はい、栗本動物病院です。

東京都小平市の栗本動物病院です。ときどき更新しています。

獣医師 になりたいあなたへ

2017年です。
獣医師のみなさん、22条の届出の締め切り、もうすぐですよー!

 

さて、新年最初の記事は 求人のお知らせ。
当院で、4月からともに働ける獣医師、看護師さんを募集いたします。

 

2月になれば、国家試験がもうすぐ。
6年生は、いままさに追い込みの時期ですね。
国家試験にさえ受かればこっちのもの、「先生!」なんてよばれてちやほやされて、えへへへへ…
今どきまだそんな勘違いをしている学生さんはもう少ないかもしれませんが、
獣医師というのは 国家試験にさえ受かればいいというものではありません。
試験に受かったところが スタート地点なんです。
スタート地点では、みんなまだ ただの「免許を持った人」。
そこから、獣医師となり、成長していくのには、たくさんの経験を積んでいかなければなりません。

 

当院では、経験をどんどん積んでいけます。
診察ができまーす!という病院さんは たくさんありますが、当院はひと味ちがいます。
診察 とひとくちに言っても、飼い主さんやどうぶつたちの訴えをきちんと聴けているか?口に出さないような ちょっとした気がかりに気づけるか?治療方針を押しつけていないか?…
ありとあらゆることに気を配り、常に最新の情報を勉強し、そしてそれを最大限に活かす。
診察 って、ほんとうに奥が深いんです。

 

臨床は、手の届く範囲がとても狭いです。
何万匹もの子を助けられるような すごい薬を作れるわけでもなければ、
いま辛い目に遭っていたり これから遭ってしまう何千、何万匹もの子たちを減らせる素敵な法律を作れるわけでもありません。
一生頑張り続けても、この手で何かしてあげられる子は、きっととても少ない。
だから、目の前の、手の届くこの飼い主さんとこの子にはこの治療がベスト!と、あなた自身が 自信を持って言えるレベルにまで育ってもらいたい。
当院はそう考えています。

 

「先生にみてもらえてよかった」
あなたには、そんなふうに言われる「獣医師」になってほしい。
そのために必要なのは、ほんものの経験値です。
当院には、それがあります。
「免許を持ってるだけの人」を、そろそろ卒業しませんか。

新卒、既卒、問いません。

わたしたちとおなじ熱量で、飼い主さまやどうぶつたち、そして 小動物臨床というものに向き合えるあなたと働きたいのです。

 

f:id:kurimotoah:20170112200616j:image

看板犬のオシンコと 看板猫のギャルコも 大歓迎いたします☆

…たぶん。

 

ご応募はもちろん、まずは見学してみたい…という方も。
話を聞いてみるだけ、でもかまいません。
042-323-4567 まで、一度 お電話ください。
お待ちしています。

2016年の終わりに

みなさま、クリスマス、いかがお過ごしでしたか?
1号も クリスマスにかこつけ、食洗機にカメラと お買いものを楽しみました。
…キレイになったお皿の写真など、いっぱい撮りたいと思います。

f:id:kurimotoah:20161227080808j:image

おっとまちがい

 

まずは 業務連絡から。
当院、年内は30日まで診療いたします。通常の金曜と同じく、最終受付は午後7時半です。
年明けは 4日から診療開始いたします。

 

さて、今年最後の記事は やっぱりこのひとことに尽きます。
当ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

動物病院ぽい話題から、ぽくない話題まで、さまざま取り扱っている 当ブログ。
はてなスターTwitterFacebookからはもちろん、診察中にリアクションをいただいたこともありました。
リツイートや いいね!はもとより、お読みいただいた みなさまに励まされて ブログを書いてきました。

2017年は、さらにわかりやすく、おもしろく、そして あなたに響く、そんなブログを目指していきたいと思います。
あと、2017年中に 一度はホッテントリ入りします!!
はてななんで。(LIFE!のエグゼクティブゼネラルマネージャー三津谷さんのモノマネで)

 

f:id:kurimotoah:20161227080611j:image

なんか それっぽい写真が撮れるよう、写真道にも 邁進します。

 

オンラインでも、オフラインでも。
どうぞ、気軽に絡んでください。
あなたの絡み、お待ちしています。

いたーいあかぎれ、パックリ割れに…おためしください!

肌荒れの時期です。
うちの1歳児も 肌がカサカサで、ベビーローションに加えて クリームも使い始めました。
ああ お風呂あがり、またママのスキンケアが遅くなる…

冬になり、湿度が下がって、カサカサになるのは わたしたち人間だけではありません。
わんちゃんねこちゃんも もちろん乾燥するんです。
彼らの体でいちばん乾燥しやすいのは、実は足の裏なんです。

くちびるが乾燥しているとき、なめてしまうとより乾燥がすすんでしまうのは 有名ですよね。
指のひび割れやあかぎれ、主婦湿疹も、悪化させてしまうのは 洗濯や食器洗いなどの水仕事。
そう。
肌荒れのときは、濡らしてはいけないんです。
でも、わんちゃんねこちゃんは 荒れてくるとなめて治そうとします。
足の裏を延々となめてなめて、毛の色が赤茶色に変わってしまった…なんてご相談を受けることも。

変わってしまった毛色は もどらないことがほとんど…とお伝えすると、ガッカリされる方も多いです。
見た目が変わってしまうのは やっぱりかわいそうですよね。
ただ、この 毛の変色自体は、わたしたちの皮膚のシミなどと同様、それ自体が悪さをするものではありません。

いっぽう、足の裏は放っておくと どんどんと悪化していきます。
カサカサがひび割れ、あかぎれ、パックリ割れまでいってしまうことも 放置すればよくあること。
そうなると、痛くて足をつけなくなったり、痛みからなんだかずっと機嫌が悪かったり。
傷口からばい菌が入りこめば、腫れ上がって歩けなくなることもあるんです。

そんなふうにさせないために、お店ではいろーーんな商品が売られています。
中には、人間用のハンドクリームかな?と思うような 成分のものも。
でもね。
当院は、いわゆるふつうの ワセリン をおすすめしています。
ドラッグストアとかで安く売ってる、黄色っぽくてべたべたの、そう あのワセリンです。

おもな理由は3つ。
まず、フタをするだけのシンプルさ。
ワセリンは、美容クリームなどと違い、有効成分が中へ入り込みんで効く…ということがありません。
だから、キズで敏感になっているところへ強い成分で悪化させてしまう…といったおそれがありません。
それから、ベタつきによる 滑り止め効果。
カサカサに乾燥した肉球は、つるっつるの靴底とおなじでとても滑りやすいもの。
ツルッとなってしまい、思わず踏ん張って腰を痛めてしまった…なんて、この時期よく聴く話ですが、どうぶつたちも同じなんです。
塗り過ぎるとかえって滑りやすくなりますから、塗る量にはご注意ください。
そして、何よりも安いことと、少量から手に入ること。
足裏、肉球は、わたしたちでいう 靴底。
そこへ使うクリーム類は、どうしても 汚れやすいので、できれば専用にしたいし。
あんまり大きいサイズだと、汚れがどんどん溜まってしまうから、小さいものをどんどん使い切れるほうがいいし。
こういったニーズを満たしてくれるのは、やはりワセリン。
おすすめです。

わんちゃんやねこちゃんが 足先をやたら気にしてなめてるな…、
そんなときに いちどお試しください。
そのときには、チョコやチェリーなど 香りのついてないものを。
香りのついたものは、却って気にしてしまう子が多いです。
また、精油などのアロマを加えるのは、ねこちゃん用には絶対ナシ。
わんちゃん用には、あの小さいサイズのワセリンに 1滴のティーツリーオイルなら大丈夫です…が、肌荒れしているなら 何も入れずにワセリンだけで様子を見るほうが安心ですよ。

ワセリンを塗って 数日様子を見て。
それでもなめるのがひどくなったり、妙に機嫌が悪かったら…
もしかしたらキズができているかもしれません。
肉球の黒い子などは、キズが見つけにくいこともよくあります。
抗生物質や痛み止めを使ったほうが、早く痛みが取れるかも。
いちど ご相談ください。

あなたのご来院、お待ちしています。

 

 

アロマ大掃除はちょっと待った!危険なアロマにご注意を

大掃除の季節です。
今年は、22条届出の年 というのもあり、例年以上に大掃除の重要な年。
掃除は好きではないけれど、掃除道具は好きな1号。
掃除機から 各種洗剤まで、情報収集が楽しい時期です。

さて、情報収集を続けていると、なんとなく流行りみたいなものが見えてきます。
ここ最近、ゴシゴシこする とか、とにかくがんばってキレイにする というより、ラクしてキレイに を謳ったものがとにかく多いです。
激●ち君などのメラミンスポンジが大きく取り上げられるようになったころから、この傾向は続いている気がします。
そして、そんな ラクしてキレイに の流れで、セスキや重曹といったものを使う方も増えてきました。
界面活性剤を含み、油汚れを乳化して落とす…いわゆるオイルクレンジングのような洗剤を使うのではなく、pHをアルカリに傾けることで、油汚れをはじめ 酸性の汚れが簡単に落ちるというもの。
こういったアルカリ化剤のたぐいは、環境にかける負荷が小さく、洗剤に比べて安く入手しやすいため、ナチュラルクリーニング とか、エコおそうじ なんて言われることも。
洗剤残りなどを気にしなくてもいいので、ペットや赤ちゃんのいるおうちでは、洗剤をやめて家じゅうこれ!という記事も見かけました。

いわゆる洗剤には、たいがい香りがついているもの。
ミント(ハッカ)などのスッキリする香りや、グリーンの香り、なつかしの昭和の石けんを思わせる香りのものまで。
いっぽう、セスキや重曹はただ粉を水に溶かしただけの無臭の洗浄液です。
なんの匂いもないので、「精油を混ぜて、好きな香りを楽しみましょう」なんて書いてあるサイトも。

でもね。
ペットや 赤ちゃんのいるおうちこそ、精油を使うには注意が必要なんです。
精油というのは、植物のつくりだすさまざまな物質を うんと濃縮したもの。
効き目も濃いですが、副作用の出かたも強いのです。

猫さんは、身体のつくり上、代謝できない物質を含む精油が何種類かあり、少量でも中毒を起こす危険があります。
違う言い方をすれば、猫さんの身体に取り込まれたときに ごく微量であっても命の保証のない精油がいくつもある…ということ。
身体に取り込まれる というのは、皮膚に塗るだけでなく、吸い込む という経路でも。
つまり、いい香りでアロマ大掃除 のつもりが、大切な猫さんを苦しめたり、寿命を縮めることにもなりかねない ということなんです。

では、具体的にどんな精油が危険なのかというと、
パチュリ、ミルラ、ペパーミント、ローズマリー カンファー、レモン、グレープフルーツ、サイプレス、ユーカリ、ティーツリー、フランキンセンス、…
アロマ掃除やアロマ洗濯をすすめるサイトに載っていたものだけでも こんなにありますが、他にもまだまだあるんです。

先生によっては、「猫さんの皮膚に塗らなければ大丈夫」という先生もいますが、当院はあまりおすすめしません。
他に方法がないのならともかく、拭き掃除や磨き掃除に使う洗浄液が無臭だって、何も問題ないからです。
掃除の間いい香りを楽しみたいのなら、マスクに精油を付けて掃除すればいいこと。
わざわざ洗浄液に精油を加え、危険を冒す必要はありませんよね。

精油でオシャレなアロマライフ も素敵ですが、使い方には注意が必要。
原液を使わない・必ず薄める という一般的なことはもちろん、猫さんには舐めさせない・触らせない ということにも気をつけて アロマを楽しんでくださいね。

 

f:id:kurimotoah:20161213080522j:image

ボクは全然平気なんですけどね…(クリオ君はブロンズ製)

避難への備え。ごはんの備蓄、してますか?

生活の基本とされる 衣食住のうち、特殊な場合をのぞき どうぶつたちが必要とするのは食と住。
住 編だった前回に引き続き、万が一への備えのおはなしです。

ごはんの備え、していますか?
腎臓や肝臓の弱い子や、石のできやすい子など、ふだんから処方食を食べている子はもちろん、そうでない子も。
ごはんの備え、実はとっても大事なんです。

災害時はもちろん、年末年始や お盆など、物流がいつもより滞りがちな時期。
ペットフードは、わたしたち人間のためのものに比べて、どうしても優先順位は低くなります。
こういったときは、それでなくても 非日常になってしまいがちですから、せめてごはんだけでも 日常を。

また、どうぶつたちは、わたしたちとは違い、いつも同じものを食べるような身体のつくりになっています。
今日はA社のカリカリ、明日はB社のパウチで明後日はC社の缶…と、短いサイクルで食べるものがどんどん変わるような食生活は、実はとっても負担なのですね。
ずっと同じじゃかわいそう、と思われるかもしれませんが、それが一番どうぶつたちの身体に優しい食生活なんです。
非日常のなか 食べなれないものを食べることで、吐き気や下痢など おなかの具合がおかしくなるかもしれません。
そうなったとき、避難先や 年末年始では、いつもの先生に診てもらえるかどうかも、いつものおくすりがもらえるかどうかもわかりませんよね。
吐き気や下痢が続くと、全身のミネラルバランス、イオンバランスが崩れます。
身体のなかが、熱中症に近い状態になることも。
そうなると、命に関わることもあるんです。

せっかく同行避難したのに、せっかく楽しい年末年始なのに、そんなことになったら悲しいですよね。
そうならないためには、いつものごはんを少し多く 手元に確保しておくこと。
具体的には、未開封のごはんを 常にひとつ以上持っておくのが安心です。

当院では、ごはんの直送も承っています。
当院があなたの子のために処方した いつものごはんが、メーカーさんから 直接おうちに届きますから、新鮮で安心。
古いものをあげたくないから…と、ごはんの買いだめをしない派の方。
お店の倉庫で長く眠っていたようなごはんより ずっと安心できますよ。

年末年始が近くなると、メーカーさんの在庫も少なくなります。
確保しておくなら、いまのうちに。
受診なしでも、ごはんのご注文をいただけます。

避難への備え。ケージのおはなし

地震の相次ぐ日本です。
地震そのもので傷ついた人も、避難や関連したあれこれで傷ついた人も、そしてそのどうぶつたちも。
心や身体が、少しでも楽に、そして早く治るといいなと思います。

考えたくない万が一だけど、備えておいたほうがいいもののひとつに、ケージがあります。
クレート とか キャリー などとよぶ人もいますね。
これは、普段使いもできるものなので、銀色の非常持出袋などとは違い 備えてます!感があまりないのもいいところ。
さらに、ヘルメットなどと違い、普段使いしても劣化していかないのも 魅力です。

この ケージ、ざっくり分けると ハードとソフトに分けられます。
ハードケージは、形が変わらないもの。
ソフトは、いわゆるかばんやスリングのように、柔軟に形を変えるものです。
中でも、災害に備える という目的では、当院のオススメはハードケージ。
バリケンネルなどの ブランド品でなくても、IATAイアタ という基準を満たすものなら、国際線の飛行機などに乗るときも使えますし、一定の品質が保証されるので 安心です。
ソフトは、肩からかけて抱っこのスタイルで、抱っこの好きな子などはとてもいいのですが、自立しないものも多いし、どうぶつのためのパーソナルスペースを確保できないので、災害に備える用途なら あまりオススメはできません。

そして、買うだけ、持ってるだけ ではなく、ケージは使って慣らしておくことで 最大の効果を発揮します。
というのも、ケージというのは、本来どうぶつたちを閉じ込めておくものではなく、パーソナルスペースを確保してあげるためのもの。
どんなに仲のいい家族でも、ひとりになりたい時間って ありますよね。
24時間365日ずーっと一緒 というのは、気が詰まってしまうと思います。
そんなときに ひとりになれるスペース。
それがケージです。
叱られて落ち込んだときも、新しいイタズラを考えるときも、見慣れないお客さんからちょっと距離を置きたいときだって。
逃げ込める場所、とりあえずここにいれば安心な場所。
どうぶつたちも、そんな場所が必要なんです。

ケージを手に入れたら、閉じ込めてはいけません。
ここはボクだけの安心な場所 と教えてあげてください。
それにはたとえば、中に好きなおもちゃを入れてあげたり、ごはんやおやつを食べさせたり。
その子が安心して、落ち着いていられるようにしてあげれば、そのうち自分で好きなときに入っていくようになります。

ケージの中で静かにジッとしていられる子は、同行避難もしやすいもの。
同行避難だけでなく、日常のいろんな場面で そのありがたみを噛みしめることは多いと思います。
それには、日ごろから、ケージの中にいるのはいいこと、落ち着くこと と教えてあげるのが一番です。
避難したときに、日常から大きく離れるのが 最大のストレスなんだと言っている人がいました。
ケージは、持ち運べる日常です。
防災のため、避難に備えて… だけではなく、もっと気軽に使ってほしいなと思います。

また、ケージはサイズ選びも大切です。
サイズ選びの基準は、中で余裕をもってクルッと回れる大きさがベスト とされていますが、
大きすぎも、実はあんまりよくないんです。
広いスペースを確保してあげたいからと、チワワちゃんやトイプーちゃんに ラブちゃんなど大型犬用ケージを使わせるのは、かえって落ち着かないのでオススメできません。

ケージって、ほんとうはわんちゃん、ねこちゃんのためになるものです。
「いくら避難のためだって、あんなせまい箱に閉じ込めるなんて…かわいそう」とおっしゃる方もいるのですが、
ほんとうなら よろこんで入っていくもの。
わんちゃん、ねこちゃんの習性ですから、性格 とか 生活スタイル とは、関係ないんですね。
もし、そうでないのなら、ケージの使い方を間違えているかもしれません。
ケージを嫌がる子は、いま一度 使い方を確認してみてください。
閉じ込めるような使い方をしていませんか?
思い当たる方は、まずは ケージが嫌な場所でなく、落ち着くところだと教えてあげるところから始めましょう。

ケージに入れる子は、病院の受診もしやすいですよね。
結果、病気が早く見つかり、手が早く打てることも。
いろんな 万が一 に備えましょう。

広がる 多頭飼育崩壊

先日のクロ現プラス こと、クローズアップ現代プラス。
1号、遅い夕食そっちのけで、釘付けになりました。
テーマが、ペット多頭飼育崩壊だったんです。
(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3892/index.html)

動物病院で働いていると、多頭飼育崩壊について ときどきご相談を受けることがあります。
お話を聞くと、多頭飼育崩壊に陥る方というのは、優しく面倒見がよく、そして自己主張の少ない方が多いようです。
優しいから、避妊や去勢手術はかわいそうと受けさせない。
面倒見がいいから、困っている命を見捨てられず拾ってくる。
自己主張しないから、だれにも相談しない。できない。

…でもね。
崩壊させてしまうのなら、それはただの無責任。
だって、飼い主さまが若くて体力があって散歩も掃除もキッチリできるなら、それは普通の多頭飼育ですし、
若くもないし体力もなくたって、人を雇って代行してもらうだけの経済力があるなら、それも普通の多頭飼育。
そういったことができないのにどんどん増やして、
やがてどうしようもなくなり、ボランティア団体や自治体に事態の収拾を丸投げ。
それって、無責任ですよね。

当院に相談して来られる方は、崩壊の当事者であることはまれで、ご近所さんやお身内など、見かねた第三者から…というのが多いです。
うるさい か、臭い かで迷惑を被っている方がほとんどです。
でも、甲状腺機能亢進症や 痴呆で騒いでしまう子、皮膚病などで臭いのある子などなら 当院で治療できるかもしれませんが、
多頭飼育崩壊の場合は、当院では直接解決のお手伝いはできず、お話を聞いたり、行政に相談してみては…などとご案内するていどです。

当院は、複数飼育を全否定しているわけではないんてす。
複数飼育は、ペットちゃん本人にも、ご家族にとっても、メリットがあります。
でも、それには 飼い主としての責任を果たしてはじめて 享受できるメリットです。
飼い主としての責任 とは、避妊や去勢手術、ワクチンの接種はもちろん、ペットちゃんの病気、冠婚葬祭や飼い主さまの入院など ペットちゃんが同行できない数日間などへの備えなどや、
吐いたり下痢をしたりしているのがどの子か すぐに見分けられるか?なんてことまで。
そういったことができないのなら、多頭飼育に手を出してはだめなのです。

いま、多頭飼育崩壊で 困っている方は、行政にご相談を。
ひとりが一度相談したくらいでは 動いてくれなくても、何人もが何度も相談すれば 動いてくれるかもしれませんから。
多頭飼育が崩壊しそうな方、させそうな方は、一刻も早く それ以上の状況悪化を防ぎましょう。
具体的には、拾う・保護することを中断する、今いる子たちに 避妊・去勢の手術を受けさせることです。
いままでやっていたのを止めるのは…と 心理的に抵抗をおぼえる方は、もう一度よくよく考えてください。
拾っただけ、保護しただけではただの自己満足です。
幸せにしてあげられないのなら、手を出してはいけません。
それは、幸せになるチャンスを潰すことです。
そして、手術をしていない方。
手術をせず、ひとつ屋根の下にどうぶつをどんどん増やすのは、産めよ増やせよ と言っているのと同じです。
生まれた子全員幸せにしてあげられないのなら、今すぐ手術を。
お金がかかるとためらっているうちに、手術が必要な子がどんどん増え、費用もどんどんかかります。
今すぐに予約を入れてください。
良心的な病院なら、どの子から手術をするのが一番効率的か、一緒に考えてくれるでしょう。
多頭飼育崩壊の現場では、親子や兄弟で子どもを作ってしまうこともよくあり、そうなると身体に障害のあるどうぶつが生まれてしまうかもしれません。
手術を受けさせるのとどちらがかわいそうなのか、いま一度よく考えてみてください。

多頭飼育崩壊という 人間のエゴに巻き込まれてしまった どうぶつの幸せを祈っています。