
・内股
・足の裏
・わき
などがおすすめです。
要は、ふつうにまっすぐ立ったときに見えない部分は ぜんぶカットしてしまえば、かなり涼しくしてあげられます。

ただ、おうちでハサミなどでカットした場合、皮膚や乳首、肉球などを切ってしまうことが。
バリカンを使っても、身体のつくり上 この部分のカットはかなり難しく、安全カバーを使っていても 皮膚を切ってしまう事故がときどき起こります。
なにせ、プロのトリマーさんにカットしてもらったのにキズがあるんです!と夜遅くに飛び込んでくる方や、お客さんの子にケガをさせてしまいました!と真っ青になって わざわざ遠くから駆け込んでくるトリマーさんもいるくらいですから。
人間でも、脇や足の付け根などの関節の近くや、顔など凹凸の大きいところにカミソリを当てるのは 難しいですよね。
ヒザやヒジにカミソリ負けのあるお姉さん、鼻の下や顎のラインなどに、ヒゲのそり残しのあるお父さんや、慣れないヒゲソリで 皮膚をキズつけてしまった男子高校生、朝の電車でもよくみかけます。
ここらへんの難しい部分に無謀にもチャレンジして トラウマを作ってしまい、それ以来 ハサミを持つと飛びかかってくるようになってしまった…なんて子も。
部分カットは、プロにお任せください。
当院では、学校で専門の勉強を積んだトリマーや看護師が 部分カットを担当します。
強い力で長く押さえつけたりせず、職人ワザで素早く仕上げる、その子に優しいカットです。

また、部分カットは、全身カットと異なり すぐに連れて帰ることができます。
お預かりして終わったらお電話でご連絡、お迎え…という流れでなく、診察室で診察を受けるのと同じ流れで おしまいなのですね。
なので、お時間のあまりない方、お出かけ前にパパッと済ませたいという方、後からまたお迎えとかちょっと大変だわーという方におすすめです。

診察のついでに、部分カットもできます。
ご来院の際、どうぞお気軽にお申し付けください。
毛ののびるはやさにもよりますが、いまカットしておけば、少なくともお盆くらいまでは 涼しく過ごせるはず。
ご希望のお日にちで、全身サマーカットの予約が取れなかったという方も、部分カットだけなら まだ大丈夫。
もう一度 お電話ください。

エアコンを入れ、保冷剤を使い、部分カットをする。
これだけで、夏の危険さはかなり減らせます。
快適な夏を 過ごさせてあげましょう。
あなたのご来院、お待ちしています。

保冷剤に気をつけて!

関東の梅雨明け…
まだ でしたっけ??

そんなことを思ってしまうほど、暑い日々が続きます。
当院の目の前、五日市街道は、川と緑で かなり目には涼しいものの、やはり体は確実に暑く、滴り落ちる汗を拭いながら 入ってこられる飼い主さまも。
わんちゃんたちも 大きく口を開けて舌を出し、いっしょうけんめい熱を発散しています。

この時期、来院されるカワイコちゃんたちも 飼い主さまも、どこかしら身につけていらっしゃることがおおいのが 保冷剤。
ケーキなど買ったときにもらえるアレを取っておいて使っています という節約派の方もいれば、氷枕を流用してます と豪快に大きなサイズをお使いの方まで。
1号も、子どもをベビーカーに乗せるときなど、保冷剤が欠かせません。

そんな 保冷剤。
冷凍庫で カッチカチに凍るタイプと、凍ってもやわらかで肌あたりのいいソフトタイプがあるのを ごぞんじでしょうか。
ソフトタイプのものには 不凍液 といって、おうちの冷凍庫では完全に凍ってしまわないような液体が入っています。
これのおかげで、やわらかさが保たれるんですね。

ですが。
この 不凍液で、中毒を起こして亡くなってしまう事故が まれに起こります。
暑いからと保冷剤を入れてあげてお出かけ。
残された子がおるすばんをしているうちに、なんとなく保冷剤をかじってしまう。
かじって出てきた中身が 甘くて美味しくて、喜んでなめているうちに 中毒を起こしてしまうんです。

この中毒の嫌らしいところは、症状が出てきたら まず手遅れなところ。
中身自体は、毒性は低いのですが、体の中で化学変化を起こします。
化学変化後の物質が 中毒の原因になるのです。
変化が始まる前に、体から排泄させてやらなければ 中毒に。
腎臓が回復不能なダメージを負って、症状が出始めてからでは、もうとっくに手遅れ。
死んでしまいます。

いま、日本製で出回っている保冷剤の中身は、まず間違いなく食品グレードの安全なもの。
特に、ケーキなどについてくるようなものは アイスや化粧品の原料にもなるくらいのものが使われていることがほとんどです。
でも、安い海外製品や、そういえばこれいつから家にあるんだったっけ?みたいなもの。
そういったものは、もしかすると 中毒を起こしてしまうようなものが 使われているかもしれません。

おるすばんをさせるとき、保冷剤を使うこと自体は 悪いことではありません。
クーラーを使っても、それだけでは足りないかも。
クーラーが外出中に壊れてしまうかも。
そういったことが心配で、保険の意味でも 保冷剤を使うことは理にかなっています。
ただ、使う前に一度、原材料を見てみてください。
裏やパッケージに、原材料の書いてあるものも多いはず。
エチレングリコール と書いてあるものは使わない。
これを守れば、中毒を起こして悲しい思いをすることはありません。

良かれ と思ってしてあげたことが 裏目に出ると、ほんとうにつらいですよね。
エチレングリコールを含む ソフトタイプの保冷剤は、もはや絶滅危惧種…とはいえ、ゼロではありません。
確認してから 使ってあげてくださいね。